2015年9月の改正労働者派遣法によって、派遣社員に入社して3年間、年間8時間以上のキャリアアップ教育訓練を受けさせること、4年目以降もキャリアの節目で教育訓練を行うこと、希望者に対してキャリアコンサルティングを行うこと、これらが派遣元事業主に義務化されました。
派遣事業を行う派遣元事業主が実施し、研修を受ける派遣社員は研修時間内は有給無償、費用を払う必要がありません。
さらに2021年(令和3年)1月1日から、派遣労働者の雇入れ時の説明の義務として、派遣元事業主が実施する教育訓練について、希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容についての説明が義務付けられました。
目次
派遣社員の教育訓練(キャリアアップ教育訓練)とは
改正派遣法で定められたキャリアアップ教育訓練の主な内容は下記のとおりです。
- 1年以上雇用見込みのある全ての派遣社員が対象
- 教育訓練は有給かつ無償(フルタイムで毎年8時間以上、時短はそれに比する時間)
- キャリア形成のための、段階的かつ体系的な教育カリキュラム
- 入職時基礎訓練、職能別訓練、※職種転換訓練、階層別訓練の4種の訓練
- キャリアアップに資する(役立つ)訓練内容
派遣法で定められている上記内容について、詳しく見ていきましょう。
1年以上雇用見込みのある全ての派遣社員が対象
派遣元事業主が環境を用意しなくてはならない対象となる派遣社員の定義となります。
注意したいのは、「1年以上雇用見込みのある」という言葉です。
文面通りならば、1年以上雇用されるだろう派遣社員、と考えられます。ではどの段階で1年以上の雇用とみなすことになるでしょうか。
結論から言いますと、労働局の解釈は「継続的に雇用する可能性がある派遣社員は全て対象」としています。
例えば3ヶ月毎に更新がある派遣契約だとすると、3度めの更新で1年以上の契約が確定しますが、そこは関係なく、契約更新をする可能性があるなら対象となる、と判断します。
そのため、雇入れの際に10ヶ月で仕事を離れますというような特別な契約をしていない限り、ほぼすべての派遣社員が対象となることになります。
教育訓練は有給かつ無償(フルタイムで毎年8時間以上、時短はそれに比する時間)
派遣社員にとっては、有給かつ無償で行われる、言わば仕事と同じ扱いで教育訓練を受けられる権利となります。
休み時間や休日に教育訓練を行えば、仕事と同じ扱いですので、別途休み時間を与える、残業代や休日手当を支給する必要があります。
どうしても仕事中は受けさせることができない職場もありますが、その場合は別途教育訓練を受けるための日程を組むなど、休日手当や残業にならないようにする工夫が必要でしょう。
パケット代の支給
また、教育訓練として無償で行うということで、eラーニングで教育訓練を実施するにあたってパケット代も支給しなくてはいけないのか、というご質問をいただくことがあります。
もし、その方法しか受講することができない場合は支払う必要があります。
受講できる環境を整えるのが派遣元事業主に求められていることだからです。
環境を用意することが重要ということになります。
ですので、キャリアアップ教育訓練について説明をする際に、従量課金ではなくWifi環境で受講を推奨すること、またWifi環境が用意できない場合は会社に来て受講することができる環境を準備するという環境を整えることで、パケット代の支払いについては会社が負担する必要はないという判断が出ています。
キャリアアップ教育訓練について説明するときや、実際に受ける際にきちんと通知しておくことが大事です。
教育訓練の時間
教育訓練の時間については、フルタイム週40時間勤務の人で毎年8時間以上ということだけが決まっています。
「時短はそれに比する時間」とは、例えば週20時間勤務の人の場合は、毎年4時間以上の教育訓練を受講させましょう、という判断になります。
この時間を下回らないように教育訓練を準備しましょう。
キャリア形成のための、段階的かつ体系的な教育カリキュラム
キャリアアップ教育訓練は、段階的かつ体系的であることが求められます。
つまり、初級中級上級などステップアップしていく教材を受けさせる必要があります。
また、その教育訓練が派遣社員の待遇が上がることにつながっている必要があります。
待遇が上がるとは、賃金が上がる、正社員など安定した雇用につながる、技術スキルが身につくなどです。
同一労働同一賃金で、労使協定方式では派遣社員の賃金テーブルを作成する必要がありますが、この賃金テーブルと連携した教育訓練であることが望ましい、または必要とされています。
勤務態度も真面目で、仕事で評価を受けている、そして教育訓練を受けてスキルアップに前向きに取り組んでいる、という評価の一つとしても利用するのが良いでしょう。
入職時基礎訓練、職能別訓練、※職種転換訓練、階層別訓練の4種の訓練
この4つの訓練を準備する必要があるとされています。
職種転換訓練については無くても問題にはなりません。
基本的には1年目に入職時基礎訓練を行い、2年目3年目で職能別訓練と階層別訓練を組み込んだカリキュラムを作成しましょう。
職種転換訓練については、キャリアコンサルティングで職種転換の希望があった場合に用意できると良いでしょう。
キャリアアップに資する(役立つ)訓練内容
派遣法改正の一番の目的は、派遣社員の待遇を上げることです。
キャリアアップにつながる教育訓練を用意する必要があります。
そのため、どうしてそのキャリアアップ教育訓練が役に立つのか下記の視点で報告が求められます。
- 期待される教育訓練の効果
- 到達すべき知識、技量レベル
- キャリアアップにつながる理由
以上が、年間8時間以上のキャリアアップ教育訓練の必要性と求められている内容となります。
目的は派遣社員のキャリアアップ・待遇改善
派遣法改正の目的は「派遣社員の待遇を上げること」です。
派遣労働者は柔軟な働き方ができるメリットがある一方、実際には雇用が不安定になりがちです。
そもそもが不足人員に対する期間限定の補充という側面もあり、派遣先企業の都合で派遣契約期間が終了になることが多いのも事実だからです。
そのため派遣労働者は弱い立場に追い込まれることもあります。
そんな雇用状況の中では、キャリアアップの機会も設けられず、キャリアアップを希望しても、研修に参加できなかったり、そもそも研修が設けられないといったことが起きるようになっていました。
こういった弱い立場の派遣社員の権利を守るために、派遣法が制定され、2015年9月の派遣法改正により、派遣社員のキャリアアップ教育訓練が義務化されました。
なので、派遣法に沿っているかどうかを考えるにあたっては、派遣社員のためになることかどうか、という基準があるといえるでしょう。
教育訓練は派遣社員にとってメリット、派遣元事業主にとってはチャンス
上記のことから、キャリアアップ教育訓練は、派遣社員にとって有給無償で受けることができるキャリアアップ教育というメリットであることがわかります。
派遣元事業主にとっても、義務として捉えるのではなく、きちんとした教育訓練を行うことで、派遣社員のスキルアップやモチベーションアップを図るチャンスでもあります。
また最近では、どのようなキャリアアップ教育訓練を行うのかを自社サイトに掲載して、派遣社員の登録を促すアピールの材料としても利用されてきています。
義務として行うではなく、派遣社員のためになることという意識を持って取り組むことができれば、キャリアアップ教育訓練は、派遣社員、派遣元事業主双方にとって、非常に有効な手段であると言えるでしょう。
何を準備する必要があるか
それではキャリアアップ教育訓練の実施までに何をする必要があるでしょうか。
まずは、派遣事業許可申請、また派遣事業許可更新の際に、キャリアアップ教育訓実施練計画を労働局に提出する必要があります。
計画書を提出する際に、カリキュラムと、その教育訓練がどのようにキャリアアップに役に立つのかを説明する資料の提示を求められます。
カリキュラムとしては、1年目から3年目まで、各年8時間以上、体系的かつ段階的な内容である必要があります。
また、4年目移行は時間の縛りはなくなりますが、節目節目で教育を行うことが定められています。
年ごとでもいいし、3年ごと、職場を変わるとき、など定期的に行うこととして、4年目以降のカリキュラムも組む必要があります。
どのようにキャリアアップに役に立つのか、ということについては、計画書の書面では収まらないため、別紙として添付資料を提出が求められます。
教材が役に立つ理由として、下記の内容をまとめます。
- 期待される教育訓練の効果
- 到達すべき知識、技量レベル
- キャリアアップにつながる理由
例えば、弊社の【仕事の意思疎通を楽にする!アサーティブコミュニケーション講座】の場合は、このような資料を用意しています。
どのように声をかければスムーズに仕事依頼を受けてもらえるのか?という設定で、相手へかける言葉が選択肢で用意されています。相手を不快にさせる選択肢を選んだ場合は、なぜダメなのかという解説を見ることができ、相手の立場にたった会話をする考え方を身に着けることができ。キャリアアップにつながると考えます。
キャラクターのタイプはユングの心理学をベースに4つに分かれており、シナリオも4つあります。自分の苦手なタイプ以外のシナリオも見ることで、アサーティブコミュニケーションへの理解を深めることができます。
これらをカリキュラムの講座それぞれに用意する必要があり、計画書で一番手間がかかるところであるかと思います。
この別紙資料については、法的に決まっている提出書類ではありませんが、2019年から全国の労働局で提出を求められるようになりました。
それ以前からいくつかの労働局では提出するように指導があったようです。
キャリアアップ教育訓練カリキュラムについて、労働局がきちんと精査を行っているという現れだと思います。
いつ準備が必要か
派遣事業許可申請をする場合は事前準備としてキャリアアップ教育訓練を用意しておく必要があります。
派遣事業許可は、初回3年、2回目以降5年ごとに、許可更新の手続きを行わなければなりませんので、計画書作成に向けてキャリアアップ教育訓練の見直し、eラーニングの導入などを検討される必要があります。
キャリアアップ教育訓練は他社との差別化になる
キャリアアップ教育訓練については、派遣元事業主の義務として環境を整える必要があるというのはご説明したとおりです。
派遣社員からみると、有給無償でキャリアアップ教育訓練を受けることができるチャンスでもあります。
2015年から開始されているキャリアアップ教育訓練は、派遣社員の方たちにとって、よく知られている教育訓練となってきています。
さらに、令和3年1月の派遣法改正で、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングについて雇入れ時の説明義務が追加されたことで、これから派遣登録を行う人にとっては「どんなキャリアアップ教育を用意しているのか」を登録会社を選択する1つのポイントとなっています。
大手派遣会社では、自社サイトへ教育訓練についてのページを設けており、派遣法への対応とともに、自社PRとして利用しています。
また、このキャリアアップ教育訓練の目的は、派遣社員の待遇改善です。
何を持って改善とするかは、仕事に役に立つか、賃金などの待遇が上がるか、スキルが身につくか、ということが挙げられます。
キャリアアップ教育訓練を行うことで、派遣社員にとって良いことが起こることが求められています。
高まるリスキリングの重要性
近年では「リスキリング」の大切さが説かれるようになりました。リスキリングとは、ビジネスシーンにおけるスキルの「学び直し」のことで、業務と並行して必要なスキルを学ぶことを指します。
従来、スキルを学ぶ際には一度休職をして大学院などに入学し、そこからまた復職して業務に就くケースが多くありました。それを繰り返す教育方式を「リカレント教育」というのですが、この方式ではスキルを身につけるために仕事から離れ、また戻らなければならないという点で業務効率が上がらないという課題がありました。
リスキリングは、業務に従事しながらスキルの向上を目指すという点でリカレント教育とは異なります。仕事を離れたり、また戻ったりする必要がないため、通常業務にも支障が出にくいのが特徴です。
リスキリングの実施にかかる企業側のコストは、採用活動の6分の1とも言われています。新たな人材を採用するよりも効率良く業務効率の向上を狙えるため、企業としては積極的に取り入れたい手法です。
政府は2022年の10月にリスキリング関連の支援に1兆円もの予算を投じると発表しました。
こうした背景から、今後企業におけるリスキリングは積極化するとみられます。
個人のスキルを高めることで対応可能な業務範囲は広がり、人材の市場価値が高まります。
特に派遣社員の場合は、派遣先企業に求められるような人材になることで、自身の待遇や満足度向上に繋げられるでしょう。
派遣会社目線で見ても、リスキリングを経てスキルを身につけた従業員が所属していることで、会社の価値向上が期待できます。
派遣事業を営むのであれば、早めに取り組んでおくのがおすすめです。
派遣法改正に伴う教育訓練計画書の作り方
今まで体系的でなかった教育訓練から、体系的かつ段階的なキャリアアップ教育訓練を導入するにあたり、まず考えるのはこちらです。
誰に何を受けさせるかを整理する
現状把握含め、自社に必要な教育が何であるかを洗い出す必要があります。
派遣社員にとって何が必要であるかはもちろんですが、自社にとってどのような人材を育てていきたいかというところも大切なポイントです。
例えば、初めて派遣社員として働く人が多いのであれば、ビジネスマナーやヒューマンスキルを身に着けておくことは必須です。
キャリアアップ教育訓練で均質な教育を受けてもらうことができれば、派遣元企業としてのボトムアップが図れるでしょう。
中堅どころで、マナーなどは問題なく、これからより多くの仕事をしていってほしい派遣社員が多い場合は、専門職種に特化した教材を受けてスキルを上げ、キャリアアップをしていってもらうことができるでしょう。
仕事についてはもう心配いらないベテラン派遣社員に対しては、現状の仕事と関連がある教材で広い見識を持ってもらうことでより仕事の幅を広げてもらったり、ヒューマンスキルの高度な内容やマネジメントスキルを磨く教材を受けてもらうなどが考えられます。
様々は職歴、スキルを持った社員がいるならば、一般的な教材と専門的な教材を配分したカリキュラム作成が必要になってくるでしょう。
そのために必要な教材を探す
現状の自社派遣社員に受けさせたい教育が決まって、いざ実際にその教育を行うとなったとき、自社で教材を用意するのは時間と費用がかかりすぎてしまうということが往々にしてあります。
既に実績のあるeラーニングサービスの導入を検討することをおすすめします。
派遣社員に受けさせたい教育をカバーする教材、仕事中に有給無償で教育を行う方法、いつまでに受けてほしいか、また受けたかどうかの確認、そして毎年6月の事業報告書での報告を鑑みて、最も自社にあった教育訓練方法を選択する必要があります。
労働者派遣事業報告書のキャリアアップ教育訓練の実施有無など書き方・ポイントについてはこちらもご参照ください。
https://www.pro-seeds.com/haken/blog/haken-report/
キャリアアップ教育訓練計画書の書き方
どのような教材が必要か、というところまで進みましたら、労働者派遣事業計画書(様式第3号)の書き方について見ておきましょう。
どのように記載する必要があるのかを確認してキャリアアップ教育訓練計画を立て易くなるかと思います。
労働局で様式ファイルはダウンロードできます。
法改正によりフォーマットが更新されていますので、新しいフォーマットを使うように注意しましょう。
- ▼参考:東京労働局
- 労働者派遣事業関係 ダウンロードページ
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken.html
労働者派遣事業計画書(様式第3号)とキャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)の2つのエクセルファイルをダウンロードしておきましょう。
労働者派遣事業計画書(様式第3号)
・様式第3号(第1面)
事業所についての情報を記載します。
事業所が複数ある場合は、別途事業所の数だけ書類を用意する必要があります。
・様式第3号(第2面)
派遣労働者の人数、平均的な料金、賃金、保険料を記載します。
安全衛生教育の内容や、キャリアアップ教育訓練以外の教育訓練があればこちらに記載します。
設備や場所については、研修所や、パソコン、机の台数などを記載しておきます。
ちなみに、プロシーズの安全衛生教育を利用した場合の、項目6の記載はこのようになります。
・様式第3号(第3面)(第4面)
1面と2面についての記載要領がまとめられています。
・様式第3号-2(第1面)
「キャリア形成支援制度に関する計画書」として、労働者派遣事業計画書で最も記載が多く手間がかかるメインとなる書面です。
10項目について順に見ていきましょう。
1 キャリアコンサルティングの担当者の人数
担当者の人数を、社内、社外、キャリアコンサルタントまたは それ以外で何人設置しているかを記載します。
キャリアコンサルタント担当者については下記の条件のいずれかを満たす人を選定する必要があります。
- キャリア・コンサルタント(有資格者)
- キャリア・コンサルティングの知見を有する者
(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者等) - 派遣先との連絡調整を行う営業担当者
2 キャリアコンサルティング窓口
窓口の開設方法としては、派遣労働者がキャリア・コンサルティングを申し込むことができる環境の用意ということになります。
記載方法としては、下記の方法で該当する番号をすべて記載しておきます。
- 事務所内に設置
- 電話での相談 窓口の設置
- e-mailでの専用窓口の 設置
- 専用WEBサイトの設置
- その他 ※詳細備考欄に記載必要
もしまだ窓口がない、未開設の場合は開設予定の内容を記載しておきます。
キャリアコンサルティングを行う場所も、該当する番号をすべて記載します。
- 社内(本社、支社等を含む)の特定の 場所
- 社内の不特定の場所
- 派遣先 の特定の場所
- 派遣先の不特定の場所
- 社外
- その他 ※詳細備考欄に記載必要
3 キャリアコンサルティングに関するマ ニュアル等の有無
有りか無しか丸をつけます。
有りの場合はマニュアルの添付が求めらています。
4 キャリアアップに資する教育訓練
派遣法改正で定められたキャリアアップ教育訓練について具体的な教育訓練内容を記載します。
但し、この資料では具体的と行っても大きなカテゴリを記載するイメージです。
例えば実際のカリキュラムでExcel講座初級と中級を受講する場合は、具体的な教育訓練として「OA研修訓練」と記載しておくという書き方です。
書類では8項目までしかありません。
ですので、職種が多かったり、行う教材のカテゴリが8項目以上ある場合は、第3号-2(第1面)を複数枚用意して、追加記載を行います。
受講を行う対象となる派遣労働者の人数などもこちらに記載しておきます。
1年目から3年目まで、フルタイム1年以上の雇用見込みのある派遣労働者には各年8時間以上、4年目以降はどのタイミングで教育を行うかなどを設定しておき、説明ができるようにしておかなくてはなりません。
また、キャリアアップ教育訓練実施にあたっての賃金額を1人1時間当たり平均で記載する必要があります。
上記の記載をした上で、労働局からは詳細なカリキュラムも提出が求められます。
年間8時間どのような教育訓練を行うのかを、別紙として準備して提出します。
5 上記教育訓練が、キャリアアップに資すると考える理由
項目4で設定した教育訓練がキャリアアップに資する(役に立つ)と考える理由を記載します。
こちらについて、項目は1枠しかありません。
労働局が記入例としてあげている文面を参考までに記載します。
派遣労働者の採用後、役職・段階があがるタイミングにおいて、キャリアパスに応じた上記教育訓練を設けており、職務遂行能力や専門的・総合的な能力 を高め、派遣労働者のキャリアアップに資することを念頭においている。
しかし2019年以降から、この内容についても別紙で提出が求めらてきています。
より詳しくなぜそのキャリアアップ教育訓練が役に立つと言えるのかを説明してほしいという指導が入ることがあります。
様式第3号の概要にある「所定の欄に記載し得ないときは、別紙に記載して添付すること。」という名目での指導と考えられます。
その場合は、項目には「別紙参照」と記載して、カリキュラムに沿ってどのように役に立つと考えてその教材を受けさせるのか、を説明する資料が必要になります。
ここが非常に手間がかかって大変だったという担当者様のお声をよくお聞きします。
ちなみにプロシーズでは、教材一つひとつに、なぜキャリアアップに資するかという説明をご用意しております。
ですのでカリキュラムを組んでしまえば、その時点で別紙資料の作成対応が可能です。
6 無期雇用派遣労働者への中長期的なキャリア形成を考慮に入れ た教育訓練の実施
こちらについては、法改正で定められた1年目から3年目までのキャリアアップ教育訓練含めて、またはそれとは別途に、無期雇用派遣労働者への中長期(3年以上)のキャリア形成を考えた訓練があれば有りに丸をつけます。
7 上記6の実施にあたってどのようなことを考慮しているのかを具体的に記載すること
中長期的なキャリア形成の具体的な内容を記載します。
8 派遣労働者のキャリアアップ措置に係る教育訓練に用いる施設、設備等の概要
こちらは様式第3号(2面)の安全衛生教育やその他の教育訓練の項目と同じであれば記載不要です。
異なる場合は同様に集合研修ならば研修所、パソコンや机の台数などを記載します。
eラーニングの場合は、施設は不要、環境としてパソコンを利用するのか、スマホやタブレットを利用するのかなどを記載します。
9 教育訓練等の情報を管理した資料の保存期間が労働契約終 了後3年間以上あること
3年以上保存する場合は有りに丸をつけます。
10 備考
項目以外で特に伝えるべき内容があれば記載します。空欄で問題ありません。
・様式第3号-2(第2面)
1面についての記載要領がまとめられています。
・様式第3号-3(第1面)(第2面)
派遣労働者のうち、雇用保険等の未加入者がいる場合に提出する資料です。
未加入者がいない場合は提出不要です。
以上が労働者派遣事業計画書の項目と書き方です。
キャリアアップ教育訓練内容とキャリアアップに資する理由について別紙として提出が求められています。
労働局としても厚生労働省からの指導の元、きっちりと審査を行うためにほしい資料ということになります。
こちらをしっかりと準備しておけば、スムーズな申請ができるでしょう。
ここまでで、自社に必要な教育訓練について、派遣事業計画書に記載しなければならないキャリアアップ教育訓練がどのようなものかイメージが付いてきたかと思います。
もう一度事前に検討しておくべき内容をまとめます。
- 必要とされる共通のキャリアパス(求める人材要件)
- 上記①に必要なスキル、資質等
- 教育訓練内容(時間)
- 期待される教育訓練の効果/到達すべき知識/技量レベル/キャリアアップにつながる理由
①と②については、営業担当者の方は肌感として理解できているかと思います。
そこを書き出すなどまとめていただくことで、必要な教育訓練内容が見えてきます。
ぜひ一般向け教材と専門職種向け教材を豊富に取り揃えたプロシーズの「派遣の学校」をご検討ください。
プロシーズの派遣の学校を導入いただければ、カリキュラムの提案とその教材がキャリアアップに資する理由についても資料としてご提案させていただけます。
キャリアアップ教育訓練の事例紹介セミナー実施中
ここまでご説明してきた内容を踏まえて、労働者派遣事業計画書の【4 キャリアアップに資する教育訓練 】記載例と、具体的なカリキュラム、別紙として教材がキャリアアップに資する理由をまとめた資料をご用意しました。
セミナーにて解説を行い、セミナー終了後には資料も配布しています。
分かりにくい派遣法の解釈や提出に必要な書類の作成方法を事例を交えながらお伝えします。
無料で実施していますので是非ご活用ください。
まとめ
派遣キャリアアップ教育訓練は、2015年の改正派遣法対策として、8時間分の教材を用意するという段階を経て、実際の派遣社員のキャリアアップを図り、派遣登録を増やすためのPRや、派遣元企業全体のスキルアップ、引いては売上につなげる戦略として活用できます。
ぜひ派遣の学校を導入いただいて、担当者様の課題解決につなげていただければと思います。