新着記事一覧

  • 労働者派遣事業報告書(様式第11号)が令和6年6月報告分から変わります

    労働者派遣事業報告書(様式第11号)が令和6年6月報告分から変わります。 既に令和6年1月1日から変更された様式のエクセルファイルが厚労省ページで公開されていいます。 今回の変更点は下記のとおりです。 1. 第1面と第2面 令和6(2024)年度から「労働者派遣事業の売上高」及び「請負事業の売上高」欄が第1面の12、13から、第2面のⅠ(2)、(3)へ変更されました。 2. 第10面(要領記載の変更)記載要領Ⅰの6及び7 事業所ごとの労働者派遣事業の売上高を記載すること及び事業所ごとの請負事業の売上高を記載することを明記 変更になったのは、様式11号の1面にあった12「労働者派遣事業の売上高」及び13「請負事業の売上高」欄がなくなって 第2面の空きスペースに移動したことです。 第10面については、1面と2面の書き方の説明シートで、「事業所ごとの」労働者派遣事業の売上高、請負事業の売上高を記入することの説明が追加されています。 必ず新しいファイルをダウンロードして事業報告書を作成するようにしましょう。 ▼厚労省ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/hakenyouryou_00003.html
  • 派遣先で求められる派遣社員のコンプライアンス:36協定

    派遣先で求められる派遣社員のコンプライアンス:36協定 派遣社員を迎え入れる派遣先企業では、派遣社員への指示命令は行えないため、 派遣元会社が36協定を当然守ってくれているという認識ですが、実際の派遣社員の方々にきちんと周知徹底できているかというと難しいところです。 派遣社員が守るべき労働時間についてご説明しますので、ぜひ参考になさってください。 ■はじめに 派遣業界では、労働者と企業との間で適切な労働条件を確立し、健全な労働環境を提供するために、36協定が重要な役割を果たしています。 以下に、派遣元会社が気をつけるべき36協定に関する注意事項をまとめました。 1. 36協定とは何か? 36協定は「サブロクキョウテイ」と読み、労働基準法36条に基づく労使協定です。労働基準法により、1日および1週間の労働時間、休日日数が定められています。 法定労働時間を超えた残業が必要な場合には、「36協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出を行います。 派遣社員は派遣元の36協定の範囲内で残業します。 36協定では、「時間外労働(残業)を行う業務の種類」や「1日・1ヶ月・1年あたりの時間外労働(残業)の上限」などを決めなければならないため、各企業ごとに36協定の内容は異なります。 また、残業の上限(限度時間)は、月45時間・年360時間となり、臨時的に特別な事情がなければこれを超えることはできません。 さらに、臨時的に特別な事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることは禁じられています。また、月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月までと定められています。 派遣社員の残業が発生する場合、派遣社員は派遣先企業の36協定ではなく、「派遣元企業」が締結した36協定の範囲内で残業をすることになるので注意が必要です。 ただし、36協定を結べば残業がいくらでも可能になるわけではありません。 2. 派遣労働者への十分な情報提供 派遣元会社は、労働者に対して36協定の内容を明確かつ十分に説明し、理解を確認することが求められます。情報提供は書面で行うことが望ましいです。 3. 派遣契約の透明性の確保 契約書には、派遣先、業務内容、給与、労働時間、契約期間などの重要事項を明確に記載することが必要です。透明性を確保して双方の合意を明確にすることが重要です。 4. 待遇の一貫性の確保 36協定では、派遣労働者にも正規雇用者と同等の待遇を提供することが求められます。給与、労働時間、休暇、福祉制度などにおいて一貫性を保つように努めましょう。 5. 派遣先との適切なコミュニケーション 派遣元会社は、派遣先と連携して、労働条件や業務内容の変更がある場合には迅速に対応することが求められます。 6. 法令順守 36協定に基づいて、法令を遵守することが不可欠です。派遣法や労働基準法に違反しないように、常に最新の法令を確認し、遵守するよう心がけましょう。 ■さいごに 派遣元会社が36協定を遵守し、派遣労働者と派遣先企業の双方にとって公正な労働条件を提供することは、業界の信頼性を高め、ビジネスの持続可能性を確保する重要な要素です。透明性と公正性を重視することで、円滑な労働環境を築くことができます。 今回は36協定のお話をさせていただきました。プロシーズでは、ここで取り上げられていない事についてもご相談をいつでも受け付けています。ぜひお気軽にご連絡ください また、私どもプロシーズは多くの企業のeラーニング実施に携わったノウハウを活かした、効率的で便利なeラーニングシステムを提供いたしております。各分野のコンテンツが充実しており、学習状況の可視化もできるため、ぜひ導入をご検討ください。
  • リスキリングを派遣会社が取り入れるメリットは?研修をどのように行うべきかも合わせてご紹介

    2022年10月に開かれた国会で、政府は「リスキリング」の支援に今後5年間で1兆円もの予算を投じると表明しました。今回は、そもそもリスキリングとはどのようなものなのか、また派遣会社にはどのような影響が生じると考えられるのか解説します。リスキリングの実施を検討している派遣会社の方に、ぜひ参考にしていただきたい内容となっています。  

    目次

    リスキリングとは何か

    最近よく耳にするようになった「リスキリング」。それがどのようなものなのか、正確に理解できている方はまだそう多くないと思われます。そこで、リスキリングに関するトピックを取り扱う前に、まずは概要についてご説明していきます。既に内容をご存じの方も、ぜひおさらいとしてご覧下さい。  

    キャリアアップを前提としたスキルの習得

    「リスキリング(reskilling)」を直訳すると「スキルの再習得」になります。もう少し噛み砕くと、キャリアアップをしていく上で有用なスキルを働きながら学ぶことを指す言葉です。ここでいうキャリアアップとは、ひとつの会社内での出世だけを指すものではありません。転職や独立も視野に入れ、自身の能力をさらに高めていくためのスキルを身につけることを示します。もちろんスキルを身につけることは好ましいことですが、なぜ国や企業が積極的にリスキリングの実施を推進しているのか、その理由については後ほどご説明します。  

    リスキリングに注目が集まる背景

    社会全体としてリスキリングを推進する潮流が生まれたことには、企業のDX化が深く関わっています。企業におけるDX(Digital Transformation-デジタルトランスフォーメーション)化とは、企業活動にデジタル技術を組み込むことで、ビジネスをより円滑に進め、企業としての成長を促進することです。例えば、ドローンの使用による配送効率の向上や、AI チャットの活用による問い合わせ対応の効率化などは、DX化の最たる例だといえます。   ただ、実際企業でDX化を推進する上では、デジタル技術の扱いに長けた、いわゆる「デジタル人材」が必要になります。急速に進むDX化に外部委託や新規採用だけでは追いつかないという観点から、社内でのデジタル人材育成、つまりデジタル分野でのリスキリングが重要視されるようになったのです。  

    従来のキャリアアップ教育との違い

    リスキリングが話題になる前にも、労働者のキャリアにかかわる教育自体は存在していました。ただ、「リカレント教育」と呼ばれる従来の教育方式とリスキリングは、スキル習得に対するスタンスが異なります。   まず、これまでのキャリアアップ教育の主流であったリカレント教育は、労働者個人が主体的にスキルを身につけるのが前提でした。企業はその過程にあまり関与することはないため、置かれた状況や学びたい内容によっては離職せざるを得ないケースもありました。   それに対し、リスキリングは企業が主体となり、事業戦略の一環として教育を実施します。労働者はキャリアに支障が出ないようにしながら、自身のキャリアアップの糧となるようなスキルを習得できるのです。この場合離職するケースは稀で、ほとんどは業務の一部として学ぶ機会を得られます。  

    政府の取り組み

    2022年10月に招集された国会において、政府は今後5年間で1兆円もの予算を投じることを表明しました。この発表には、労働者ひとりひとりがスキルを身につけた上で、今後成長の見込みがある業界で働くことができるようにしたいという狙いがあるとされています。   また、今後さらに進むとされるDX化に対応するためには、人材の育成が必要になるでしょう。リスキリングという形でデジタル人材の育成を推進しているのには、そのような理由もあります。  

    リスキリングが必要な理由

    続いて、もう少しミクロな視点でリスキリングが必要な理由を解説します。働き方が常にアップデートされ続ける中、企業がリスキリングを進めている事情が見えてくるはずです。ここでご紹介する内容は、多くの企業に当てはまるものとなっています。ぜひ自分事として読み進めてみてください。  

    人手不足の深刻化と増大する採用コスト

    リスキリングがここまで推し進められている最大の要因は、深刻な人材の不足や採用コストがかさんでしまっているということにあります。日本における少子高齢化が進行してしまっているのはもはや周知の事実でしょう。労働人口は減少し、さまざまな業界において企業は人材の確保に苦慮しています。また、そのような状況下で転職を志す労働者も増加しているため、多くの企業で採用には多大な人的、金銭的なコストがかかっているのです。   リスキリングは基本的に既存の社員に対して行われるものなので、新たに人材を採用する必要はありません。不足している人材を新たな人材の採用と言う形で埋めるよりも、既存社員を育成する方がコストも大幅に削減可能です。新規採用と比較すると、リスキリングのコストは6分の1で済むとされています。こうした観点でリスキリングを見ると、できるだけ省コストで最大のパフォーマンスを出せるようにするための近道ともいえるでしょう。  

    複数のスキルを身につけるため

    リスキリングを受けた労働者は、必然的に複数のスキルを身につけることになります。労働者目線で見ると、身につけるスキルが多ければその分だけキャリアステップの幅は広がるといえます。転職市場においても、特にデジタル人材は非常に高く評価される傾向にあります。企業目線で見ても、その企業が抱える人材の「質」によって業界における優位性の確保ができるという効果が見込めます。情報が溢れる現代において他の企業と差別化を図るのであれば、従業員にスキルを身につけさせて会社全体の質を高めた方が良いと考えるのは、自然なことでしょう。  

    業務を進めながらスキルを身につけるため

    冒頭でご紹介した通り、リスキリングは従来のリカレント教育とは違って、業務の一環としてスキルの習得を行うというスタンスをとります。そのため、労働者目線で見れば離職しなくてもスキルを身につけることができるようになります。他方、企業としてもリスキリングが離職を減らすための重要なポイントとなることは間違いありません。「新たなスキルを習得したい」という理由での離職を減らすことで、全体の離職防止に寄与することも期待できます。  

    <派遣会社目線>リスキリングを実施するメリット

    さて、ここからの内容は主に派遣事業を展開する企業の方、もしくは派遣社員として雇用されている方に向けたものとなります。まずは特に派遣会社にとってのリスキリング実施のメリットについて、順にご説明します。派遣社員の方にとってのメリットについては、その後の章で触れていきます。  

    派遣の紹介先を増やすことができる

    派遣社員を派遣先の企業に紹介する際には、本人の持つスキルや特性を加味した人選を行います。基本的には派遣先が求めている要件を満たすような、即戦力となり得る人材を派遣するのが大前提です。裏を返せば、派遣社員が身につけているスキルが多ければ多いほど、派遣先として紹介できる企業の幅は広くなります。特にCADを扱う技術やプログラミングスキルなど、専門性の高いスキルを身につけることができていれば、派遣先企業の選択肢も増えると考えられます。  

    求められる人材を派遣できるようになる

    法令では、派遣先の企業も派遣社員の教育に協力することが定められているものの、実際は派遣先企業で教育が行われるケースは少ないといえます。先ほど述べたように、派遣先で求められるのは既にスキルを習得した即戦力となり得るような人材です。派遣先企業で教育を受けられるのがベストですが、教育を受けられないことも想定したスキル習得をしておけば、派遣先企業で重宝されるような人材を派遣できるようになるでしょう。こうして派遣社員の「質」を高めることは、派遣先企業の満足度にも直結するため、派遣会社は積極的にリスキリングを進めていくべきだといえます。  

    派遣従業員の満足度を向上させられる

    人材派遣事業においては、派遣先の満足度の他に派遣従業員の満足度も重要になってきます。リスキリングを施した従業員に、より良い条件で契約を結べるような派遣先を提示できれば、派遣従業員の満足度や納得感は増すでしょう。「長く働きたい」と思ってもらえるような会社を目指すのであれば、スキルの習得を通して快適に働けるようなきっかけ作りをするのも必要不可欠です。満足度を向上させることができれば、離職防止の効果も図れます。  

    社員教育のコストを抑えられる

    一般的には、新規採用して社員を教育する場合と比較して、1/6のコストでリスキリングを実現することが可能であると言われています。リスキリングの場合、社内ルールや基本的な知識などの共通した内容については、新たに教える必要がなく、純粋に新たなスキルを習得してもらうのに注力することができます。コストを抑えつつも派遣先に納得してもらえるような人材を育成するためには、リスキリングを活用しない手はありません。  

    <派遣社員目線>リスキリングを受けるメリット>

    続いて、派遣社員から見たリスキリング導入のメリットについて解説していきます。「仕事の幅を広げたい」「より良い条件で働きたい」という方にとって、リスキリングは絶好のチャンスです。キャリアステップの選択肢を増やすために、ぜひこの機会に活用を検討してはいかがでしょうか。  

    スキルを身につけることができる

    リスキリングを受ける最大のメリット、それはスキルを身につけて市場価値を上げられることにあります。派遣先企業としては当然、多くのスキルを持つ人材に来て欲しいと思っています。そうした人材が重宝されるのは、言うまでもありません。より良い条件で働きたいと考えているなら、リスキリングをうまく使って自身の市場価値を高めることをおすすめします。  

    仕事の幅を広げることができる

    DX化の流れもあり、特にIT関連のスキルのニーズは高まっています。たとえば、設計の現場ではCADオペレーターの仕事が数多くあるにもかかわらず、対応可能な人材が不足しているのが現状です。そこでもし、求められている要件を満たせるような人材になることができれば、契約を結べる可能性は高まります。これまで従事してきた職種から転向し、新たな業界で働くことを望んでいる場合も、リスキリングを活用して新たなスキルを身につけることには大きな意味があるといえるでしょう。  

    リスキリングを実施するデメリット

    基本的に、労働者にとってリスキリングを受けるにあたって生じるデメリットはありません。ただ、派遣会社として気に留めておくべきことはあります。ここではリスキリング実施の際に注意しなければならない内容について、デメリットという形で紹介します。  

    スキルを習得し転職してしまう可能性がある

    スキルを身につけた派遣社員は、より待遇のいい企業に転職してしまう可能性があります。特に専門性の高い技術や高度なスキルを身につけた派遣社員は、多くの企業に求められることになり、待遇で働く先を選ぶこともできるようになります。待遇が他社と比較してあまり良くないのであれば、優秀な人材はどんどん流出してしまうでしょう。   ただ、ここで注意しておきたいのは、この場合で解決しなければならないのは自社の待遇だということです。転職を志す従業員を止めるのではなく、自発的に居続けたいと思えるような会社作りを心がけましょう。  

    コストがかかる

    新規採用と比較すると低コストで実施できるとはいえ、リスキリングにも少なからずコストがかかるのは事実です。単発で講座を開催するだけではスキルの習得効果は見込めないため、教材やコンテンツの充実や綿密な計画、準備等は必要不可欠です。教育実施状況を管理する人員も必要になり、時間的・人的コストは無視できません。ただ、今後の事業拡大や派遣先の満足度向上のために大切な投資であることは間違いといえます。コストがかかるという理由でリスキリングを行わないのではなく、いかに効果的な教育を行うか検討していくべきなのです。  

    リスキリングで身につけたいおすすめのスキル3選

    さて、ここからは実際にリスキリングを実施することを想定し、どのようなスキルを身につけると良いか、具体的なスキルを挙げてご説明します。「どんなスキルを身につけたら(身につけさせたら)良いか分からない」という方は必見です。  

    動画編集

    まずご紹介するのは動画を編集するスキルです。最近では、YoutubeやTikTokをはじめとした動画プラットフォームを活用する企業が増えてきています。社内においても、説明や研修、勉強会などの場面で動画を用いる機会は多々あります。そのため、編集ソフトを使って動画編集を行うことができる人材は、多くの企業において必要とされる傾向にあるのです。ただ、ソフトによって使える機能や使用感は異なります。特別な理由がない限り、「Adobe Premiere Pro」や「Filmora」など、多くの企業で使われるソフトの操作スキルを身につけておくのがおすすめです。  

    語学

    語学スキルを持った人材も、長年さまざまな業界で重宝されてきました。特に英語や中国語など、話者の数が多い言語は使う機会が多いといえます。新型コロナウイルスの影響で海外とのビジネスが滞ってしまっていた時期もありましたが、少しずつビジネスの機会は取り戻されつつあります。そのため、語学スキルのニーズは今後さらに拡大するでしょう。  

    プログラミング

    企業のDX化に伴い、最も必要とされていると言っても過言ではないのが、プログラミングができる人材です。現状需要に対して供給が追いついていないため、リスキリングの対象とするのにもってこいだといえます。ただ、一口に「プログラミング」といっても、言語によってできることや、良く使われる業界は異なります。これからどのような業界で活躍したいかという希望に合わせて、習得する言語を選択すると良いでしょう。  

    リスキリングを行うにあたって押さえておきたいポイント

    漠然と教育を行うだけでは、高いレベルのスキルを身につけてもらうことはできません。ここからは、どのような点に気を付けながらリスキリングを実施すべきか、リスキリングを実施する企業の視点で解説していきます。教育実施前に頭に入れておいていただきたい内容ばかりなので、自社の状況と照らし合わせつつ参考にしていただければと思います。  

    習得を目指すスキルに合わせてプログラム作成をする

    スキルの種類や目指すレベル、リスキリング対象者が置かれた状況によって、必要な教育は異なります。まずは企業の事業内容や特徴、身につけたいスキルを加味して内容や構成の検討を行いましょう。そして、教育計画が完成したら、本当にその方針で良いのか他の担当者にチェックしてもらうことをおすすめします。外部の専門家を招いて内容を組むのも有効です。  

    最適な教材を集める

    実施する教育の方針や内容が固まったら、教材を集める段階に入ります。教材の用意については、社内で作るパターンと、外部に委託するパターンの2種類が主になるでしょう。教育に割くリソースが不足しているのであれば、専門の会社に委託した方が結果的に教育コストを低減できる可能性もあります。私たちプロシーズでも、eラーニングコンテンツという形で教材を提供しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。  

    モチベーションを維持する工夫をする

    リスキリング対象者の中には、新たにスキルを身につけようとしない人もいると想定されます。そうした従業員に対して、強引にスキルをたたき込むことは禁物です。余計やる気がなくなってしまう可能性すら十分あります。リスキリングをするメリットを理解させたり、スキルを身につけることで追加報酬を与えたりといった工夫をして、従業員のモチベーションを高められるよう努めましょう。  

    会社全体で協力をしてもらえる環境を作る

    リスキリングを実施することの良さは、現場での肌感覚では分かりやすいですが、反対にマネジメント層には伝わらないこともあります。会社全体で手を取り合ってリスキリングの実施ができなければ、スキル習得がうまくいかない可能性すら出てきます。リスキリングを行うことのメリットをしっかりと伝え、会社全体で協力体制を作ることが重要なのです。  

    派遣会社がリスキリングの導入をするにはどのようにしたら良いか

    最後に、派遣会社におけるリスキリング導入のポイントを解説します。派遣会社は他の業態と比べて雇用の仕方が異なるため、リスキリングの実施時に気を付けるべき点も、派遣会社ならではのものとなります。派遣会社が持つ特徴を理解した上で、リスキリング教育を実施しましょう。  

    派遣会社がもつ特徴

    派遣会社の特徴として挙げられるのは、人数が多いことと、それに起因して一斉に教育を実施しようとすると都合がつきにくいことです。ひとりひとりの都合のいい時間がバラバラであることに加え、人によって身につけるべきスキルも異なります。従来の教育方法でよく見られた集合型の研修は、派遣会社のリスキリングにおいては不向きだといえるでしょう。  

    派遣会社にオススメの研修方法<

    こうした特徴を持つ派遣会社では、求職者のレベル感やスケジュールに合わせて教育を実施することができるeラーニングがおすすめです。管理者目線でも、eラーニングは教育の状況が分かりやすいため、導入のメリットは大きいでしょう。   私たちプロシーズでは、多くの企業のeラーニング実施に携わったノウハウを活かした、効率的で便利なeラーニングシステムの提供が可能です。各分野のコンテンツが充実しており、学習状況の可視化もできるため、ぜひ導入をご検討ください。  

    派遣会社は今こそリスキリングを取り入れるべし

    今回は、主にリスキリングと派遣会社に関する内容にフォーカスし、実際にリスキリングを実施する想定でメリットや注意点をご説明してきました。多くの企業で今後さらに推進されると考えられるリスキリング。導入を検討してみてはいかがでしょうか。プロシーズでは、リスキリングに関するご相談をいつでも受け付けています。ぜひお気軽にご連絡ください!
  • 派遣元責任者とは?~役割や要件・講習の必要について~

    派遣会社を運営する上で必ず設置する必要がある「派遣元責任者」。 初めて派遣元責任者講習を受ける方や、今から派遣会社や事業所を立ち上げ、事業許可を得る方々のために、派遣元責任者を設置する目的や要件・講習の必要性をまとめました。 派遣元責任者講習を選ぶポイントも解説していますので、ぜひご覧ください。

    1. 派遣元責任者とは

    派遣元責任者とは、労働者派遣事業者(派遣元事業主)に選任された、派遣労働者の適切な雇用管理や保護を担う人をいいます。 これは労働者派遣法で定められたもので、事業所ごとに配置する必要があり、【派遣労働者100人】に対して【1人以上の派遣元責任者】を選任することが義務付けられています。 派遣業務を行うなかで、派遣労働者と派遣先の企業との間でトラブルが起こったり、苦情が出たりすることもあるものです。そのような際には、派遣先の企業と労働者との間で生じるさまざまな問題に対して、迅速な処理や解決を図ることが派遣元責任者の役割となっています。

    2. 派遣元責任者を設置する目的と背景

    現在、労働者派遣事業の許可を取るためには、『派遣元責任者』を選任することが必要となっています。

    2-1. 目的

    労働者派遣法36条に、派遣元事業主が講ずるべき措置として派遣元責任者を選任することが明記され、適正な雇用管理を確保する目的で「派遣元責任者」を選任することが定められています。

    2-2. 背景

    労働者派遣法は、1985年(昭和60年)制定され、派遣元責任者は、派遣労働者の雇用管理を適正に行うこと、労働者の保護を目的として設置されました。

    2つの派遣事業

    派遣法が制定された昭和60年は、バブル景気で派遣業も好景気。 当時の労働者派遣事業は、届け出制である『特定労働者派遣事業』と、許可制である『一般労働者派遣事業』の2種類に区分されていました。 一般労働者派遣事業は、厚生労働省の認可を受けたうえで運営することが求められているのに対して、特定労働者派遣事業は届出さえ出していれば許可は不要となっていたのです。つまり、派遣事業のうち、特定労働者派遣事業の場合は、派遣元責任者は設けられていない状態でした。

    特定派遣が廃止され、派遣を行う場合は派遣元責任者の設置が必須に

    しかし、その後、バブルがはじけ、さらに2008年のリーマンショックによる派遣切りや雇い止めなどが社会問題となっていました。 そんな中、2015年に特定派遣が廃止。派遣企業はすべて一般労働者派遣事業として許可を得なければいけなくなりました。 一般労働者派遣事業を行うには様々な要件がありますが、つまり、そのうちの一つである派遣元責任者の設置が必須となったのです。 特定派遣が廃止の背景には、派遣労働者の立場を向上させる、安定した働き方にするためでした。逆に言えば、それまでの派遣労働者の立場は非常に不安定であったのです。 特定派遣は、一般派遣と違って【期間の定めのない雇用】となり、安定しているようにみえますが、実際のところ、【期間の定めのない】ことは、必ずしも正社員として雇用しなければならないということではなく、派遣元企業によっては契約社員や準社員といった雇用形態で派遣労働者を雇用するところも多くありました。 このことから、労働者は安定していない立場のまま働かざるを得なかったのです。 また、特定派遣事業は国に届出をしさえすれば、特に何か要件をクリアする必要がなく事業が開始できることもあり、資金力の低い企業が派遣事業を行うケースも多く見られました。 これにより、ひとたび業績が悪化すると、特定派遣労働者への給与支払いをせずに人員整理と称して解雇する会社もあったのです。 特定派遣は、本来であれば労働者にとって【期間の定めのない雇用】として、安定した働き方ができる雇用形態のはずが、実情は労働者を不安定な立場に陥らせてしまう問題があったのです。

    3. 派遣元責任者の選任

    派遣事業を行うためには、事業所ごとに派遣元責任者を選任する必要があります。 また、派遣元労働者100人ごとに1人以上を選任しなければいけません。 では、その派遣元責任者はどのように選べばよいのでしょうか。 派遣元責任者を選任する際には
    1. 欠格事由に該当しない人
    2. 3つの要件に該当する人
    である必要があります。

    3-1. ▼欠格事由

    • 禁固刑又は労働基準法違反などにより懲役・罰金の刑に処され、その執行を受ける事ができなくなってから5年を経過しない者
    • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
    • 労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
    • 未成年者である者
    • 外国人で一定の在留資格のない者
    上記欠格事由に当てはまらない人で、下記の要件を満たす人となります。

    3-2. ▼派遣元責任者の要件

    1. 派遣元責任者の業務に専任できること
    2. 3年以上の労務管理経験があること
    3. 3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること

    派遣元責任者の業務に専任できること

    要件1つ目について、派遣元責任者は、派遣先企業や派遣労働者からの苦情・相談があった場合、いつでも対応ができるよう体制を整える必要があります。 そのため、派遣元責任者自身が派遣労働者として労働することはできません。 また、他の会社の役員や従業員となっている場合も、派遣元責任者としては認められませんので注意しましょう。 許可更新など手続きマニュアルでは、「派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること」 と記載があります。派遣元責任者が日帰りできる範囲であることが求められています。これは飛行機での往復でも問題ないというような回答もありますが、範囲の規定というよりは、責任を持って業務ができることが重視されています。

    3年以上の労務管理経験があること

    要件2つ目の「3年以上の労務管理経験があること」とは次のような経験のことを指します。

    A.人事または労務の担当者(代表者や管理職など) B.派遣事業で、派遣労働者や登録者の労務を担当していた者 C.その他、次のような経験がある者

    a.成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者 b.成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者 c.成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者

    3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること

    要件3つ目の「3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること」については、派遣元責任者講習を受けてから3年経過している人は、再度受講しなければいけません。また、新しく派遣事業を行うにあたっては、申請に先立って派遣元責任者講習を受けておく必要があります。 予約制となっていますので、早いうちにスケジュールを確認しておきましょう。 実際に選任する際には、派遣会社の社員であり、事業所の中でも管理職以上である方が妥当でしょう。 また、営業担当と別の方にしておいた方が良いでしょう。なぜなら、派遣社員からの苦情に関しては営業担当に関する内容のものも多いためです。

    4. 製造専門派遣元責任者について

    製造業への派遣を行う場合は、『製造専門派遣元責任者』を選任する必要があります。 これは、製造業務では危険な機械を操作したり、有害物質を取り扱ったりすることがあるため、派遣元責任者とは別に『製造業務専門の責任者』として選任が義務付けられています。 要件などは通常の派遣元責任者と変わりません。 派遣労働者100名に1人以上派遣元責任者を選任するのも同じく、製造業務に従事する派遣労働者100名に1人以上製造専門派遣元責任者を選任する必要があります。 ただし、『製造業務専門派遣元責任者』のうち1人は『派遣元責任者』を兼任することが可能です。 つまり、1事業所に、【50名の派遣労働者】と【50名の製造業に従事する派遣労働者】の合わせて100名いる場合、製造業に従事する人がいるので『製造業務専門派遣元責任者』1人は必須、100名で1人の『派遣元責任者』を選任する必要がありますが、兼任ができるので、『製造業務専門派遣元責任者』1人を選任すればよい、ということになります。

    5. 派遣元責任者の仕事内容

    派遣元責任者が行う職務についてご紹介します。

    (1)派遣労働者であることの明示

    派遣労働者として雇入れを行うことを雇用契約書などで明示します。 紹介予定派遣の場合は、紹介予定派遣であることを明示しておきます。

    (2)就業条件などの明示

    派遣労働者に就業条件と派遣受入期間の制限に抵触することになる最初の日を通知します。

    (3)派遣先への通知

    派遣先企業に派遣労働者に関する氏名や性別、年齢に関する事柄などの情報を通知します。

    (4)派遣先および派遣労働者に対する派遣停止の通知

    派遣受入期間の制限に抵触する場合は、1ヶ月前から前日までの間に派遣先企業と派遣労働者に、労働者派遣を行わないことの通知が必要です。

    (5)派遣元管理台帳の作成、記録、保存

    派遣労働者の氏名・派遣先の名称・派遣期間・就業時間など、法令で定められた事項を記録しておくための派遣元管理台帳を作成します。 なお、派遣元管理台帳は、派遣を終了した日から3年間保管しておくことが義務付けられています。 ちなみに決まったフォーマットはありませんので、項目が揃ってさえいれば問題ありません。 パソコン上のファイル、電子記録でも認められています。

    (6)派遣労働者に対する必要な助言や指導実施

    派遣労働者に助言や指導を行う内容としては
    • 労働者派遣事業制度や労働者派遣契約の趣旨や内容
    • 派遣会社や派遣先企業が講じるべき措置
    などに関することが挙げられます。 または、労働者派遣法改正があった際には、改正点について説明会や文書の配布などによって周知を行うことが求められます。 2021年1月の派遣法改正では、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングを行うことを説明する義務が追加されました。 ※派遣の学校では、キャリアアップ教育訓練についての無料セミナーも開催しております。ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】

    (7)派遣労働者からの苦情の処理

    派遣労働者から労働環境や労働条件などに関して苦情を受けた際には、派遣先企業に通知を行うなど、適切な処理を行うことが求められます。

    (8)派遣先との連絡・調整

    派遣就業に関して問題が生じた際に、派遣先企業との調整を行います。

    (9)派遣労働者の個人情報の管理

    派遣労働者の個人情報が正確で最新のものとなるように管理を行い、不要な個人情報を破棄します。 また、派遣労働者の個人情報への不正アクセスが行われないように管理を求められます。

    (10)派遣労働者についての教育訓練の実施及び職業生活設計に関する相談の機会の確保に関すること

    派遣労働者のキャリアアップにつながる教育訓練を年間8時間、入職から3年間実施する義務があります。 また、キャリアコンサルティングの窓口を設けて、派遣労働者が希望する場合はキャリアコンサルティングを実施する必要があります。 キャリアアップ教育訓練は、毎年6月の事業報告書での報告義務と、派遣許可更新時には、キャリアアップ教育訓練計画を提出する必要があります。 キャリアアップ教育訓練は、段階的かつ体系的な教育訓練の実施が求められます。

    (11)安全衛生に関すること

    派遣労働者の安全衛生が確保されるように、連絡や調整を行います。 安全衛生教育の実施や、健康診断、また労災事故などが発生した際には、対応状況の確認を行うといったことが含まれます。

    6. 義務化されている派遣元責任者講習

    派遣元責任者となるには講習を受けることが必須です。 派遣元責任者講習の内容と受講方法について紹介します。

    6-1. 派遣元責任者講習の目的

    労働者派遣法第36条により選任を義務付けられている派遣元責任者に対して、法の趣旨、派遣元責任者の職務、必要な事務手続等について講習を実施しています。 派遣元事業所における適正な雇用管理及び事業運営の適正化に資する(役立つ)ことを目的としています。

    6-2. 受講対象

    派遣元責任者、派遣元責任者に選任予定の方 ※その他労働者派遣事業の知識を習得したい方も受講は可能です。

    6-3. 派遣元責任者講習概要

    派遣元責任者講習は、数日かけて行われるものではなく、1日間のみで終了する講習です。 労働者派遣事業の許可を受けるために必要となる【受講証明書】は、派遣元責任者講習を受講することで発行されるようになっています。テスト等はありません。 派遣法などの労働法に詳しい専門家が講師を務め、多くは休憩時間を挟みながら10~17時の間で講習が行われます。約6時間と長丁場ですが、内容が非常に多いため、かなり駆け足の講習となります。

    講義の内容

    1. 労働者派遣法
    2. 労働基準法等の適用(特例)
    3. 派遣元責任者の職務遂行上の留意点
    4. 個人情報の保護の取扱いに係る労働者派遣法の遵守と公正な採用選考の推進等
    労働者派遣法や労働基準法の適用に関すること、また、個人情報と労働者派遣法の取り扱いなどについてです。また、大きな法改正があった場合は、その目的や概要などの説明もあります。 法律など専門的な内容が多くありますが、専門家である講師が具体的な事例などを挙げながら進めていきます。 発行された証明書は、労働者派遣事業の許可申請の際だけではなく、更新手続きのときや、派遣元責任者の就任の際にも必要となる大事な書類です。

    6-4. 派遣元責任者講習の選び方

    派遣元責任者講習は、厚生労働省が委託した講習機関が全国で実施しています。 完全予約制で、多いところでは毎月8回ぐらい実施されています。 全国の主要都市をはじめとするさまざまな場所で受けることができます。また、同時開催ではなく、開催される場所によって実施日が異なっているため、都合の良い実施場所や日程を選ぶことが可能です。会場により人数制限があるため、派遣事業を開始する前に受講を行えるように予約をしておく必要があります。 具体的にいつどこで開催されるかは、厚生労働省のホームページに掲載されている実施機関や講習日程の一覧で確認することができます。 ※講習の日程や予約については、厚労省サイトでご確認ください。 ●派遣元責任者講習の講習機関一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000044436.html 申し込みは、希望する機関に直接行います。受講料については、実施する機関によって設定は異なっていますが、全体的に見ると6000~9000円が相場です。 支払い方法は、各実施機関の指示に従って行いましょう。必ず、期限内に支払いを終わらせておくように注意が必要です。 また、2021年より、eラーニングによる受講が始まりました。派遣元責任者講習を受けるのであれば、場所も時間も選ばずに受講でき、修了できるeラーニングは非常におすすめです。

    派遣事業者向けキャリアアップ教育訓練eラーニングサービス「派遣の学校」

    派遣許可申請中から、キャリアアップ教育訓練の準備をしておくことをお勧めします。 派遣元責任者が行う雇入れ時の説明義務や、実際のキャリアアップ教育訓練、そして6月の事業報告書作成について、担当者の手間を省きつつ、派遣社員のキャリアアップにつながる教育訓練を実現できる『派遣の学校』をぜひご活用ください。 『派遣の学校』は、2015年のサービス開始から、250社以上にご利用いただき、派遣会社に特化した機能を搭載したeラーニングシステムと、専門職種のeラーニング教材を多数ご用意しているため、ご希望に沿ったキャリアアップにつながる研修を実行することができます。 体系的かつ段階的な教育を行うためのカリキュラム作成のご提案や、キャリアアップ教育以外の安全衛生教育やストレスチェックにも対応しています。さらに、労働局やハローワークに聞いてもなかなか分からない担当者様の疑問にお応えするサポートも充実しています。 また、派遣業務管理に人材管理システム『スタッフナビゲーター』をご利用いただいている場合、派遣の学校と連携して教育訓練結果をスタッフナビゲーターに取り込むことができます。 また、『派遣の学校』ではご契約いただく企業様一社一社にヒアリングを行い、業種に合わせたキャリアアップ教育訓練プランを無償でご提案しております。 キャリアアップ教育訓練プランサンプルもご用意しておりますので、下記バナーよりダウンロードくださいませ。 改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
  • 労働者派遣事業報告書のキャリアアップ教育訓練の実施有無など書き方・ポイントをご紹介!

    新型コロナウイルスの影響により、世界的に働き方が大きく変わりました。 募集が減る職種、増える職種が出るなど、派遣の仕事にも大きな影響がありつつも 2021年度以降も人材派遣業界の市場規模は拡大を続けています。 コロナ禍で厳しい状況に置かれていたイベント業界や観光業界も、2019年以前の規模に回復してきています。 また、事務職やWeb業界、そしてDX化で様々な職種で新しい仕事の需要が伸びてもきています。 慢性的な人手不足により、必要とされる事業として人材派遣業を検討している企業の方も多いでしょう。 派遣業を行うためには計画書を作成して許可申請を取る必要があります。 そして、許可をとったあとも、毎年6月には事業報告書の提出義務があります。 派遣業を検討されている企業様だけでなく、今は兼業を行っている派遣会社の担当者様もこの事業報告書の提出はなかなかハードルが高い仕事だと思います。 今回は、労働者派遣事業報告書の書き方のポイントをご紹介したいと思います。  

    目次

    1. 労働者派遣事業報告書とは?

    まず「労働者派遣事業報告書」とは、派遣元会社が労働局に対して、派遣事業を正しく運営しているか、派遣労働者の労働環境や待遇をしっかり守っているかを報告するための書類です。 全派遣会社が毎年6月末までに「労働者派遣事業報告書」を作成し提出することが派遣法によって義務づけられています。 労働者派遣の実績がない場合も、労働派遣事業報告書は提出しなければなりません。  

    2. 事業報告書を提出する目的

    派遣事業報告書の一番の目的は、派遣法の目的でもある「派遣社員の待遇を良くする」ことにつきます。 派遣労働は、柔軟な働き方ができるメリットがある一方、雇用が不安定になりがちです。 企業の不足人員に対する期限付きの雇入といった面は否めません。 派遣先企業側の都合で、派遣契約期間が終了となることが多いこともまた事実であり、派遣労働者が弱い立場に追い込まれることさえあります。 このような派遣社員の権利を守るために、派遣法が制定され厳しい規制が敷かれました。さらには一般労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可も必要となっているのです。 →改正派遣法に関する情報はこちら →派遣事業許可に関する情報はこちら このような目的があるために、派遣事業の業績、派遣社員の勤務状況、派遣社員の待遇改善状況など事業運営について毎年事業報告書を提出する必要があるのです。  

    3. 何を提出する必要があるか

    提出すべき書類は下記のとおりです。
    1. 労働者派遣事業報告書(様式第11号)
    2. 労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)
    3. 関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)
    毎年、事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出しなければなりません。 また、これらの書類は事業所ごとに作成する必要があります。 正本1部、写し2部の3部印刷して持込か郵送で労働局に提出します。 受理されたあとは、写しの1部が返送されます。 まずは、提出が必要な3つの報告書の期限について解説していきたいと思います。  

    4. いつまでに作ればいいか

    4-1. 労働者派遣事業報告書【様式第11号】:毎年6月30日

    1つ目の労働者派遣事業報告書【様式第11号】の提出期限は、すべての派遣元事業者に共通した期限です。毎年6月30日までに、年度報告及び6月1日現在の状況報告を提出する必要があります。 「6月1日現在の状況報告」については注意が必要です。 これは報告するべき対象期間についての説明となります。 言い換えると【昨年度6月1日から今年度5月31日】までに迎えた決算年度が報告対象期間となります。 報告対象期間は、会社ごとの決算月によって異なります。 2021年6月30日提出期限の報告期間について、1月~5月決算の会社は、去年2020年6月1日から2021年5月31日までの期間を報告します。 2021年6月1日時点ではまだ決算を迎えていない6月~12月決算の会社は、一昨年2019年6月1日から2020年5月31日までの期間を報告することになります。 そのため、派遣事業で義務化されているキャリアアップ教育訓練の実施などを行ってきちんと報告するためには、一年前から準備しておく必要があるのです。  

    4-2. 労働者派遣事業収支決算書【様式第12号】:毎事業年度経過後3ヶ月以内

    2つ目の労働者派遣事業収支決算書【様式第12号】について、法人は貸借対照表および損益計算書の添付でOKです。 こちらの提出期限は、【毎事業年度経過後3か月以内】となっています。 決算書をまとめる時間などを考慮して、2月3月の決算の場合、事業報告書と同時に提出することが可能であり、提出漏れしにくいと言えるでしょう。 その他の月が決算の場合、事業報告書とは別の期限となりますので注意しましょう。  

    4-3. 関係派遣先派遣割合報告書 【様式第12号-2】:毎事業年度経過後3ヶ月以内

    3つ目の関係派遣先派遣割合報告書 【様式第12号-2】は、労働者派遣法第23条の2で定められている、グループ会社などへの派遣、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下であるかを報告する書類です。 期限は収支決算書と同じ毎事業年度経過後3ヶ月以内となっています。 収支決算書と同時に出すのが一般的です。 ・お役立ちセミナー・資料ダウンロード 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】 【『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブック・キャリアアップ教育プランサンプル】

    5. 労働者派遣事業報告書の作成準備

    ここからは、事業報告書を作成するための準備について説明します。 作成前に下記資料を準備しておきましょう。  

    5-1. <労働者派遣事業収支決算書>

    事業所の労働者派遣事業の売上高報告欄を記入するため、直近の決算報告書を用意しましょう。  

    5-2. <労働者派遣事業個別契約書>

    自社の派遣労働者の人数、有期・無期雇用それぞれの人数、雇用期間、派遣先で従事する職種など細かな報告が必要です。 個別の契約書を用意し、自社で抱える人材の契約内容を把握できるよう整理しておきましょう。  

    5-3. <雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録>

    義務の一つ、安全衛生教育の実施記録について報告が必要です。 いつ、誰に、どんな内容の安全衛生教育を実施したか、どのくらいの時間をかけたか、などの記録をまとめておきましょう。  

    5-4. <派遣元管理台帳(キャリアアップ教育、雇用安定措置)>

    キャリアアップ教育訓練の実施、雇用が安定するための措置について詳細を報告する必要があります。 誰にどんな内容の教育を実施したか、実施状況を記録が必要です。 eラーニングを利用した場合は、受講履歴を自動集計することができ、無駄なく正確な報告を行うことができます。  

    5-5. <その他の教育訓練実施記録>

    派遣労働者に対して、安全衛生やキャリアアップの以外の教育を実施している場合は、その内容も労働者派遣事業報告書に記載するため記録しておきましょう。 その他の教育訓練とは、例えば、マイナンバーを扱う事務派遣の仕事をする上で知っておく必要があるマイナンバー研修や、職務とは直接関わりはない一般教養、また、派遣社員が希望したが受講は任意であった場合の教育訓練などが該当します。  

    5-6. <総勘定元帳(派遣先事業主取引額確認)>

    自社の主な派遣先を記入します。「取引額の上位5社」の情報を記入する必要があるため、総勘定元帳を用意しておきましょう。  

    5-7. <派遣料金請求書>

    派遣料金を業種ごとに記入します。 各業種ごとに派遣料金を確認できるよう、請求書を整理して用意しておきましょう。  

    5-8. <雇用保険・社会保険通知書等>

    自社の派遣労働者、それぞれの雇用保険・社会保険の加入状況を記入します。 雇用見込み期間、有期・無期契約などに分けて記入する必要があります。 個別の加入状況が把握できるように社会保険通知書などの書類をまとめておきましょう。   上記に挙げたたくさんの資料が必要になりますので、準備期間をしっかりととっておくようにしましょう。  

    6. 労働者派遣事業報告書の作成

    ここからは実際に報告書を作成する際の書き方とチェックポイントを説明します。 まずは厚労省サイトから最新の書式をダウンロードしてください。
    • 労働者派遣事業報告書(様式第11号) or 入力補助機能つき(様式第11号)
    • 労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)
    • 関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)
    各項目で、excelファイルとPDFファイルがダウンロード可能です。 様式第11号については、入力補助のマクロ機能を付加しているファイルもダウンロードできます。 ▼厚生労働省サイト https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/hakenyouryou.html 法改正によりデータが更新されている可能性があるので、作成前に必ず最新の書式をダウンロードしておきましょう。 最新でないと、報告項目が異なっているため、再提出を求められます。  

    6-1. 報告書を作成する際の書き方

    報告書は事業所ごとに作成する必要があります。 東京と大阪に拠点があれば、それぞれ1枚ずつ事業報告書を作成します。拠点ごとに派遣元責任者も選出しておく必要があります。 では上記踏まえて、実際に労働者派遣事業報告書の作成をしていきます。 様式第11号を順に記載していきましょう。 全14面ありますが、1~9面までが記載面で、10面以降は書き方の説明となります。 順にご説明していきます。  

    第1面

    会社、事業所の情報、派遣事業の売上情報を記載します。  

    第2面

    派遣労働者の人数、安全衛生教育の実施状況、その他の教育訓練の実施状況、雇用安定措置の実施状況を記載します。 安全衛生教育は、キャリアアップ教育訓練とは別で、雇入れ時と業務変更があった際に説明が義務付けられています。 安全衛生教育の「教育の内容及び当該内容に係る労働安全衛生法又は労働安全衛生規則の該当番号」は、下記の番号となります。
    労働安全衛生規則 (雇入れ時等の教育) 第三十五条(※)
    1.  機械等,原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取り扱い方法に関すること
    2.  安全装置,有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取り扱い方法に関すること
    3.  作業手順に関すること
    4.  作業開始時の点検に関すること
    5.  当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
    6.  整理,整頓及び清潔の保持に関すること
    7.  事故時等における応急措置及び退避に関すること
    8.  その他当該業務に関する安全又は衛生のための必要な事項
    製造物流系の以外の職種では、1~4を省いて、5・6・7の教育を行えば良いとされています。  

    第3面

    派遣料金、派遣労働者の賃金で、全体・有期・無期・業務ごとの平均額を記載します。 2021年度から「医師」「薬剤師」「看護師」「准看護師」「診療放射線技師」「臨床検査技師」「その他の医療技術者」の区分が追加されました。  

    第4面

    3面の続きです。  

    第5面

    日雇派遣労働者の業務別派遣料金賃金を記載します。日雇い派遣を行っていなければ記載なしとして斜線を引いておきます。 こちらにも2021年度から「看護業務」の区分が追加されました。  

    第6面

    キャリアアップ措置の実施について記載します。キャリアコンサルタントの人数、キャリアコンサルティングの実施数、キャリアアップ教育訓練についても詳細な報告が必要です。 教育訓練内容が派遣社員にとってキャリアアップに資する、役立つとする根拠を説明する資料となります。 フルタイム・短時間勤務ごと、1年目~4年目以降の教育訓練の実施時間と実施人数、入職時、職能別、職種転換、階層別の教育訓練内容などの実施状況を集計して記載します。 また、キャリアアップ教育訓練は有給無償の教育となりますので、1人1時間あたり平均での賃金額も記載します。 もう一点、キャリアアップ教育訓練については、さらに詳細な教育訓練内容が分かる資料を求められます。教育訓練カリキュラムと教育訓練内容を別紙として提出が必要になります。 また、その他の教育訓練を実施している場合はその詳細もここに記載します。 ※派遣の学校では、キャリアアップ教育訓練についての無料セミナーも開催しております。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】  

    第7面

    派遣労働者の実人数を記載します。2020年度のフォーマットから、全派遣労働者のうちの労使協定対象の派遣労働者数を記載する項目が追加されています。 また、2021年度から第3面同様、「医師」「薬剤師」「看護師」「准看護師」「診療放射線技師」「臨床検査技師」「その他の医療技術者」の区分が追加されました。  

    第8面

    7面の続きです。  

    第9面

    日雇派遣労働者の実人数を記載します。 第5面同様、2021年度から「看護業務」の区分が追加されました。  

    第10面~第14面

    1面から9面についての記載注意事項が掲載されています。記入箇所はありません。   事業報告書【様式11号】について、枚数が多く感じますが、中身を知ればそんなに大変なことではないことがおわかりいただけたかと思います。 さらに次にチェックポイントをしっかり確認すれば事業報告書の作成は問題ないでしょう。  

    6-2. 労働者派遣事業報告書の作成 8つのチェックポイント

    1 禁止業務への派遣、日雇派遣の原則禁止に該当する派遣の有無

    日雇派遣とは「30日以内で雇用保険の対象にならない契約」(労働者派遣法第35条4の1)と定義される働き方です。 2012年の派遣法改正で、雇用の安定化のために原則禁止となりました。学生であったり60歳以上のシニアの場合など例外規則はありますが、禁止されている派遣を行っていないことをきちんと確認しておきましょう。  

    2 グループ企業への派遣割合(8割規制)

    特定の企業にだけ派遣するいわゆる専ら派遣について、2012年の派遣法改正で、「グループ内の企業への派遣割合が8割を超えてはいけない」と明確な基準が定められました。 派遣会社は派遣社員を【限定した派遣先にだけ】派遣を行ってはいけません。 グループ内派遣を目的とした派遣会社は、派遣社員のためではなく、マネーロンダリングや派遣先の安価な労働力を確保するためと疑われてしまいます。  

    3 抵触日

    抵触日とは「派遣期間制限が切れた翌日」のことです。 派遣期間については、「事業所単位」「個人単位」がありますが、どちらの派遣期間制限も3年が限度と定められています。派遣社員の抵触日についてはきっちりと管理しておきましょう。  

    4 適切な情報提供の有無

    派遣元事業主は『事業所ごとの派遣労働者の数』『派遣先数』『マージン率等』について、関係者、つまり派遣社員に情報提供をする義務があります。 情報提供の方法は、【インターネットの利用その他の適切な方法】となっています。 インターネットでなければならないということではなく、自社サイトで公開するか、その他の適切な方法として、事業所にいつでも閲覧できるように書類を備え付けておくなどの対応でOKです。  

    5 雇用安定措置の実施有無

    雇用安定措置とは、派遣元事業主の義務として「同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある方に、派遣終了後の雇用を継続される措置」の事です。 行う措置は大きく分けて下記の4パターンです。
    1. 派遣先への直接雇用の依頼
    2. 新たな派遣先の提供
    3. 派遣元での無期雇用(派遣元で正社員雇用)
    4. その他安定した雇用継続を図るための措置(教育訓練、紹介予定派遣等)
    ちなみに派遣先企業においても、雇用安定措置として『派遣社員の直接雇用の努力義務』があります。 また、令和3年4月1日施行された派遣法改正でも【雇用安定措置に係る派遣社員の希望する措置の意見聴取と記録】が義務付けられました。 派遣社員から上記4パターンのうち、希望する措置の内容をヒアリングし、その内容を派遣元管理台帳に記載しなければならないことになりました。 記載する内容としては、『意見聴取を実施した年月日』と『希望する措置』があればよいでしょう。  

    6 キャリアアップ教育の実施有無

    キャリアアップ教育訓練を派遣社員が受けられる環境を用意し、実施した内容を記載する必要があります。 おそらく事業報告書でここが一番準備が大変なところとなるかと思います。 入職時基礎訓練、職能別訓練、階層別訓練、希望があれば職種転換訓練の実施状況として、派遣社員の何名が、何時間受講したかを集計して記載します。 入職時・職能別・階層別で行った教育ごとに、何人で受講したか、受けた時間の合計を集計する必要があります。 ちなみに派遣の学校をご利用いただくと、事業報告書ダウンロード機能により、このキャリアアップ教育の実施有無についてエクセルファイルでダウンロードできるようになり、正確かつ手間を省くことができます。ぜひご検討ください。  

    7 労働条件、就業条件、派遣料金の説明が適切か

    労働契約の締結の際に、労働条件、就業条件、派遣料金の明示を行う必要があります。  

    8 社会・労働保険の加入手続き有無

    労働契約の締結の際に、社会・労働保険の加入手続きを適切に行う必要があります。 派遣会社に雇用され、各派遣先で働く派遣社員は、勤務先ではなく派遣会社で社会保険に加入する必要があります。 派遣社員登録を行う際に、社会保険にきちんと入れるかというところは見られていますのできちんと確認しておきましょう。  

    7. 未提出や虚偽申告の罰則は?

    事業報告書は派遣元事業主の義務であり、派遣社員の待遇改善のための施策です。
    • 事業報告書を期限までに提出しない
    • 虚偽の報告をした
    上記については、30万円以下の罰金に処せられる場合があり、併せて派遣許可の取り消しの対象になることがあります。 「社会保険未加入者がいるけど全員加入しているように報告書に記載する」 「実際にはキャリアアップ教育訓練してないけど実施したことにして記載する」 などは悪質な行為として取られます。 もしキャリアアップ教育訓練を行っていないなどがあったとしても、まずはその状況を正直に報告した上で、改善策を合わせて提示するようにしましょう。 事業報告書の書き方のポイントはここまでです。  

    8. 労働者派遣事業報告書の作成が楽になる教育訓練管理システム

    事業報告書作成に置いて、一番のハードルはキャリアアップ教育訓練の集計だと思います。 段階的かつ体系的な教育訓練を準備し、派遣社員が実施できる環境を整えたうえで、実際に受講された時間を、入職時基礎訓練、職能別訓練、階層別訓練、必要ならば職種転換訓練ごとに人数と時間を記載していく必要があります。 改正派遣法に対応した派遣会社様に特化したeラーニングサービス「派遣の学校」をご利用いただいた場合、まずは高品質で多様な教材がありますので、法で定められる「体系的かつ段階的」な教育訓練カリキュラムを組むことができ、事業報告書に必要な集計も管理画面からほぼそのまま抽出することが可能です。 そもそもの教育訓練カリキュラムの作成についてもサポートさせていただけます。 「派遣の学校」では改正派遣法対策として『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブックを作成致しました。 また、キャリアアップ教育訓練プランサンプルもご用意し、お問い合わせいただいた方に無償配布致します。 よろしければご活用ください。 改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
    これから派遣会社を始められる企業様、ご担当者様はぜひ「派遣の学校」にお問い合わせください。
  • 年8時間の派遣社員のキャリアアップ教育訓練とは?

    2015年9月の改正労働者派遣法によって、派遣社員に入社して3年間、年間8時間以上のキャリアアップ教育訓練を受けさせることが派遣元事業主に義務化されました。 派遣事業を行う派遣元事業主が実施し、研修を受ける派遣社員は研修時間内は有給無償、費用を払う必要がありません。

    目次

    派遣社員の教育訓練(キャリアアップ教育訓練)とは

    改正派遣法で定められたキャリアアップ教育訓練の主な内容は下記のとおりです。
    1. 1年以上雇用見込みのある全ての派遣社員が対象
    2. 教育訓練は有給かつ無償(フルタイムで毎年8時間、時短はそれに比する時間)
    3. キャリア形成のための、段階的かつ体系的な教育カリキュラム
    4. 入職時基礎訓練、職能別訓練、※職種転換訓練、階層別訓練の4種の訓練
    5. キャリアアップに資する(役立つ)訓練内容
    派遣法で定められている上記内容について、詳しく見ていきましょう。

    1年以上雇用見込みのある全ての派遣社員が対象

    派遣元事業主が環境を用意しなくてはならない対象となる派遣社員の定義となります。 注意したいのは、「1年以上雇用見込みのある」という言葉です。 文面通りならば、1年以上雇用されるだろう派遣社員、と考えられます。ではどの段階で1年以上の雇用とみなすことになるでしょうか。 結論から言いますと、労働局の解釈は「継続的に雇用する可能性がある派遣社員は全て対象」としています。 例えば3ヶ月毎に更新がある派遣契約だとすると、3度めの更新で1年以上の契約が確定しますが、そこは関係なく、契約更新をする可能性があるなら対象となる、と判断します。 そのため、雇入れの際に10ヶ月で仕事を離れますというような特別な契約をしていない限り、ほぼすべての派遣社員が対象となることになります。

    教育訓練は有給かつ無償(フルタイムで毎年8時間、時短はそれに比する時間)

    派遣社員にとっては、有給かつ無償で行われる、言わば仕事と同じ扱いで教育訓練を受けられる権利となります。 休み時間や休日に教育訓練を行えば、仕事と同じ扱いですので、別途休み時間を与える、残業代や休日手当を支給する必要があります。 どうしても仕事中は受けさせることができない職場もありますが、その場合は別途教育訓練を受けるための日程を組むなど、休日手当や残業にならないようにする工夫が必要でしょう。

    パケット代の支給

    また、教育訓練として無償で行うということで、eラーニングで教育訓練を実施するにあたってパケット代も支給しなくてはいけないのか、というご質問をいただくことがあります。 もし、その方法しか受講することができない場合は支払う必要があります。 受講できる環境を整えるのが派遣元事業主に求められていることだからです。 環境を用意することが重要ということになります。 ですので、キャリアアップ教育訓練について説明をする際に、従量課金ではなくWifi環境で受講を推奨すること、またWifi環境が用意できない場合は会社に来て受講することができる環境を準備するという環境を整えることで、パケット代の支払いについては会社が負担する必要はないという判断が出ています。 キャリアアップ教育訓練について説明するときや、実際に受ける際にきちんと通知しておくことが大事です。

    教育訓練の時間

    教育訓練の時間については、フルタイム週40時間勤務の人で毎年8時間以上ということだけが決まっています。 「時短はそれに比する時間」とは、例えば週20時間勤務の人の場合は、毎年4時間以上の教育訓練を受講させましょう、という判断になります。 この時間を下回らないように教育訓練を準備しましょう。

    キャリア形成のための、段階的かつ体系的な教育カリキュラム

    キャリアアップ教育訓練は、段階的かつ体系的であることが求められます。 つまり、初級中級上級などステップアップしていく教材を受けさせる必要があります。 また、その教育訓練が派遣社員の待遇が上がることにつながっている必要があります。 待遇が上がるとは、賃金が上がる、正社員など安定した雇用につながる、技術スキルが身につくなどです。 同一労働同一賃金で、労使協定方式では派遣社員の賃金テーブルを作成する必要がありますが、この賃金テーブルと連携した教育訓練であることが望ましい、または必要とされています。 勤務態度も真面目で、仕事で評価を受けている、そして教育訓練を受けてスキルアップに前向きに取り組んでいる、という評価の一つとしても利用するのが良いでしょう。

    入職時基礎訓練、職能別訓練、※職種転換訓練、階層別訓練の4種の訓練

    この4つの訓練を準備する必要があるとされています。 職種転換訓練については無くても問題にはなりません。 基本的には1年目に入職時基礎訓練を行い、2年目3年目で職能別訓練と階層別訓練を組み込んだカリキュラムを作成しましょう。 職種転換訓練については、キャリアコンサルティングで職種転換の希望があった場合に用意できると良いでしょう。

    キャリアアップに資する(役立つ)訓練内容

    派遣法改正の一番の目的は、派遣社員の待遇を上げることです。 キャリアアップにつながる教育訓練を用意する必要があります。 そのため、どうしてそのキャリアアップ教育訓練が役に立つのか下記の視点で報告が求められます。
    • 期待される教育訓練の効果
    • 到達すべき知識、技量レベル
    • キャリアアップにつながる理由
    以上が、年間8時間のキャリアアップ教育訓練の必要性と求められている内容となります。

    目的は派遣社員のキャリアアップ・待遇改善

    派遣法改正の目的は「派遣社員の待遇を上げること」です。 派遣労働者は柔軟な働き方ができるメリットがある一方、実際には雇用が不安定になりがちです。 そもそもが不足人員に対する期間限定の補充という側面もあり、派遣先企業の都合で派遣契約期間が終了になることが多いのも事実だからです。 そのため派遣労働者は弱い立場に追い込まれることもあります。 そんな雇用状況の中では、キャリアアップの機会も設けられず、キャリアアップを希望しても、研修に参加できなかったり、そもそも研修が設けられないといったことが起きるようになっていました。 こういった弱い立場の派遣社員の権利を守るために、派遣法が制定され、2015年9月の派遣法改正により、派遣社員のキャリアアップ教育訓練が義務化されました。 なので、派遣法に沿っているかどうかを考えるにあたっては、派遣社員のためになることかどうか、という基準があるといえるでしょう。

    教育訓練は派遣社員にとってメリット、派遣元事業主にとってはチャンス

    上記のことから、キャリアアップ教育訓練は、派遣社員にとって有給無償で受けることができるキャリアアップ教育というメリットであることがわかります。 派遣元事業主にとっても、義務として捉えるのではなく、きちんとした教育訓練を行うことで、派遣社員のスキルアップやモチベーションアップを図るチャンスでもあります。 また最近では、どのようなキャリアアップ教育訓練を行うのかを自社サイトに掲載して、派遣社員の登録を促すアピールの材料としても利用されてきています。 義務として行うではなく、派遣社員のためになることという意識を持って取り組むことができれば、キャリアアップ教育訓練は、派遣社員、派遣元事業主双方にとって、非常に有効な手段であると言えるでしょう。

    何を準備する必要があるか

    それではキャリアアップ教育訓練の実施までに何をする必要があるでしょうか。 まずは、派遣事業許可申請、また派遣事業許可更新の際に、キャリアアップ教育訓実施練計画を労働局に提出する必要があります。 計画書を提出する際に、カリキュラムと、その教育訓練がどのようにキャリアアップに役に立つのかを説明する資料の提示を求められます。 カリキュラムとしては、1年目から3年目まで、各年8時間以上、体系的かつ段階的な内容である必要があります。 また、4年目移行は時間の縛りはなくなりますが、節目節目で教育を行うことが定められています。 年ごとでもいいし、3年ごと、職場を変わるとき、など定期的に行うこととして、4年目以降のカリキュラムも組む必要があります。 どのようにキャリアアップに役に立つのか、ということについては、計画書の書面では収まらないため、別紙として添付資料を提出が求められます。 教材が役に立つ理由として、下記の内容をまとめます。
    • 期待される教育訓練の効果
    • 到達すべき知識、技量レベル
    • キャリアアップにつながる理由
    例えば、弊社の【仕事の意思疎通を楽にする!アサーティブコミュニケーション講座】の場合は、このような資料を用意しています。
    どのように声をかければスムーズに仕事依頼を受けてもらえるのか?という設定で、相手へかける言葉が選択肢で用意されています。相手を不快にさせる選択肢を選んだ場合は、なぜダメなのかという解説を見ることができ、相手の立場にたった会話をする考え方を身に着けることができ。キャリアアップにつながると考えます。 キャラクターのタイプはユングの心理学をベースに4つに分かれており、シナリオも4つあります。自分の苦手なタイプ以外のシナリオも見ることで、アサーティブコミュニケーションへの理解を深めることができます。
    これらをカリキュラムの講座それぞれに用意する必要があり、計画書で一番手間がかかるところであるかと思います。 この別紙資料については、法的に決まっている提出書類ではありませんが、2019年から全国の労働局で提出を求められるようになりました。 それ以前からいくつかの労働局では提出するように指導があったようです。 キャリアアップ教育訓練カリキュラムについて、労働局がきちんと精査を行っているという現れだと思います。

    いつ準備が必要か

    派遣事業許可申請をする場合は事前準備としてキャリアアップ教育訓練を用意しておく必要があります。 派遣事業許可は、初回3年、2回目以降5年ごとに、許可更新の手続きを行わなければなりませんので、計画書作成に向けてキャリアアップ教育訓練の見直し、eラーニングの導入などを検討される必要があります。

    キャリアアップ教育訓練は他社との差別化になる

    キャリアアップ教育訓練については、派遣元事業主の義務として環境を整える必要があるというのはご説明したとおりです。 派遣社員からみると、有給無償でキャリアアップ教育訓練を受けることができるチャンスでもあります。 2015年から開始されているキャリアアップ教育訓練は、派遣社員の方たちにとって、よく知られている教育訓練となってきています。 さらに、令和3年1月の派遣法改正で、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングについて雇入れ時の説明義務が追加されたことで、これから派遣登録を行う人にとっては「どんなキャリアアップ教育を用意しているのか」を登録会社を選択する1つのポイントとなっています。 大手派遣会社では、自社サイトへ教育訓練についてのページを設けており、派遣法への対応とともに、自社PRとして利用しています。 また、このキャリアアップ教育訓練の目的は、派遣社員の待遇改善です。 何を持って改善とするかは、仕事に役に立つか、賃金などの待遇が上がるか、スキルが身につくか、ということが挙げられます。 キャリアアップ教育訓練を行うことで、派遣社員にとって良いことが起こることが求められています。

    高まるリスキリングの重要性

    近年では「リスキリング」の大切さが説かれるようになりました。リスキリングとは、ビジネスシーンにおけるスキルの「学び直し」のことで、業務と並行して必要なスキルを学ぶことを指します。   従来、スキルを学ぶ際には一度休職をして大学院などに入学し、そこからまた復職して業務に就くケースが多くありました。それを繰り返す教育方式を「リカレント教育」というのですが、この方式ではスキルを身につけるために仕事から離れ、また戻らなければならないという点で業務効率が上がらないという課題がありました。   リスキリングは、業務に従事しながらスキルの向上を目指すという点でリカレント教育とは異なります。仕事を離れたり、また戻ったりする必要がないため、通常業務にも支障が出にくいのが特徴です。   リスキリングの実施にかかる企業側のコストは、採用活動の6分の1とも言われています。新たな人材を採用するよりも効率良く業務効率の向上を狙えるため、企業としては積極的に取り入れたい手法です。   政府は2022年の10月にリスキリング関連の支援に1兆円もの予算を投じると発表しました。 こうした背景から、今後企業におけるリスキリングは積極化するとみられます。   個人のスキルを高めることで対応可能な業務範囲は広がり、人材の市場価値が高まります。 特に派遣社員の場合は、派遣先企業に求められるような人材になることで、自身の待遇や満足度向上に繋げられるでしょう。   派遣会社目線で見ても、リスキリングを経てスキルを身につけた従業員が所属していることで、会社の価値向上が期待できます。 派遣事業を営むのであれば、早めに取り組んでおくのがおすすめです。
    お役立ちセミナー・資料ダウンロード
    【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】 【『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブック・キャリアアップ教育プランサンプル】

    派遣法改正に伴う教育訓練計画書の作り方

    今まで体系的でなかった教育訓練から、体系的かつ段階的なキャリアアップ教育訓練を導入するにあたり、まず考えるのはこちらです。

    誰に何を受けさせるかを整理する

    現状把握含め、自社に必要な教育が何であるかを洗い出す必要があります。 派遣社員にとって何が必要であるかはもちろんですが、自社にとってどのような人材を育てていきたいかというところも大切なポイントです。 例えば、初めて派遣社員として働く人が多いのであれば、ビジネスマナーやヒューマンスキルを身に着けておくことは必須です。 キャリアアップ教育訓練で均質な教育を受けてもらうことができれば、派遣元企業としてのボトムアップが図れるでしょう。 中堅どころで、マナーなどは問題なく、これからより多くの仕事をしていってほしい派遣社員が多い場合は、専門職種に特化した教材を受けてスキルを上げ、キャリアアップをしていってもらうことができるでしょう。 仕事についてはもう心配いらないベテラン派遣社員に対しては、現状の仕事と関連がある教材で広い見識を持ってもらうことでより仕事の幅を広げてもらったり、ヒューマンスキルの高度な内容やマネジメントスキルを磨く教材を受けてもらうなどが考えられます。 様々は職歴、スキルを持った社員がいるならば、一般的な教材と専門的な教材を配分したカリキュラム作成が必要になってくるでしょう。

    そのために必要な教材を探す

    現状の自社派遣社員に受けさせたい教育が決まって、いざ実際にその教育を行うとなったとき、自社で教材を用意するのは時間と費用がかかりすぎてしまうということが往々にしてあります。 既に実績のあるeラーニングサービスの導入を検討することをおすすめします。 派遣社員に受けさせたい教育をカバーする教材、仕事中に有給無償で教育を行う方法、いつまでに受けてほしいか、また受けたかどうかの確認、そして毎年6月の事業報告書での報告を鑑みて、最も自社にあった教育訓練方法を選択する必要があります。 労働者派遣事業報告書のキャリアアップ教育訓練の実施有無など書き方・ポイントについてはこちらもご参照ください。 https://www.pro-seeds.com/haken/blog/haken-report/

    キャリアアップ教育訓練計画書の書き方

    どのような教材が必要か、というところまで進みましたら、労働者派遣事業計画書(様式第3号)の書き方について見ておきましょう。 どのように記載する必要があるのかを確認してキャリアアップ教育訓練計画を立て易くなるかと思います。 労働局で様式ファイルはダウンロードできます。 法改正によりフォーマットが更新されていますので、新しいフォーマットを使うように注意しましょう。
    ▼参考:東京労働局
    労働者派遣事業関係 ダウンロードページ https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken.html
    労働者派遣事業計画書(様式第3号)キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)の2つのエクセルファイルをダウンロードしておきましょう。

    労働者派遣事業計画書(様式第3号)

    ・様式第3号(第1面)

    事業所についての情報を記載します。 事業所が複数ある場合は、別途事業所の数だけ書類を用意する必要があります。

    ・様式第3号(第2面)

    派遣労働者の人数、平均的な料金、賃金、保険料を記載します。 安全衛生教育の内容や、キャリアアップ教育訓練以外の教育訓練があればこちらに記載します。 設備や場所については、研修所や、パソコン、机の台数などを記載しておきます。 ちなみに、プロシーズの安全衛生教育を利用した場合の、項目6の記載はこのようになります。

    ・様式第3号(第3面)(第4面)

    1面と2面についての記載要領がまとめられています。

    ・様式第3号-2(第1面)

    「キャリア形成支援制度に関する計画書」として、労働者派遣事業計画書で最も記載が多く手間がかかるメインとなる書面です。 10項目について順に見ていきましょう。
    1 キャリアコンサルティングの担当者の人数
    担当者の人数を、社内、社外、キャリアコンサルタントまたは それ以外で何人設置しているかを記載します。 キャリアコンサルタント担当者については下記の条件のいずれかを満たす人を選定する必要があります。
    1. キャリア・コンサルタント(有資格者)
    2. キャリア・コンサルティングの知見を有する者 (職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者等)
    3. 派遣先との連絡調整を行う営業担当者
    2 キャリアコンサルティング窓口
    窓口の開設方法としては、派遣労働者がキャリア・コンサルティングを申し込むことができる環境の用意ということになります。 記載方法としては、下記の方法で該当する番号をすべて記載しておきます。
    1. 事務所内に設置
    2. 電話での相談 窓口の設置
    3. e-mailでの専用窓口の 設置
    4. 専用WEBサイトの設置
    5. その他 ※詳細備考欄に記載必要
    もしまだ窓口がない、未開設の場合は開設予定の内容を記載しておきます。 キャリアコンサルティングを行う場所も、該当する番号をすべて記載します。
    1. 社内(本社、支社等を含む)の特定の 場所
    2. 社内の不特定の場所
    3. 派遣先 の特定の場所
    4. 派遣先の不特定の場所
    5. 社外
    6. その他 ※詳細備考欄に記載必要
    3 キャリアコンサルティングに関するマ ニュアル等の有無
    有りか無しか丸をつけます。 有りの場合はマニュアルの添付が求めらています。
    4 キャリアアップに資する教育訓練
    派遣法改正で定められたキャリアアップ教育訓練について具体的な教育訓練内容を記載します。 但し、この資料では具体的と行っても大きなカテゴリを記載するイメージです。 例えば実際のカリキュラムでExcel講座初級と中級を受講する場合は、具体的な教育訓練として「OA研修訓練」と記載しておくという書き方です。 書類では8項目までしかありません。 ですので、職種が多かったり、行う教材のカテゴリが8項目以上ある場合は、第3号-2(第1面)を複数枚用意して、追加記載を行います。 受講を行う対象となる派遣労働者の人数などもこちらに記載しておきます。 1年目から3年目まで、フルタイム1年以上の雇用見込みのある派遣労働者には各年8時間以上、4年目以降はどのタイミングで教育を行うかなどを設定しておき、説明ができるようにしておかなくてはなりません。 また、キャリアアップ教育訓練実施にあたっての賃金額を1人1時間当たり平均で記載する必要があります。 上記の記載をした上で、労働局からは詳細なカリキュラムも提出が求められます。 年間8時間どのような教育訓練を行うのかを、別紙として準備して提出します。
    5 上記教育訓練が、キャリアアップに資すると考える理由
    項目4で設定した教育訓練がキャリアアップに資する(役に立つ)と考える理由を記載します。 こちらについて、項目は1枠しかありません。 労働局が記入例としてあげている文面を参考までに記載します。 派遣労働者の採用後、役職・段階があがるタイミングにおいて、キャリアパスに応じた上記教育訓練を設けており、職務遂行能力や専門的・総合的な能力 を高め、派遣労働者のキャリアアップに資することを念頭においている。 しかし2019年以降から、この内容についても別紙で提出が求めらてきています。 より詳しくなぜそのキャリアアップ教育訓練が役に立つと言えるのかを説明してほしいという指導が入ることがあります。 様式第3号の概要にある「所定の欄に記載し得ないときは、別紙に記載して添付すること。」という名目での指導と考えられます。 その場合は、項目には「別紙参照」と記載して、カリキュラムに沿ってどのように役に立つと考えてその教材を受けさせるのか、を説明する資料が必要になります。 ここが非常に手間がかかって大変だったという担当者様のお声をよくお聞きします。 ちなみにプロシーズでは、教材一つひとつに、なぜキャリアアップに資するかという説明をご用意しております。 ですのでカリキュラムを組んでしまえば、その時点で別紙資料の作成対応が可能です。
    6 無期雇用派遣労働者への中長期的なキャリア形成を考慮に入れ た教育訓練の実施
    こちらについては、法改正で定められた1年目から3年目までのキャリアアップ教育訓練含めて、またはそれとは別途に、無期雇用派遣労働者への中長期(3年以上)のキャリア形成を考えた訓練があれば有りに丸をつけます。
    7 上記6の実施にあたってどのようなことを考慮しているのかを具体的に記載すること
    中長期的なキャリア形成の具体的な内容を記載します。
    8 派遣労働者のキャリアアップ措置に係る教育訓練に用いる施設、設備等の概要
    こちらは様式第3号(2面)の安全衛生教育やその他の教育訓練の項目と同じであれば記載不要です。 異なる場合は同様に集合研修ならば研修所、パソコンや机の台数などを記載します。 eラーニングの場合は、施設は不要、環境としてパソコンを利用するのか、スマホやタブレットを利用するのかなどを記載します。
    9 教育訓練等の情報を管理した資料の保存期間が労働契約終 了後3年間以上あること
    3年以上保存する場合は有りに丸をつけます。
    10 備考
    項目以外で特に伝えるべき内容があれば記載します。空欄で問題ありません。

    ・様式第3号-2(第2面)

    1面についての記載要領がまとめられています。

    ・様式第3号-3(第1面)(第2面)

    派遣労働者のうち、雇用保険等の未加入者がいる場合に提出する資料です。 未加入者がいない場合は提出不要です。
    以上が労働者派遣事業計画書の項目と書き方です。 キャリアアップ教育訓練内容とキャリアアップに資する理由について別紙として提出が求められています。 労働局としても厚生労働省からの指導の元、きっちりと審査を行うためにほしい資料ということになります。 こちらをしっかりと準備しておけば、スムーズな申請ができるでしょう。 ここまでで、自社に必要な教育訓練について、派遣事業計画書に記載しなければならないキャリアアップ教育訓練がどのようなものかイメージが付いてきたかと思います。 もう一度事前に検討しておくべき内容をまとめます。
    1. 必要とされる共通のキャリアパス(求める人材要件)
    2. 上記①に必要なスキル、資質等
    3. 教育訓練内容(時間)
    4. 期待される教育訓練の効果/到達すべき知識/技量レベル/キャリアアップにつながる理由
    ①と②については、営業担当者の方は肌感として理解できているかと思います。 そこを書き出すなどまとめていただくことで、必要な教育訓練内容が見えてきます。 ぜひ一般向け教材と専門職種向け教材を豊富に取り揃えたプロシーズの「派遣の学校」をご検討ください。 プロシーズの派遣の学校を導入いただければ、カリキュラムの提案とその教材がキャリアアップに資する理由についても資料としてご提案させていただけます。

    お問い合わせ・資料ダウンロード

    キャリアアップ教育訓練の事例紹介セミナー実施中

    ここまでご説明してきた内容を踏まえて、労働者派遣事業計画書の【4 キャリアアップに資する教育訓練 】記載例と、具体的なカリキュラム、別紙として教材がキャリアアップに資する理由をまとめた資料をご用意しました。 セミナーにて解説を行い、セミナー終了後には資料も配布しています。 分かりにくい派遣法の解釈や提出に必要な書類の作成方法を事例を交えながらお伝えします。 無料で実施していますので是非ご活用ください。
    【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】

    まとめ

    派遣キャリアアップ教育訓練は、2015年の改正派遣法対策として、8時間分の教材を用意するという段階を経て、実際の派遣社員のキャリアアップを図り、派遣登録を増やすためのPRや、派遣元企業全体のスキルアップ、引いては売上につなげる戦略として活用できます。 ぜひ派遣の学校を導入いただいて、担当者様の課題解決につなげていただければと思います。

    お問い合わせ・資料ダウンロード

  • 一般労働者派遣事業許可を取得するためのポイント

    コロナ禍を経て、生活様式や働き方が、今までとは比べ物にならないくらい新しい形に変化してきました。 今後も製造、介護、接客業をはじめ、オフィスワーカーなど、職場の衛生対応は継続され、在宅勤務の奨励も継続されていくと考えられます。 このような状況の中、人材派遣業界の業界規模は、平成6年以降から現在まで緩やかに増加を続け、2021年度は9兆2,000億円となっています。 慢性定期な人材不足と、コロナによる不況によって解雇が進み、新規派遣登録者は伸びる傾向にあります。 人材派遣業界は、今が登録スタッフを増やすチャンスと考えることもできます。新たに人材派遣業を検討される企業様もいらっしゃるかと思います。 今回は、派遣会社を始めるには何をすればよいのか、まずは労働者派遣事業許可の取り方についてポイントをご紹介いたします。 また最後に『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブックや教育プランサンプルもございます。

    1. 労働者派遣事業許可を取るための確認事項

    まず、派遣業を行うにあたって、一般派遣事業許可要件、つまり派遣業を行う資格があるかどうかをチェックする必要があります。 法的には、許可を受けるためには、欠格事由(法第6条)に該当せず、許可基準(法第7条第1項)を満たす必要があるとされていますので見ていきましょう。

    1-1. 一般派遣事業許可要件の欠格事由と許可基準

    欠格事由

    労働者派遣事業の欠格事由(法第6条) ・事業者が刑事罰などの法に触れていない 刑法はもとより、労働基準法や職業安定法、最低賃金法などなど、事業者が法を犯していないかどうかなので、法人だけではなく役員も含まれますが、ここはそこまで気にしなくてもほとんどの企業様は大丈夫かと思います。

    許可基準

    労働者派遣事業の許可基準(法第7条第1項) イ・この派遣事業が特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと ロ・適切な雇用管理がなされていること ハ・個人情報の管理を徹底していること 二・派遣事業を適正に遂行できる能力があること 確認すべきは上記4つです。 順にみていきましょう。
    イ・この派遣事業が特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと
    こちらは、専ら派遣(もっぱらはけん)の禁止ということですので、複数の顧客企業に対して派遣社員を派遣する通常の派遣業を行うということであれば問題ないでしょう。
    ロ・適切な雇用管理がなされていること
    適切な雇用管理がなされているかについては、下記の確認が必要です。 a.キャリア形成支援制度を有していること (キャリアアップ教育訓練、キャリアコンサルティング) b.派遣労働者に対する適切な雇用管理能力があること (派遣元責任者の選任、社会保険・労働保険の加入、職務代行者など) c.キャリアアップ以外の教育訓練 (a以外の教育、安全衛生教育やその他の教育訓練) キャリアアップ教育訓練については、きちんとした教育計画と毎年6月の事業報告書への記載が義務付けられています。令和3年1月からは、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングについて、雇入れ時の説明義務も追加されました。派遣許可申請を行う前に準備しておくことが重要です。 弊社派遣の学校では計画書やカリキュラム作成のご提案を含め、キャリアアップ教育訓練に関する疑問にお答えできますので是非ご活用ください。 >派遣社員のキャリアアップ教育訓練に関する記事はこちら またキャリアアップ教育訓練についての無料セミナーも開催しております。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
    ハ・個人情報の管理を徹底していること
    個人情報の管理について、つまりは派遣登録者がいる派遣会社は、個人情報保護法に沿った情報の管理を行うことが求められるということになります。
    二・派遣事業を適正に遂行できる能力があること
    派遣事業を適正に遂行できる能力があること、こちらは許可基準の中でも特に重要な、資産要件と事務所要件が含まれます。
    資産要件
    「資産要件」の内容は下記の通りです。
    • 直近決算書で、基準資産が2,000万円×事業所数以上である
    • 直近決算書で、現金預金が1,500万円×事業所数以上であり、負債総額の7分の1以上ある
    事業所が複数ある場合はその数だけ掛け算した分が必要です。 事業所が一つだけなら、確認すべきは直近決算で、預金残高1,500万円以上、純資産2,000万円があるかです。
    事業所要件
    「事業所要件」は、派遣事業所として使用できるかどうかのチェックです。 以下の要件をすべてクリアする必要があります。
    • 事業で使用し得る面積が20平方メートル以上あること
    • 使用目的が事務所であること(賃貸借契約書の目的とあっている)
    • 事業所の独立性が保たれていること(別法人が同居していないか)
    • 個人的秘密を保持し得る構造であること(鍵付きキャビネット等の設置)
    • 風俗営業が密集する等事業の運営に好ましくない場所にないこと
    申請時に労働局による事業所の実地調査が必ず行われます。 派遣元責任者・職務代行者の席があるか、個人情報を保護できる鍵付きキャビネット等が用意されているか、研修・面談スペースが確保されているか、社名表示されているかなど、事務所要件を確認されます。
    派遣元責任者の選任について
    会社として要件が確認出来たら、もう一つ重要なのが、派遣元責任者です。 事業所ごとに派遣元責任者を選任する必要があります。 また、派遣元労働者100人ごとに1人以上を選任しなければいけません。 派遣元責任者を選任する際には、まず欠格事由に該当せず、3つの条件に当てはまる人である必要があります。 まず派遣元責任者の欠格事由について、まとめると下記の通りです。
    • 禁固刑又は労働基準法違反などにより懲役・罰金の刑に処され、その執行を受ける事ができなくなってから5年を経過しない者
    • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
    • 労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
    • 未成年者である者
    • 外国人で一定の在留資格のない者
    次に、派遣元責任者になるための条件は次の3つです。
    1. 派遣元責任者の業務に専任できること
    2. 3年以上の労務管理経験があること
    3. 3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること
    1つ目の、派遣元責任者は、派遣先企業や派遣労働者からの苦情・相談があった場合、いつでも対応できる体制を整える必要があるため、派遣元責任者自身が、派遣労働者として労働することはできません。 また、他の会社の役員や従業員となっている場合も、派遣元責任者としては認められませんので注意しましょう。 2つ目の「成年到達後、3年以上の雇用管理経験」必要とされています。 雇用管理経験がない人は派遣元責任者になれませんので、派遣元責任者講習を受けても無駄になります。注意しましょう。 また、「雇用管理経験」は次のような経験のことを指します。
    1. 人事または労務の担当者(代表者や管理職など)
    2. 派遣事業で、派遣労働者や登録者の労務を担当していた者
    3. その他、次のような経験がある者 a)成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者 b)成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者 c)成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
    3つ目の「3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること」については、派遣元責任者講習を受けてから3年経過している人は、再度受講しなければいけません。また、新しく派遣事業を行うにあたっては、申請に先立って派遣元責任者講習を受けておく必要があります。予約制となっていますので、早いうちにスケジュールを確認しておきましょう。 講習の日程や予約については、厚労省サイトでご確認ください。 ▼派遣元責任者講習の講習機関一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000044436.html ・お役立ちセミナー・資料ダウンロード 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】 【『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブック・キャリアアップ教育プランサンプル】

    2. 労働者派遣事業許可の申請準備

    2-1. 労働者派遣事業許可の申請に何が必要か

    ここからは、労働者派遣事業許可の申請の準備として何が必要かについてご説明します。

    ▼申請手数料

    登録免許税 90,000円 収入印紙代 120,000円(2事業所目以降は1事業所につき+55,000円) 複数の事業所がある場合も、まとめて会社単位で行います。 事業所が2つなら、120,000円+55,000円で175,000円の収入印紙代が必要です。

    ▼申請書類

    1. 労働者派遣事業許可申請書(様式第1号):3部(正本1通、写し2通)
    2. 労働者派遣事業計画書(様式第3号):3部(正本1通、写し2通) (複数事業所を同時に申請する場合、事業所ごとに作成)
    3. キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2):2部(正本1通、写し1通)
    さらに上記申請書類に添付する書類が18種類あります。 それぞれ用意することはそこまで難しいものではありませんが、非常に多くの書類が必要になるため、準備には時間がかかることを想定しておきましょう。
    1. 定款または寄付行為
    2. 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
    3. 役員の住民票
    4. 役員の履歴書
    5. 派遣元責任者の住民票 ※役員が兼務する場合は不要
    6. 派遣元責任者の履歴書 ※役員が兼務する場合は不要
    7. 派遣元責任者講習の受講証明書 ※許可申請日前3年以内に受講したもの
    8. 最近の事業年度における貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書 ※会社設立後最初の決算期を終了していない法人は会社成立時の貸借対照表のみ
    9. 最近の事業年度における法人税の納税申告書 ※会社設立後最初の決算期を終了していない法人の場合は不要
    10. 最近の事業年度における法人税の納税証明書 ※会社設立後最初の決算期を終了していない法人の場合は不要
    11. 事業所施設に関する書類 ※建物の登記事項証明書または建物の賃貸借契約書
    12. 個人情報適正管理規程
    13. 自己チェックシート(様式第15号)
    14. 就業規則又は労働契約の該当箇所(写し)
    15. 就業規則(労働基準監督署の受理印があるページの写し)
    16. 派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引、マニュアル等又はその概要の該当箇所の写し
    17. キャリアアップに資する教育訓練(整理用シート)
    18. 企業パンフレット等事業内容が確認できるもの
    特に、17『キャリアアップに資する教育訓練』については、派遣事業を行う前であれば、計画書やカリキュラムを作るのが大変かと思いますが、派遣の学校では教育訓練の提案やカリキュラム作成のお手伝いをさせていただけますので是非お声がけください。 そして、派遣事業開始以後の6月の事業場報告や3年ごとの許可更新申請などの手続についても備えておくと良いでしょう。

    2-2. 信頼性のある派遣会社として取っておくとよい認定制度

    その他、労働者派遣事業を行うにあたっては、優良派遣事業者認定制度とプライバシーマークを取得できると有利かと思います。信頼性のある派遣会社であるという証であり、派遣先や派遣登録者への信頼を得ることができるでしょう。

    ・優良派遣事業者認定制度

    厚生労働省から委託された認定機関の審査を受け、基準を満たしたと判断された派遣会社が認定をもらうことができます。 法令を遵守しているだけでなく、派遣社員のキャリア形成支援やより良い労働環境の確保、派遣先でのトラブル予 防など、派遣社員と派遣先の双方に安心できるサービスを提供できているかどうかについて、一定の基準を満たし た派遣事業者を「優良派遣事業者」として認定する制度です。 >優良派遣事業者認定制度に関する記事はこちら

    ・プライバシーマーク

    1998年から一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営する制度で、個人情報保護の体制や運用の状況が適切であることを認定するものです。 日本産業規格「JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」の基準に適合した事業者のみ「プライバシーマーク」の使用が認められます。

    2-3. 派遣元会社にお勧めサービス

    派遣許可申請中から、キャリアアップ教育訓練の準備をしておくことをお勧めします。 派遣許可申請時の計画書作成だけでなく、雇入れ時の説明義務や、実際のキャリアアップ教育訓練、そして6月の事業報告書作成について、担当者の手間を省きつつ、派遣社員のキャリアアップにつながる教育訓練を実現できる『派遣の学校』をぜひご活用ください。 『派遣の学校』は、2015年のサービス開始から、250社以上にご利用いただき、派遣会社に特化した機能を搭載したeラーニングシステムと、専門職種のeラーニング教材を多数ご用意しているため、ご希望に沿ったキャリアアップにつながる研修を実行することができます。 体系的かつ段階的な教育を行うためのカリキュラム作成のご提案や、キャリアアップ教育以外の安全衛生教育やストレスチェックにも対応しています。さらに、労働局やハローワークに聞いてもなかなか分からない担当者様の疑問にお応えするサポートも充実しています。 また、派遣業務管理に人材管理システム『スタッフナビゲーター』をご利用いただいている場合、派遣の学校と連携して教育訓練結果をスタッフナビゲーターに取り込むことができます。

    3. 申請準備が楽になる無料オンラインセミナー開催中

    申請準備の手間を少しでも減らしていただくために、派遣の学校では、各種無料セミナーを実施しています。 これまでの派遣会社様へのご支援実績をもとに、分かりにくい派遣法の解釈や提出に必要な書類の作成方法を事例を交えながらお伝えします。 無料で実施していますので是非お気軽にご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】

    4. 「キャリアアップに資する教育訓練」・「派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け」の関連資料

    4-1. PDFダウンロード

  • 人材派遣に必要なシステムにはどのようなものがある?管理すべき項目とともにご紹介します

    今や人材派遣の要となっている、人材派遣システム。重要性は理解しつつも、どのシステムを選ぶべきか分からず困っていませんか?この記事では、人材派遣システムを活用すべき理由や、システム選定時のポイントをご紹介します。派遣にかかわる業務を効率化するために、ぜひ参考にしてみてください。

    1. 人材派遣システムとは

    まずは人材派遣システムの基本的な知識を頭に入れておきましょう。人材派遣システムとはどういったものなのか、またシステムを導入することで得られるメリットにはどのようなものがあるかをご紹介します。人材派遣におけるシステムの重要性を理解するきっかけにしてください。

    1-1.派遣事業にかかわる事項を管理するためのシステム

    「人材派遣システムとは何か」という問いに一言で答えるとすると、「派遣事業にかかわるあらゆる事項を管理するためのシステム」となります。 派遣事業を行っていると、管理しなければならない情報はたくさんあります。派遣社員ひとりひとりの個人情報や派遣先の割り振り、教育管理など、挙げ始めたらきりがないほどです。こうした情報の管理を円滑に行うためのシステムこそが人材派遣システムなのです。

    1-2.こんなお悩みをお持ちではありませんか?

    派遣元企業として人材を雇用し、各企業に派遣するにあたってたくさんの業務が発生します。そんな中、よく挙がるのが次のようなお悩みです。 ・人材管理に多くのリソースを割いている ・派遣先と派遣従業員のマッチングに時間がかかる ・給与や勤怠、請求管理が煩雑になってしまっている ・教育管理に難しさを感じている 一口に人材派遣事業と言っても付随業務はたくさんあるため、必要な業務フローもその数だけあります。もちろんそうした業務をゼロにするのは大変難しいことですが、今よりも効率化できる部分もあるかもしれません。そして、効率化において最も効果を得やすい施策のひとつが、人材派遣システムの導入と言っても過言ではないのです。各社から提供されている人材派遣システムを活用することで、人手不足や残業の常態化など、さまざまな問題を解決できる可能性もあります。

    1-3.企業規模を問わずシステムの導入が進む

    近年、登録している派遣従業員数が多い大手の派遣会社だけでなく、いわゆる中小の派遣会社でも人材派遣システムの導入が進んでいます。今後も人手不足が深刻化すると予想されますが、その中でも人材派遣業界で成長するためには、業務効率の向上が必ず必要になってきます。特に中小企業の場合、人材管理や給与計算、請求管理等を少人数で管理していることも多いでしょう。業務が属人化してしまうことを防ぐためにも、システム導入は急がれるのです。

    1-4.人材派遣システムを導入するメリット

    人材派遣システムを導入することで得られるメリットには、次のようなものがあります。 ・派遣従業員の管理が効率化できる ・契約やクライアント管理が円滑になる ・社内業務の一元化ができるようになる それではさっそく、各項目の内容をひとつひとつ解説していきます。

    1-4-1.派遣従業員の管理が効率化できる

    システム導入をするメリットとして最初に挙がるのは、従業員管理の効率向上です。派遣事業では、勤務地や適性、本人の意向などを考慮し、適切な派遣先へ人材を送る必要があります。従来はこの作業を派遣元企業の担当者がすべて手作業で行っていましたが、システムの中には派遣従業員と派遣先のマッチングを手助けしてくれる種類のものもあります。 エントリーシートや登録書類の管理をまとめて行うことができるシステムも多いため、システムを導入することで情報の管理が容易になるでしょう。必要な情報を見つけるのも容易です。これまで書類を探すのに手間取っていたのであれば、派遣元企業の担当者は空いた時間で他の業務を行うことができるようになります。

    1-4-2.契約やクライアント管理が円滑になる

    人材派遣システムで管理できるのは社内の情報だけではありません。派遣先の企業や営業をかけている企業など、社外業務においても管理しなければならない情報は多数あります。営業を強化したり派遣先企業との業務を円滑にするためには、人材派遣システムの導入は必要不可欠だといえるでしょう。社外との情報共有を一括で行えるシステムもあるため、社外とのかかわりがどれくらいあるのかという点や予算を考慮して導入を検討してみてください。

    1-4-3.社内業務の一元化ができるようになる

    人材の派遣や案件管理の他にも、労務や経理、給与支払いまで管理可能なシステムもあります。こうしたシステムを導入すれば、人材管理をより広い範囲で効率化できるようになるでしょう。これまでそれぞれ担当者をつけて管理していた場合も、システムの導入で必要な人員が少なくなるため、他の業務にリソースを割くことができるようになる可能性があります。

    1-4-4.セキュリティの強化ができる

    資料や情報を紙ベースで保管していると、紛失や破損のリスクがあります。USBメモリや外付けハードディスク等、記録媒体に情報を保存している場合も同様です。そういった面では、システムに連携したクラウドを活用すれば、セキュリティ面でのリスクは大きく低減できます。取り扱う情報が機密性の高いものであるため、セキュリティの強化は必須です。

    1-5.システムを使わない運営も可能?

    人材派遣システムを導入するメリットをご紹介しましたが、やはり導入時のコストや手間を考えて敬遠している企業担当者の方がいらっしゃるのも事実です。システムを使わず運営を続けること自体は不可能ではないですが、管理すべき項目が増えたり、より多くの人材を受け入れるようになったりした際には業務が煩雑化する可能性があります。また、セキュリティ面でのリスクや確認ミスにも直結するため、各企業の状況に合わせて最適なシステムを導入することをおすすめします。 ご紹介したメリットの他にも、システムごとの特徴や導入することで得られるメリットはたくさんあります。導入を検討しているシステムを使うことで、今の業務がどう変化するのかシミュレーションしつつ、自社にとってのメリットを探してみましょう。

    1-6.人材派遣システムを導入するデメリット

    人材派遣システムを導入する際のデメリットには、次のようなものがあります。 ・コストがかかる ・導入時にオペレーションを変更する必要がある 最も大きな懸念材料は、導入コストやランニングコストではないでしょうか。たしかに、システムを利用するのであれば、多かれ少なかれコストはかかります。ただ、長い目で見れば業務効率の向上や生産性の向上することが多いため、そのコストは回収できると考えられます。現在の業務に割いているリソースや許容できるコスト等を加味し、システム導入の可否を検討してみてはいかがでしょうか。 また、導入時のオペレーション変更については、むしろ行うことで業務の効率化を図れるため、混乱がないよう注意すれば問題ないといえます。多くのシステムでは導入しやすいような仕組みやサポートがあるため、不安な部分はシステム提供企業に相談することをおすすめします。

    2. システム管理が望ましい項目

    ここからは、システムの活用を検討されている方向けに更に詳しい内容を解説していきます。各社から提供されているシステムで管理できる情報は多岐にわたります。それらの中から特にシステム管理すべき項目を、4つピックアップしました。現状どのように情報管理しているか思い出しながら読み進めてみてください。

    2-1.スタッフ管理・人材配置

    どのシステムにおいても、派遣スタッフの情報管理を行う機能が搭載されていることは多いです。つまり、これはどの企業でも重要視される項目であることが分かります。また、スタッフの個人情報や派遣先への人材配置情報など、管理情報はいくつにも細分化されるでしょう。こうした情報をシステムで一括管理することで、データ参照にかけていたリソースの削減が可能になります。ほとんどのシステムで検索機能が搭載されているため、書類を探す手間を大幅に軽減できるのもポイントです。

    2-2.受注案件・取引先情報

    多くの従業員を抱える派遣元企業では、派遣従業員が向かう派遣先の企業も多くなります。そのような企業では、社内情報だけでなく派遣先企業や取引先に関する情報までしっかりと管理していないと、情報を探すのが難しくなってしまうどころか、情報漏洩のリスクすら生まれてしまいます。そうした観点から、社外にかかわる情報は信頼できるシステムで管理することを強くおすすめします。

    2-3.給与

    給与情報も非常に重要な情報のひとつです。社外はもちろん、社内においても厳格に管理しなければなりません。そうした性質上、人の手で給与管理を行うと確認や情報の管理に多大なリソースが必要になります。「人材派遣システム」と聞くと人材の管理にスポットライトが当たることが多いですが、システム導入の恩恵は給与管理においてもかなり大きいといえるでしょう。システムによっては勤怠管理も兼ねることができるので、使い方次第では社内の中核を担うシステムになります。

    2-4.教育状況

    派遣事業を行う上では、キャリアアップ教育訓練をはじめとした研修や教育訓練を行う必要があります。所属している派遣従業員ひとりひとりの業務分野や研修進度は異なります。適切な教育状況の管理を行わなければ、教育上の非効率が生じてしまうでしょう。 当社では、オリジナルのeラーニングコンテンツと合わせてご利用になれる、教育状況に重きを置いた教育管理システム「LearningWare」を提供しております。 教育の管理に難しさを感じていたのであれば、ぜひこの機会に導入を検討してみてください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】

    3. 人材派遣システムの選び方

    システム管理が望ましい項目をご紹介してきましたが、「項目もたくさんあるし、どうしよう…」「システムの数が多すぎて迷う…」という方も少なくないでしょう。ここからは、人材派遣システムの「選び方」に重点を置いて話を進めていきます。どのシステムを導入するかの最終判断についてはご自身で行っていただくことにはなりますが、選び方のポイントをひとつひとつ解説していきますので、ぜひシステム選定時の参考にしてみてください。

    3-1.システムごとの違いを知る

    まずは、たくさんある人材派遣システムの特徴や違いを知るところから始めましょう。いくつものシステムを比較するうち、次第にシステムに求めていることが分かってくるはずです。それが特定の機能なのか、コストなのかは企業によって異なる部分ですので、「このシステムを選べば絶対正解!」というものはありません。現在の状況と、今後派遣事業を継続するにあたってどうしたいか、その2つをしっかりと考えた上でシステムの選定に入りましょう。

    3-2.システム選定時のポイント

    システム選定時、具体的にはどのようなことに着目したらよいのでしょうか。もちろん企業や取り巻く状況によってシステム選びの基準は異なりますが、検討材料の一例として参考にしてみてください。

    3-2-1.効率化したい分野をカバーできているか

    派遣業務に導入するシステムを選ぶ際には、効率化したい業務範囲をカバーできているシステムを候補に入れるようにしましょう。 近年では、人材管理だけでなくさまざまな分野に強みをもったシステムが各社からリリースされています。 例えば派遣従業員の教育に力を入れたいのであれば、教育特化型のシステムを使うのも手です。どんなシステムを使えば求めている効果を得られるか、十分検討してみましょう。

    3-2-2.コストは適切か

    多くのシステムでは、「初期費用」「月額費用」と大きく分けて2つの費用がかかります。 そして価格帯は幅広く、コストという面で見るとサービス間に大きな開きがあります。ただ、「安い=良い」というわけではありません。一般的に見て高めの値段設定だったとしても手厚いサポートや充実した機能があれば、費用対効果が非常に高くなることもあります。 導入を検討しているシステムの導入コスト・ランニングコストがどれくらいかかるのか、試算してみることをおすすめします。そして、それは受けられるサポートや搭載されている機能に対して適切なのか、しっかりと見極めましょう。

    3-2-3.派遣従業員にとって使いやすいか

    意外と見落としがちなポイントですが、システムを利用するのは管理者だけではありません。各種申請や勤怠情報の確認、eラーニングの受講など、派遣従業員がシステムを利用する機会は多いといえます。そのため、システム導入の成否は使いやすさにかかっているともいえます。近年はスマートフォンアプリとセットになったシステムも多いため、いつでもアクセスしてもらえるような状態を作るのであれば、そうしたシステムを導入するとよいでしょう。

    3-2-4.最新情報にアップデートされているか

    システム内の情報が最新のものに更新されているかも、非常に重要なポイントです。 特に派遣関連の法律は頻繁に改正されるため、最新の情報を常に追っていなければなりません。近年での例を挙げると、2012年に日雇い派遣が禁止、2015年には同じ組織単位での3年以上の派遣労働を禁止する「3年ルール」の導入がスタートしました。そして2021年6月からはすべての企業に「同一労働同一賃金」制が導入されています。このように企業やそこで働く従業員を取り巻く環境はめまぐるしく変化し続けているのです。システム側で最新情報を逃さずキャッチし、その内容を適切に反映できれば、安心してシステムを使えるでしょう。

    3-3.カスタマイズが可能か

    システム導入時、「どの程度のカスタマイズまで可能か」も重要なポイントになります。多くの場合、システムを納品する際には、派遣元企業のニーズに合わせた調整やカスタマイズが行われます。ただ、カスタマイズの自由度についてはシステムによって異なります。まずは機能追加や調整が可能なのか、そしてその結果自社のニーズを満たすことができるのかを慎重に検討しましょう。 ここで紹介したシステム選定時のポイントは、ほんの一例です。派遣元会社や事業所単位で求めているポイントが異なることも多いので、まずは今起きている問題の把握やシステムに対して求めることの明確化を行いましょう。そうしておけば、システム提供企業の担当者との話し合いもスムーズになります。

    4. 人材派遣システムにはどのようなタイプのものがある?

    ここまでご紹介してきたシステム選びのポイントや重視すべき点を踏まえ、ここでは特徴的な人材派遣システムのタイプを3つに厳選してご紹介します。ぜひシステム選定時のヒントとしてご活用ください。

    4-1.オールラウンドな「総合管理型」

    人材事業における主要業務をカバーしているシステムは、ここに分類されます。スタッフ管理や受注管理、勤怠や請求に伴って生じる業務を一元管理するのであれば総合管理型システムの導入は不可欠だといえるでしょう。このシステムを導入することで、派遣事業にかかわる社内業務をまとめて管理できるようになるため、既存の業務フローを大幅に効率化できる可能性があります。現在、業務が全体的に煩雑化しているのであれば、ぜひ検討したいシステムのタイプです。 総合管理型のシステムの例としては、「Staff Navigator(スタッフナビゲーター)」(ユニテックシステム株式会社)があります。低コストで幅広い業務をシステムでまとめて管理できるようになるため、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。このシステムを導入することで、給与計算や請求管理におけるヒューマンエラーの大幅な削減を図れます。業務効率化も期待できるため、締め日でも残業をしなくて済むかもしれません。無料体験期間も設定されているため、まずはお試しをしてみてはいかがでしょうか。

    4-2.「マッチング重視型」

    派遣会社の業務において重要な業務の中に、派遣従業員と受注案件の組み合わせを考える「マッチング」があります。本人の適性や希望、派遣先の状況などさまざまな事柄を多面的に判断して派遣先を決定する必要があるため、多くのリソースを割く部分になることが多いです。人材派遣システムの中には、このマッチングに重きを置いたものもあります。 マッチング重視型のシステムの代表格は「MatchinGood(マッチングッド)」です。派遣先企業が重視する基準や派遣従業員の適性に合わせ、派遣従業員と案件をワンクリックでつなぐことができます。これまで膨大な案件と多数の従業員の中から、手作業で最適な組み合わせを考えていたのであれば、業務効率の向上を図れます。従業員別に案件の進捗管理もできるので、対応もれも少なくなるでしょう。

    4-3.派遣先との連携機能が充実している「連携強化型」

    派遣事業は、派遣先の企業があってはじめて成り立ちます。円滑に業務をすすめ、トラブルを低減するためにも、派遣元企業と派遣先企業の間で連携を図ることは非常に重要です。 そうした背景から、派遣先企業との連携に重きを置いたシステムもリリースされています。 このようなシステムをこの記事では「連携強化型」と呼びますが、連携強化型のシステムでは契約や請求の管理、派遣照会など、必ず発生する業務を社内外で適切に管理するための機能が搭載されています。 このタイプのシステムには、「e-staffing」(株式会社イー・スタッフィング)が当てはまります。派遣元企業、派遣先企業にそれぞれ最適化されたサービスが用意されており、人材を送る企業も迎える企業も、スムーズに業務を進めることができます。法令遵守に重きを置いて作られているのも特徴です。派遣先企業には料金がかからないため、手軽に導入ができます。

    4-4.教育に重点を置いた「教育重点型」

    すべての派遣会社は、派遣従業員に対してキャリアアップ教育訓練を実施しなければなりません。それに加え、近年では教育や研修で他社との差別化を図る会社も現れはじめています。そのような状況下で、特にこれから従業員の教育に力を入れていきたいと考えているのであれば、教育に重きを置いた「教育重点型」のシステムも検討してみましょう。 教育管理やeラーニングコンテンツの提供まで一括で行うことができるシステムを利用すれば、研修のたびに頭を悩ませることはなくなります。 教育重点型システムの例としては、「LearningWare」(当社・株式会社プロシーズ)があります。スマホやパソコン、タブレットなど多様な端末でeラーニングコンテンツを受講できるほか、集合研修にも対応しているため、研修の実施から管理までこのシステムひとつで行うことができます。ご要望をシステムに反映させることもできるので、教育に重きを置いていきたいと考えているのであればぜひ一度ご相談ください。

    5. システムごとの得意分野を見極めて最適なシステムを!

    人材派遣システムにはどのようなものがあるのか、選び方とともにご紹介しました。今後、業務効率を向上させたいのであれば、システムの導入は必須です。各社からさまざまなシステムが提供されているため、現状や予算に合ったものを選びましょう。当社では、人材派遣システムや教育訓練に関するお悩みをいつでも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
  • 知っておきたい「派遣」と「請負」の違い!偽装請負への対策もご紹介

    近年、企業の業務委託活用が増加傾向にあります。 企業のIT人材の不足、働き方改革によるフリーランスの増加、企業の副業解禁による副業エンジニアの増加などが、業務委託増加の要因と考えられています。、 業務委託の増加とともに、派遣業界では「偽装請負」の事案が問題視されています。 知らないうちに法令違反をしてしまっているケースもあり、非常に厄介な問題です。この記事では、一見よく似ている労働者派遣と請負契約の違いについてご説明し、その後偽装請負への対策をご紹介します。外部の従業員と一緒にお仕事をされている方に、ぜひ読んでいただきたい内容となっています。

    「派遣」と「請負」の違いとは

    早速、労働者派遣と請負契約の違いについてご説明します。 まずはそれぞれの業務形態についてひとつひとつ解説をした後、「派遣」と「請負」で異なる部分をピックアップします。 派遣と請負の違いに関する認識が誤っていることが原因で法令違反が起こってしまうこともあるため、ぜひこの機会に正しい理解をしましょう。

    労働者派遣とは

    労働者派遣も請負契約も、派遣元の会社と派遣先の会社、そして派遣される労働者の三者がいて成り立ちます。 特に労働者派遣に関していえば、派遣元の企業(派遣会社)が派遣労働者を派遣先の企業に派遣するという形で契約が交わされます。 雇用主は派遣元の企業ですが、労働者は派遣先の指示に従って業務を行います。 多くの企業で取り入れられている形態なので、イメージしやすいのではないでしょうか。

    請負契約とは

    請負契約は、請負会社との間に雇用契約を結んだ労働者が、発注者と仕事を行うものです。 雇用関係は請負会社と労働者の間に生じ、請負契約は請負会社と発注者で結ぶことになります。労働者は「発注者と仕事を行う」と表現しましたが、仕事に関する指揮は請負会社が行います。 また、請負契約の目的は「仕事の完成」にあります。ソフトウェアの開発やホームページ制作、建設工事などの案件でよく用いられる形態です。

    労働者派遣と請負契約の違い

    とてもよく似ている労働者派遣と請負契約ですが、その2つの形態の間には契約上でも実務を行う上でも非常に重要となる違いがあります。 最も大きいのは「誰が指揮を行うか」という点での違いです。 労働者派遣の場合には派遣先の会社が労働者への指示を行うのに対し、請負契約の場合、労働者に対する業務上の指示は請負会社から行われます。 指揮を誰が行うかという部分は非常に重要で、認識を誤れば偽装請負状態を作ってしまうことにもつながります。

    近年問題になっている「偽装請負」とは?

    近年、特に派遣業界を賑わせているのは「偽装請負」に関する話題です。 ここでは偽装請負そのものの説明に加え、なぜ偽装請負が禁止されているのか、また偽装請負にはどのようなパターンがあるのかを解説します。 この機会に偽装請負についての理解を深め、偽装請負を未然に防げるようにしましょう。

    請負契約を装って行われる実質的な労働者派遣

    偽装請負とは、請負契約を結んでいるのにも関わらず、実態は労働者派遣になってしまっている状態のことです。 請負契約では、発注者側が業務上の指示を行うことや、契約外の業務を委託することが禁止されています。 そのため、発注者が労働者の指揮をとった時点で偽装請負となるのです。 直接指示をするのであれば、派遣契約を結ばなければなりません。

    なぜ偽装請負は禁止されている?

    発注者目線で考えると少し不便なように思えるかもしれませんが、偽装請負が禁止されている理由がしっかりとあります。 たとえば、労働者保護の観点が良い例です。 仕事の完成や納品物に対して対価を支払う請負契約を結んだにも関わらず、発注者から指揮命令や関係のない職務に関する指示が行われると、労働者は不当に働かされてしまうことになります。また、偽装請負状態で働いている労働者の中には、社会保険や雇用保険に加入していない人もいます。万が一業務中に病気や怪我をしてしまった場合に責任の所在がうやむやになってしまうため、偽装請負は非常に危険なのです。 他にも、労働基準法で禁じられている「中間搾取」を防止するという目的もあります。 中間搾取とは、第三者が雇用関係に介入し、労働者に対して本来支払われるはずだった報酬を搾取することです。偽装請負の場合、労働者を雇用した請負会社が中間搾取を行ったと判断されます。こうしたケースから労働者を守るために、偽装請負はなくしていかなければなりません。

    偽装請負の典型的なパターン4種類

    偽装請負には、大きく分けて4つのパターンがあります。 それぞれの概要や特徴をご紹介します。 いつの間にか偽装請負状態になってしまう場合も多々ありますが、巧妙に偽装請負を隠していることもあります。 紹介するパターンに心当たりがあるのであれば、要注意です。

    ①スタンダードな偽装請負

    最も多いのは、発注者が労働者に直接指示を行ってしまっているパターンです。 はじめは請負会社が指示を行っていても、業務を進めていくうちに指揮を行う人が変わってしまうこともあります。 偽装請負の状態としては最も分かりやすいですが、そもそも偽装請負に対する認識を持っていない発注者もいるため、事前の認識合わせは必須だといえます。

    ②形だけ担当者を置く方式

    請負会社側に担当者を置き、その担当者を通して発注者からの指示を労働者に伝えるというものです。 この形式は意図的に偽装請負が行われる際の常套手段です。 一見すると請負会社から労働者に対して指示が行われるように見えますが、発注者からの指示をそのまま伝えているのであれば、実質発注者が指示を行っていることになります。 「指示は担当者を介して伝えてください」と言われている場合は、偽装請負の可能性もあるため注意しましょう。

    ③責任の所在が不明なパターン

    外注や下請けを頻繁に利用しているのであれば、気をつけなければならないのがこのパターンです。 請負会社が発注者から受けた仕事を外部委託した場合、仕事に関する指示がさまざまな場所から行われる可能性があります。外部委託先の労働者に対して請負会社や元々の発注者が指示を行うのは、偽装請負となります。 こうしたケースでは、責任の所在や業務指示のフローがうやむやになりがちです。 外部委託先が増えれば、実際の使用者を特定するのは難しくなります。

    ④個人事業主として就労させる方式

    これは発注者と労働者の間に雇用関係を結ばず、発注者と請負を受注した個人事業主として取り扱う方式です。そうした契約方式自体に問題はありませんが、発注者が労働者に対し自社の従業員と同様に指示を行うと偽装請負とみなされます。 請負会社から人材の斡旋を受ける場合には、誰がどのように指示を行うのか明確にしなければなりません。

    偽装請負を行うとどうなる?

    ここからは偽装請負を行ってしまった場合の罰則に関して解説していきます。 偽装請負を行った場合の罰則は、主に下記の3つの法律で定められています。

    労働者派遣法

    無許可で派遣事業を行ったことに対して罰則が科せられます。 第59条2号で、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています。

    職業安定法

    偽装請負を行うと、職業安定法第64条9号をもとに、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 これは労働者供給事業を無許可で行ったことに対する罰則で、無許可で派遣された労働者に対して指示を行った事業者も処罰の対象となっています。 請負会社だけでなく、発注者も罰せられる可能性が十分にあるのです。

    労働基準法

    偽装請負が禁じられている理由のひとつとして「中間搾取の防止」を挙げましたが、労働基準法ではこの中間搾取に関する罰則が定められています。 118条では中間搾取を行った者やそれを手助けした者に、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すとされています。 場合によっては発注者も中間搾取を手助けした者とみなされ、罰則の対象にもなり得ます。 偽装請負状態においては、請負会社に罪があると思ってしまいがちですが、発注者にも大きな責任があります。 故意かそうでないかに関わらず、偽装請負への関与は非常にリスクが大きいとお分かりいただけたでしょうか。

    受け入れ先の企業も要注意!知らずに偽装請負になってしまうケースも

    偽装請負をなくすためには、発注者、つまり受け入れ先の企業の意識改革も必要不可欠です。 業務の進め方を誤ってしまったり、請負企業に虚偽の説明をされたりして、知らないうちに偽装請負に加担することもあり得ます。 請負契約に関わる場合には全員が当事者意識を持つ必要があります。

    業務の進め方次第で偽装請負状態に陥ることがある

    業務を請け負っている労働者であっても、社内で仕事をしていると自社の従業員と同じように扱ってしまいがちです。 特に社内で請負契約や偽装請負に関する情報がうまく共有されていないと、業務担当者が請負労働者に対して直接指示を行ってしまうこともあります。 業務の発注をする際には、契約を行う従業員だけでなくその業務に関わる従業員全員に情報をしっかりと共有するようにしましょう。

    派遣元企業に誤った説明をされることも

    偽装請負が発覚した際、時々発注者側から上がるのは「労働者派遣だと思っていた」という声です。 実際、請負会社から適切な説明を受けていないことが原因で、発注者から労働者に直接指示が行われてしまうことがあります。 悪質なケースでは、請負会社が意図的に誤認を招き、さも労働者派遣であるかのように装うことすらあります。 こうした事例に巻き込まれないようにするためには、契約の内容と実際の労働状況を照らし合わせ、偽装請負状態になっていないか発注者側でセルフチェックすることが非常に重要です。

    偽装請負を回避するための方法

    請負契約は、業務の進め方次第で偽装請負状態の発生にもつながるシビアなものです。 ここからは偽装請負を回避するための方法を3つご紹介します。 法令違反を起こしてしまう前に、有効な対策を講じましょう。

    業務フローの適正化

    まず大切なのは、請負と派遣の違いを正しく理解し、誰がどこまで指揮するのかを明確にすることです。 その上で、発注者から直接指示が行われないよう、業務フローを適正に保ちましょう。 請負契約において対価の支払い対象になっているのは、従業員との雇用ではなく、あくまで成果物や仕事の完成です。 発注者は、予定業務以外の業務について絶対に直接交渉を行ってはいけません。

    社内外への情報周知

    請負契約をして業務を進める場合、請負会社は社内外にその旨や偽装請負を防止するための方策を共有しておく必要があります。 社内では適正に業務を進められていたとしても、取引先からの指示が原因で偽装請負状態になってしまうということも考えられるため、社内だけでなく社外への情報周知も必要不可欠です。

    派遣契約への切り換えを行う

    最もおすすめなのは、派遣契約に切り換えをしてしまう方法です。 派遣契約を結べば、派遣先の企業(請負契約でいう発注者)は派遣労働者に対して正式に業務上の指示を行うことができるようになります。 請負契約は、発注者と労働者が密に連携するような仕事には向いていません。 ダイレクトに指示をしながら業務を円滑に行っていきたいと考えているのであれば、派遣契約への切り換えは必須だといえます。偽装請負状態を作り出さないために、ぜひご検討ください。

    高まる「派遣」の需要と必要な措置

    請負契約も労働者派遣も、人材不足を補うための手段として広く用いられてきました。 ただ、近年では派遣契約を選ぶ企業が多くなっており、派遣資格を取得して派遣事業を始める事業者も増えてきています。 この章では派遣の需要が高まっている要因や、派遣事業者として人材派遣業を行うために必要なものについて解説します。

    各業界で進む「人材派遣」への切り換え

    近年、幅広い業界で請負契約から派遣契約への切り換えが進んでいます。 人材不足を補うため新たな契約を結ぶ場合にも、選ばれるのは派遣契約であることが多いです。コンプライアンス意識の向上や、働き方に関する考え方の変化などさまざまな要因はありますが、偽装請負に対する目はたしかに厳しくなっています。 偽装請負になってしまうことを避けたいという各企業の考えが、こうした流れを生んでいるのです。

    派遣事業を行うために必要なもの

    人材派遣の需要拡大に合わせ、派遣事業者として起業したいと考えている方も多いでしょう。 派遣事業の許可要件には主に下記のようなものがあります。 ・一定レベルの資産額を確保すること ・事務所の環境に関する条件を満たすこと ・適正な雇用とその管理ができる派遣元事業者であること ・労働者の教育や訓練を適正に行うための計画を持っていること ・許可申請にあたり、非認可になるような欠格事由を持っていないこと ・派遣元責任者講習を受けた責任者を置くこと 詳しくは別の記事でもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

    中でもキャリアアップ教育訓練の準備は重要

    派遣事業を始めるにあたって満たさなければならない要件の中でも、キャリアアップ教育訓練への取り組みは非常に重要です。認可の際に教育訓練を用意していなければならないためでもありますが、教育訓練は競合の派遣会社との差別化を図れるポイントでもあります。 人材の専門性を高め、優秀な人材を派遣するためにも質の高いキャリアアップ教育訓練の用意は必要不可欠です。 コロナ禍で集合研修を行うのが難しくなったことや、業務で忙しい中でも教育訓練を行えることから、eラーニングでの教育訓練の導入も進んでいます。当社でも、教育訓練のためのeラーニングコンテンツを多数用意しています。各専門分野に特化した内容を学べるようになっているので、キャリアアップ教育訓練にお悩みならぜひご検討ください。

    偽装請負を避けるために派遣契約への切り換えを進めませんか?

    偽装請負の中には発見しづらいものもありますが、ペナルティや労働者を取り巻く状況を考えると非常にリスクが高いといえます。 たとえ法令を遵守していたとしても、請負契約では直接指示ができないため業務がうまく進まないこともあります。業務フローの滞りにお悩みなのであれば、派遣契約の導入をおすすめします。また、派遣事業に関するお悩みごとや、eラーニングに関するご相談がございましたら、ぜひ「派遣の学校」までお気軽にお寄せください!

    派遣許可申請準備が楽になる無料オンラインセミナー開催中

    派遣許可申請準備の手間を少しでも減らしていただくために、派遣の学校では、各種無料セミナーを実施しています。 これまでの派遣会社様へのご支援実績をもとに、分かりにくい派遣法の解釈や提出に必要な書類の作成方法を事例を交えながらお伝えします。 無料で実施していますので是非お気軽にご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
  • 人材派遣で起業したい!要件やより良い事業者を目指すためのポイントをご紹介

    さまざまな要因で人手不足の業界が多い今、優秀なスタッフを抱える人材派遣会社には需要が集まっています。新たに人材派遣業を営む際の要件や流れ、良い事業者になるためのポイントをご紹介します。 人材派遣業での起業を考えている方にお読みいただきたい内容になっています。 その状況をチャンスと捉え、人材派遣業界で起業をしたいと考える方も多いでしょう。 この記事では、  

    1.人材派遣での起業ってうまくいくの?

    ここでは人材派遣業の概要に触れた後、今後の展望や可能性についてご説明します。 混同されがちな「人材紹介業」や「請負」との違いにも触れています。 まずは大まかに人材派遣業への理解を深めましょう。  

    1-1.そもそも人材派遣業とは

    その名の通り、自社で雇用している労働者を他社に派遣する事業を行うのが、人材派遣業です。 労働者が所属するのは派遣元の事業者ですが、実際に働くのは派遣先の事業者になります。 そのため、業務に関する指示は派遣先のものに従いますが、給与は派遣元の事業者から受け取ることになります。 同一の派遣先企業で働くことができるのは最大3年までとなっているため、それ以上の期間派遣先の企業で勤務したいのであれば、派遣先企業と直接雇用契約を結ぶ必要があります。  

    1-2.人材紹介業や請負との違い

    「人材派遣業」と似たような事業に「人材紹介業」があります。人材紹介業は、人手が必要な企業に人材を紹介する、いわば仲介を行うものです。 労働者は人材紹介元の企業には所属せず、紹介先の企業と直接契約を結ぶことになります。 つまり人材派遣業と人材紹介業の最も大きな違いは、労働者が派遣元(紹介元)と雇用契約を結ぶかどうか、という点です。 また、別の業務形態として「請負」があります。 請負契約は案件や納品物単位で行われる契約のことで、労働者が実際に働く企業と雇用契約を結ぶ企業が異なることもあります。 その特徴から人材派遣と混同されがちではありますが、請負はあくまで契約先の企業の業務を一部請け負うものとなるので、人材派遣にはあたりません。  

    1-3.個人で起業するケースも

    人材派遣業を個人事業主として起業する場合も、会社を設立する場合と基本的な手順は同じです。 小規模派遣元事業主には、条件付きで事業開始時の資産要件が緩和される制度もあります。 要件を満たせば、資本金1,000万円で人材派遣事業を始めることができます(通常は2,000万円以上の資本金が必要)。 個人事業主の基準資産額は確定申告を元に確認することとなります。  

    1-4.人材派遣業界の未来は?

    人材派遣業を始めようとしている方はみなさん気になっている部分だと思いますが、人材派遣業界の未来は明るいのでしょうか。 結論から言えば、「差別化ができれば利益を生むことができる」といえるでしょう。 新型コロナウイルスの影響で、世界経済は縮小しています。 求人倍率も低下しており、需要と供給のバランスを見るとしばらく厳しい状況が続くと思われます。 しかし、過度に不安に駆られる必要はありません。 所属人材の専門技術レベルや業務の効率化などで他社との差別化に成功すれば、今後も需要が集中する派遣会社になることができるでしょう。 どの分野、どの戦略なら差別化できるかを事前に考えておくことが大切です。  

    2.人材派遣で起業するための要件

    ここでは、人材派遣の領域で起業する際の必須要件をご紹介します。 要件自体はさほど難しいものではありませんが、事前準備は必須です。 早めに申請の要件を確認し、適切なアクションをとっておきましょう。  

    2-1.派遣業務許可の要件とは

    労働局に派遣業務開始の申請を行う際の主な要件は次の通りです。
    • 基準資本金を含め、一定レベルの資産額を満たすこと
    • 事務所面積を含めた事務所の環境に関する条件を満たすこと
    • 適正な雇用とその管理ができる派遣元事業者であること
    • 労働者の教育や訓練を適正に行うための計画を持っていること
    • 許可申請にあたり、非認可になるような欠格事由を持っていないこと
      このうちのいくつかを、下記で詳しくご説明します。  

    2-2.資本金を確保できているか

    人材派遣会社を設立する際には、資本金を「2,000万円以上」用意しなければなりません。 資本金の判断は基本的に(総資産)から(負債)を差し引いた額で決定されます。 決算前の企業であれば、会社を設立した際の貸借対照表が資本金の判断材料になるので、会社設立時の資本金の確保はしっかりと行っておきましょう。 また、事業所が複数ある場合には、事業所の数だけこの条件が適用されます。 つまり、事業所を3つ設立する際には、2,000万円 × 3 = 6,000万円以上の資本金を用意する必要があるのです。  

    2-3.派遣元責任者講習を受けた責任者がいるか

    新たに派遣会社を設立する場合、「派遣元責任者講習」を受講した責任者を置かなければなりません。 資格の取得そのものの難易度こそ高くないものの、資格を取得する際には3年以上の実務経験が必要になるため、その部分がハードルになることもあります。 「実務経験」とは、実務ベースでの雇用管理経験のことを指し、企業の人事や労務部門の担当者としての経験が問われることになります。  

    2-4.教育や訓練において一定の基準を満たしているか

    派遣会社はすべての所属労働者に対し、教育や訓練を実施する必要があります。 この教育や訓練は有給かつ無償で実施され、内容は各個人のキャリアアップのためのものでなければなりません。 所属スタッフをより優秀な人材に育成するためにも、教育には力を入れましょう。 近年では教育訓練にeラーニングを活用する企業も増えています。  

    2-5.事業所に関する要件

    事業所にかかわる要件も設定されています。 まずは事業所の面積です。 20㎡以上の面積が必要とされていますが、通常は問題なく要件を満たすことができるでしょう。 あとは風営法で定められた事業を行う店舗が、事業所の周囲に密集していないことも要件に含まれています。 事業所を設置する際には、物件の広さだけでなく周囲の環境も確認しておきましょう。    

    3.開業するまでの大まかな流れ

    ここからは具体的な起業の流れをご説明します。 人材派遣業で起業する際には必ず踏まなくてはならない手順なので、ぜひ参考にしてみてください。 この記事では、特に法人として派遣事業をスタートする場合の流れをご紹介します。  

    3-1.派遣元責任者講習を受講する

    要件の部分でご説明しましたが、派遣事業を始めるにあたって「派遣元責任者講習」を受けた責任者を置くことが義務づけられています。 講習は全国で開催されているので、お近くの講習会場で受講可能です。 受講費用は講習の実施団体によって異なりますが、だいたい1万円ほどになります。 この講座の受講自体は、派遣業の認可取得までのどのタイミングでも構いません。 しかし、講習の受講予約に時間がかかるケースもあるので、予約だけでも早くしておくことをおすすめします。  

    3-2.会社を設立する

    派遣事業を始める際には、まず会社として登記をするところから始めます。 大まかな流れでいえば、会社名や所在地などの基本情報を決定し、定款の認定を受けたら資本金の払い込みを行います。 法務局での申請が通れば、会社の設立ができたとみなされます。 ここからの手続きの詳細な手順は割愛しますが、税務や社会保険、労務にかかわる手続きを各機関にて行う必要があります。 これらの申請が問題なく受理されれば、会社の登記が完了した状態になります。  

    3-3.派遣業の許可取得

    会社の登記ができたら、派遣業を行うための申請に移りましょう。 必要書類の作成後、労働局を通じて厚生労働省に申請を行うことになります。 書類の不備があると認可を受けることはできないため、事前のチェックは怠ることのないようにしましょう。 事業許可を通知されれば、派遣事業を始めることができます。 書類の提出から認可まで約3ヶ月程度かかることが多いので、スケジュールを事前に組んでおき、余裕を持って行動しなければなりません。  

    4.より良い派遣事業者を目指すために

    無事派遣会社を設立できたら、いよいよ事業開始です。 もちろん会社ができたからといって満足していてはいけません。 ここでは、これから先も派遣会社として発展し続けるために、しておきたいことを3つご紹介します。  

    4-1.優良派遣事業者認定の取得

    「優良派遣事業者認定制度」とは、派遣労働者、派遣元事業者、派遣先事業者の三者にとって良い環境を作るための認定制度です。 厚生労働省が認定を行っており、派遣会社を選ぶ際の指標の一つになっています。 認定要件の中に「3年以上の事業実績があること」が含まれているため、事業開始時すぐには申請できませんが、事業が軌道に乗った時点で認可を受けることができれば、他社との差別化ポイントになるでしょう。  

    4-2.適切な人材管理

    人材派遣で重要なのは、人材の管理です。 ひとくちに人材の管理と言っても、日々の勤務状況や人材配置、スタッフひとりひとりのメンタルヘルスなど多岐に渡りますが、これらひとつひとつの管理の仕方は企業全体のあり方に直結します。 業務の効率化を図りつつ、個々人に寄り添った企業運営ができるよう心がけましょう。  

    4-3.eラーニングの導入

    スタッフの訓練や教育にeラーニングを用いることで、ひとりひとりのキャリアアップに寄り添った学習支援ができます。 単に「義務だから」という理由から行われるのではなく、本人のことを考えた上での教育訓練の実施は、今後さらに重要性を増すと考えられます。 「派遣の学校」では、数多くの職種に対応したeラーニングコンテンツを多数ご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。  

    5.起業はスタートライン!他社との差別化を忘れずに

    この記事では主に人材派遣で起業する、いわば「始めるまで」の段階の話をしてきました。 事前準備を十分行い、確実に認可を受けられるようにしましょう。 また、起業ができた後も優秀な人材と仕事が集まる「良い派遣会社」を目指し、より良い環境作りに努める必要があります。 派遣事業に関するお悩みごとや、eラーニングに関するご相談は「派遣の学校」までお寄せください! 改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
1 2 3 6

お問い合わせ、資料請求は下記からお気軽にどうぞ!