2025.10.24 育休システム比較2025年版!制度の違いやメリットを徹底解説

育児休業の取得者が増え、制度も複雑化する中、育休システム比較は人事担当者にとって不可欠な業務となりつつあります。誰がいつ休むのか、給付金や復職支援はどう進めるのか、こうした複雑な育休管理をExcelに任せるには限界があるでしょう。
そこで今、注目されているのが「育休システム」です。
これは育休制度の運用から職場復帰までを一貫してサポートするツールです。
導入することで、労務管理のDX化だけでなく、休職者の心理的ケアも両立できます。
結果として、従業員の離職防止や、法改正への確実な対応、制度活用の精度向上に繋がる、有効な選択肢となるはずです。
育休制度の基本と最新動向:企業が押さえるべきポイント
育児休業制度は、従業員の子育てと仕事の両立を支援する重要な仕組みです。
まずはその基本的な概念から、最新の動向までを分かりやすく見ていきましょう。
育休とは何か?産休との違い
育児休業(育休)は、子どもを養育する従業員が、法律に基づいて取得できる休業期間です。
主な目的は、子どもとの時間を確保し、育児に安心して専念できる環境を支援することにあります。
原則として子どもが満1歳になるまで(特別な事情があれば最長満2歳まで)、男女問わず取得可能です。
近年は法改正により男性の育休取得も強く推奨されています。
育休は、従業員にとって家庭の絆を深める、育児に専念できる時間を確保するといったメリットがあるだけでなく、企業にとっても従業員のキャリア継続支援、ひいては生産性向上や持続可能な成長に繋がる重要な制度です。
有期雇用の従業員も、一定条件を満たせば取得できます。
産前産後休業(産休)は、出産を控えた女性従業員が取得できる休業です。出産予定日を基準に産前6週間(多胎妊娠は14週間)から、産後8週間の取得が義務付けられています。
育休と産休の主な違い
| 項目 | 育児休業(育休) | 産前産後休業(産休) |
|---|---|---|
| 目的 | 子どもの養育 | 出産前後の母体保護 |
| 対象者 | 男女問わず全従業員 | 出産する女性従業員のみ |
| 期間 | 原則子どもが1歳まで(最長2歳まで)の比較的長期 | 出産前後の合計14週間(多胎は22週間)と期間が固定 |
| 取得条件 | 雇用期間1年以上などの条件あり(有期雇用も対象) | 原則出産するすべての女性従業員に取得が認められる義務的休暇 |
育休の種類と特徴を把握する
育児休業には、その利用方法に応じていくつかの種類があります。
通常の育児休業
育児休業の基本的な制度で、原則として子どもが1歳になるまで取得可能ですが、保育園に入れないなどの特別な事情がある場合は、最長2歳まで延長ができます。
夫婦それぞれが期間中いつでも取得できます。
この期間中には育児休業給付金が支給され、給付金の制度も明確に定められています。
これは一般的な育児休暇として広く理解されている制度です。
産後パパ育休(出生時育児休業)
2022年10月に創設された制度で、子どもの出生後8週間以内に、最大4週間(2回に分割可)男性の育休として取得できます。
通常の育休とは別に取得可能で、配偶者の出産直後の負担を軽減することが目的です。
この期間中にも育児休業給付金が支給されますが、通常の育休とは異なる給付率が適用されるケースもあるため注意が必要です。
職場復帰を見据えた柔軟な取得が可能となっています。
パパ・ママ育休プラス
父母ともに育休を取得する場合に、育休期間を子どもが1歳2ヶ月になるまで(上限)延長できる制度です。
夫婦で協力して育児を行うことで、より長く子どもと過ごせる点が、通常の育児休業との違いです。
このプラス制度の利点は、育休期間が拡大され、柔軟な育児体制を構築できる点ですが、欠点としては夫婦どちらかが育休を満了した後でなければ参加できないなど、取得条件が通常より複雑になる場合があります。
夫婦それぞれが最大1年取得できる点は同じですが、この制度により合計の休業期間を延長できます。
参考:パパ・ママ育休プラス
最新の法令改正と今後の展望:2025年にも対応を
育児・介護休業法は、社会情勢の変化に対応するため、度々改正が行われています。
企業としては最新の動向を常に把握し、適切な対応が求められます。
育児・介護休業法の改正(2022年4月施行、2025年4月・10月にも予定)
2025年4月からは、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するため、育児のための所定外労働の制限、深夜業の制限、時間外労働の制限などの制度が拡充されました。
さらに、2025年10月には、事業主が労働者の育児休業取得状況を個別に通知することが義務化される予定です。近年の改正は、従業員の勤務と子育ての両立を目的としています。
男性の育休取得率は、直近の令和5年度(2023年度)で30.1%まで上昇していますが、政府は2025年に50%、2030年には85%とする目標を掲げており、制度と職場実態のギャップがまだ残っています。
制度が整っていても現場で取得しづらい雰囲気や、復職後のキャリア不安が残る企業も少なくありません。国として育休取得をさらに推進しているため、企業側も従業員が育休を仕事と両立しやすくするための環境づくりをこれまで以上に求められています。
育休管理の課題と育休システムの役割:なぜ今、システムが必要なのか?
育休取得の条件と手続き、給付金制度の全体像
複雑化する育休制度の運用と、従業員支援を両立するために、育休システムの導入が不可欠となりつつあります。
育児休業の取得には、いくつかの要件と煩雑な手続きが必要です。給付金制度を含めた全体像を把握しましょう。
育休取得の要件
取得の要件は、原則として1歳未満の子どもを養育していること、雇用期間が1年以上であることなどが挙げられます。
雇用契約を締結している本人が対象となり、アルバイトやパートなどの有期雇用労働者も、一定の条件を満たせば受給する資格があります。
復職する意思があることが求められ、管轄のハローワークに申し出を行います。
申請手続きの流れ
育休を申請するための手続きは、従業員からの申し出、会社による確認・承認、ハローワークへの支給申請など、複数のステップに分かれます。この流れを理解し、準備を整えることが重要です。従来の紙の郵送やメールでのやり取りでは、担当者からの確認や書類のやり直しが発生しやすく、多くの手間がかかります。
育休システムを導入すれば、従業員がマイページから申請すると自動で承認フローが開始され、担当者や管理職に通知が届きます。これにより、手作業での確認や連絡漏れを防ぎ、業務を効率的に行い、手続きの時間を大幅に短縮できます。申請書は、行政が提供しているダウンロード可能なフォーマットが多く利用されます。
必要書類と提出先
必要書類には、育児休業申出書、母子健康手帳の写しなどが挙げられます。
これらの書類を準備し、会社の人事部門や社会保険事務所など、指定された提出先に提出します。
「育児休業申出書」などの必要書類は、従来、従業員が記入して人事担当者に提出し、人事担当者がハローワークなどへ郵送・対面で提出するのが一般的でした。このアナログなやり取りは、書類の不備や郵送の手間、進捗状況の確認など、労務担当者にとって大きな負担となっていました。
しかし、育休システムを導入すれば、これらの手間を劇的に削減できます。従業員はマイページからオンラインで必要書類をアップロード・提出し、人事担当者はシステム上で進捗を管理し、そのまま電子申請まで完結できます。これにより、紙の書類や郵送・対面でのやり取りが不要となり、手続きのペーパーレス化と業務の劇的な効率化を実現します。
企業側の注意点として、申請期限の周知、従業員への情報提供のタイミングを明確にすることで、手続きを円滑に進めることができます。
育児休業給付金の概要
育児休業給付金は、育児を理由に仕事を休む際に支給される金銭的支援で、子どもを養育する従業員の生活を支えることが目的です。
この給付金は雇用保険から支給され、支給対象者の条件は「雇用保険の被保険者であること」「休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること」などです。
支給期間は原則子どもが満1歳になるまで(最長満2歳まで)で、基本的な知識として理解しておく必要があります。
社会保険料の免除について
育休中は、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が免除されます。
この免除は、従業員と企業の双方にとって経済的負担を軽減する重要な制度です。
免除手続きの流れは、会社が日本年金機構に「育児休業等取得者申出書」を提出することで行われ、免除の期間は育休開始月から終了月の前月までです。これにより、非課税のメリットも受けることができます。
育休システム導入のメリット
【従来の管理】
- 属人化しやすい:担当者ごとの管理方法の違い、引き継ぎ時の情報漏れが生じやすいです。
- ミスの発生リスク:手計算による給付金シミュレーションの間違いや、申請漏れが発生する可能性があります。
- リアルタイムな情報共有の難しさ:休職者とのコミュニケーションが途絶えがちになり、不安を抱かせることがあります。
【育休システム導入の主なメリット】
- 業務効率化
休職スケジュール、書類提出、手当支給時期を自動化。申請・承認プロセスが効率化され、人事担当者の負担を大幅に軽減します。 - つながりの維持
マイページやメッセージ機能で休職者との接点を継続。休職中の従業員の孤立を防ぎ、会社とのつながりを維持できます。 - 復職支援
E-learningや復職準備プログラムによるキャリア継続支援 。休職期間中のスキル維持や情報提供を通じて、スムーズな復職をサポートします。 - 情報の可視化
担当者交代や引き継ぎ時も情報共有が容易に。休職者の情報を一元管理することで、引き継ぎミスを防ぎます。 - 法令遵守と制度適用の精度向上
最新の法令改正に対応した機能により、適切な育休運用をサポートします。
中小企業では、限られたリソースでも丁寧な支援が求められるため、一人あたりの対応工数削減と社員の安心感向上に育休システムが大きく貢献します。
育休取得促進のための企業の取り組みと支援制度
企業の育休制度の整備と社内文化醸成
育休取得は、制度があるだけでは促進されません。企業側の積極的な取り組みと、利用できる支援制度を周知することが重要です。
就業規則の見直し
企業の育休制度を整備するためには、まず現行の就業規則をしっかりと確認し、育休に関する条項が適切に記載されているかをチェックします。
次に、労働に関する法律に基づいた育休制度が整備されているかどうかを確認し、必要に応じて就業規則の改定や修正を行います。
労働契約を守るためのルールを見直し、労使協定を締結することも重要です。
社内研修と周知の重要性
育休制度を整備した後は、その内容を全従業員に明確に伝えることが必要です。
制度の変更や新しい情報を適宜アップデートして周知していくことが求められます。
また、社内コミュニケーションを活性化し、従業員が気軽に育休について相談できる環境を整えることも重要です。
これにより、ハラスメントの防止にもつながり、制度の定着を促進します。
育休取得を促す社内文化の醸成
育休が取りやすい雰囲気を作るためには、経営層からのメッセージ発信、育休取得者のロールモデル化、取得後のキャリアパス支援などが有効です。
従業員が安心して育休を取得し、復職後も仕事を続けられるような職場環境を構築することが、人材の定着に大きく寄与します。
フレックスタイム制度の導入
フレックスタイム制度を導入することで、従業員が自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになります。
これにより、育休前後の業務調整が容易になり、育休取得をしやすくなります。
また、フレックスタイム制度は業務の効率化にもつながるため、企業全体の生産性向上にもつながります。
制度の導入にあたっては、従業員のニーズをヒアリングし、適切な運用方法を検討することが重要です。
育休取得を支援する公的制度とサービス
助成金制度の活用
育休取得を支援する助成金制度には、両立支援等助成金などがあります。
これは、育児休業取得者が発生し、代替要員を確保した場合や、育児休業から復帰した従業員が働き続けられるように支援する場合などに支給される助成金です。
申請手続きの流れは、具体的な種類によって異なりますが、厚生労働省のウェブサイトで受給要件や金額を確認できます。
これらの助成金を活用することで、企業は育休取得促進にかかる経済的負担を軽減できます。
相談窓口の紹介
育休に関する相談窓口としては、各自治体、ハローワーク、労働局などが挙げられます。
これらの相談窓口は、従業員だけでなく、企業の人事担当者も利用できるため、制度運用で疑問が生じた際には積極的に活用しましょう。
育休取得者向けのキャリアコンサルティングサービスなども外部で提供されており、従業員の復職支援に役立てることができます。
クラウド型のサービスも増えており、情報を一元管理する仕組みは企業にとって安心につながります。
主要育休システム徹底比較:機能・価格・サポートで選ぶ
自社に最適な育休システムを選ぶためには、多角的な視点からの比較が重要です。
ここでは、主要な育休システムを比較し、選定時のポイントを解説します。
育休システムに求められる機能
育休システムには、大きく分けて以下の3つの機能が求められます。
管理機能
- 育休申請・承認のワークフロー
- 休業期間・復職日の自動管理
- 必要書類(ハローワーク提出書類など)の自動生成
コミュニケーション・復職支援機能
- 休職者専用マイページ
- メッセージ・チャット機能
- eラーニングや復職準備プログラムの提供
- 社内報や会社情報の定期配信機能
連携機能
- 既存の人事・給与システム、勤怠管理システムとの連携
主要5製品比較
| システム名 | 提供企業 | 主な機能 | 特徴・強み | おすすめ企業 |
|---|---|---|---|---|
| armo | 株式会社プロシーズ | 休職スケジュール管理、チャット・通知、E‑learning | 休職者との接点維持とスキル継続支援で離職防止と業務効率化を実現 | 従業員の育成・定着を重視し、包括的な復職支援を行いたい企業 |
| Aシステム | A社 | 休職管理、タスク自動化、メッセージ、復職支援 | メンタル不調者含む長期休職対応に強く、コミュニケーション基盤が充実 | メンタルヘルスケアを含め、手厚い休職者支援を求める企業 |
| Bシステム | B社 | 育休取得状況管理、タスク管理、情報共有、復職支援コンテンツ | 従業員の育児と仕事の両立をサポートする多様な機能、特に復職支援に注力 | 従業員の多様な働き方を支援し、スムーズな育休からの復職を重視する企業 |
| Cシステム | C社 | 育休・介護休業管理、eラーニング、キャリアコンサルティング、情報提供 | 長年の実績に基づいた充実した復職支援プログラム、個別のキャリアサポート | 従業員のキャリア形成と育休・介護休業からの確実な復職を重視する企業 |
| Dシステム | D社 | コミュニケーション、制度説明、給付手続き支援 | 実務担当向けに低コストで導入できるExcel連携型ツール | コストを抑えて、給付金手続きや制度説明を効率化したい中小企業 |
システム選定時のチェックポイント
自社に最適な育休システムを選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
休職管理+復職支援を包括しているか
休業中の手続き管理だけでなく、復職に向けたフォローアップ機能も充実しているかを確認します。
対象者や職場フローに合うUI/UXか
人事担当者だけでなく、休職中の従業員でも直感的に操作できる設計であるかを確認しましょう。使いづらいシステムは定着しません。
人事・給与・勤怠システムなどとの連携可否
既存のシステムと連携できるか否かは、業務効率化に大きく影響します。データの一元化が図れるかを確認しましょう。
サポート体制やセキュリティ対応の整備
導入後の問い合わせ対応や、運用中のトラブル対応、特に個人情報を取り扱う上でのセキュリティ対策(データ暗号化、アクセス制限など)が万全であるかを確認します。
コストパフォーマンス
初期費用、月額利用料、オプション料金など、自社の規模や予算に合った料金体系であるかを比較します。長期的な運用コストも考慮しましょう。
運用フロー設計と社内周知手順
システムを導入するだけでなく、運用フローを設計し、社内への周知を徹底することが定着の鍵となります。導入後すぐの効果を期待しすぎず、段階的な運用を計画しましょう。
自社に合った育休システムの選び方
大企業:人事・給与システムとの連携を重視し、包括的な管理機能と手厚い復職支援が可能なシステム。
中小企業・ベンチャー:コストを抑えつつ、業務効率化と休職者とのコミュニケーションが円滑にできるシステム。
業種別:技術職が多い企業ではスキル維持のためのeラーニング機能、サービス業ではシフト管理との連携機能などが特に有効です。
導入事例:armoによる育休管理と離職防止の成功
実際に育休システムを導入した企業の事例を見ることで、具体的な効果や運用のヒントが得られます。ここでは、株式会社プロシーズが提供する「armo」の導入事例をご紹介します。
事例:日立テクニカルコミュニケーションズ様
課題
技術職比率が高く、出産や育児による離職が人材維持の大きなリスクに。休職中の社員とのコミュニケーションが不足し、復職後のスキルギャップが懸念されていました。
導入理由
休職中の学習支援と気軽なコミュニケーション手段の提供で「技術流出防止」を意図。armoのE-learning機能とチャット機能が、これらの課題解決に有効であると判断されました。
導入効果
休職中のE-learning利用促進により、スキル維持と復職後の即戦力化を実現。復職後の不安軽減にも繋がりました。
チャット形式のやりとりでコミュニケーションが活性化し、レスポンスしやすい環境を構築。休職者が会社とつながっている安心感を得られました。
まとめ
育児休業制度は法令対応として整備されつつありますが、企業が本当に目指すべきは「制度が活きて、社員が安心して休職から復帰できる職場」です。
育休システムを導入することで、Excel運用からの脱却と、休職者への情報提供・交流促進を同時に実現できます。
そのなかでも、教育機能を含むarmoは、管理と育成の両輪を回す選択肢として企業に評価されています。
復職率向上や離職防止に直結する投資効果を重視する企業は、導入を検討してみてください。