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  • 【2025年最新版】CAD技術者派遣元必見!労働者派遣法第30条の2に規定された8時間キャリアアップ教育訓練の実践ガイド

    目次

    1.なぜ今、CAD技術者派遣にキャリアアップ教育訓練が重要なのか

    近年、設計・製図の現場では「即戦力となるCAD技術者」が強く求められています。一方で、派遣という雇用形態上、教育の機会が不足しがちであり、スキルギャップや業務上のミスマッチが発生しやすいという課題もあります。 こうした課題を解消する手段として、派遣元が担うキャリアアップ教育訓練の重要性が増しています。これは単なる社内研修ではなく、「派遣社員が職場で実力を発揮し、評価され、継続的に活躍していく」ための戦略的な取り組みです。

    ■ CAD現場で起こりやすい課題とは?

    • ソフトウェアの操作スキルに差がある  AutoCAD、Jw_cad、LUMIONなど、現場によって使用ツールが異なるため、初期の教育が不十分だと現場で戸惑いが生じやすくなります。
    • 社会人基礎力に課題がある  特に1年目の派遣社員では、報連相やビジネスマナーが不足し、派遣先から「技術以前の問題」として指摘されるケースも。
    • モチベーションが続かない  スキルアップの機会が少ないと、業務の成長実感が得られず、早期離職につながるリスクもあります。

    ■ 教育訓練の導入がもたらす効果

    • 職場適応がスムーズに進む  派遣初期に社会人マナーやコミュニケーションの基本を習得させることで、職場との信頼関係構築がしやすくなります。
    • 業務理解と成果が加速する  CADの基礎操作や製図のルールを事前に学ばせることで、OJTにかかる時間も短縮され、早期に戦力化できます。
    • キャリアの展望を持たせやすくなる  スキル向上の機会があることで、自らの成長を実感でき、次のステップを意識したキャリア意識が育ちます。
    「どうせすぐ辞めてしまうから研修は後回しに…」という考え方では、いつまでも定着率の改善にはつながりません。むしろ、教育訓練を“先に仕込む”ことこそが、派遣先の満足度と派遣社員の自信、そして御社の継続受注へとつながっていくのです。

    2.教育訓練はどう設計すべきか?─階層・目的別の講座分類

    キャリアアップ教育訓練を効果的に運用するためには、「誰に」「どんな目的で」研修を行うかを明確にすることが重要です。闇雲に講座を並べても、スキルの定着や職場での実践にはつながりません。 そこで有効なのが、教育訓練を以下の4つの講座タイプに分類し、段階的かつ体系的に設計するアプローチです。

    ■ ①入職時研修講座(1年目対象)

    対象者:初めて派遣就業する社員、社会人経験が浅い社員 目的:ビジネスマナー、仕事への基本姿勢の習得 ポイント:
    • 派遣初日に現場で困らないよう、事前に身につけておくべき内容を網羅
    • 対象者に不安を抱かせないため、堅苦しくない教材設計が望ましい
    典型的な内容例:
    • コミュニケーションの基本
    • 身だしなみや挨拶
    • 仕事の進め方・報連相

    ■ ②職能別講座(実務スキル向上)

    対象者:派遣先でCAD業務を行う全レベルの社員 目的:使用ツールや設計知識の基礎・応用力強化 ポイント:
    • AutoCAD・Jw_cadなどCADツールに関する講座を重点配置
    • 製図の基礎や図面の読解も含め、業務との接続性を重視
    典型的な内容例:
    • 製図の基本ルール(JIS規格など)
    • AutoCAD/LUMION/Inventorの操作方法
    • 実務に直結したモデリング演習

    ■ ③階層別講座(経験年数別)

    対象者:概ね2~3年目以降の社員 目的:責任感・主体性・後輩指導力など、社会人力の強化 ポイント:
    • 初級社員からのステップアップとして設計
    • リーダーやメンター的役割を担える素養を育てる
    典型的な内容例:
    • 部下指導の基本
    • チームでの信頼構築
    • リスクマネジメントやストレス対処

    ■ ④職種転換講座(キャリア支援)

    対象者:設計以外の職種への転向を希望する社員、CAD未経験者 目的:将来的な職種変更を見据えたスキル獲得 ポイント:
    • 未経験領域への興味や強みを伸ばす入り口に
    • 教育訓練の“出口戦略”として重要なポジション
    典型的な内容例:
    • 現在使っているツール以外の3Dソフトの入門
    • HTML/JavaScriptなどWeb分野の基礎
    • 施工管理や建築パース制作などの導入講座
    このように目的に応じて講座を分類することで、計画段階での見通しが立てやすくなり、社内承認や派遣先への説明もしやすくなります。

    3.CAD派遣に最適なおすすめ研修カリキュラム例

    ここでは、先ほど紹介した4つの講座分類に沿って、「CAD派遣の学校」で提供されている実践的なオンライン講座の中から、年間8時間(480分)の研修要件を無理なく満たす 体系的キャリアアップ研修カリキュラム例をご紹介します。 対象:CAD技術者派遣社員|1年目~3年目

    【1年目カリキュラム(基礎定着・社会人マナー)】

    カテゴリ 講座名 時間
    入職時研修 ヒューマンスキル「コミュニケーション①」 60分
    入職時研修 ヒューマンスキル「コミュニケーション②」 60分
    職能別研修 製図の基礎Ⅰ 60分
    職能別研修 製図の基礎Ⅱ 150分
    職能別研修 AutoCAD入門講座Ⅰ 120分
    階層別研修 ヒューマンスキル「仕事継続基本項目(積極性編)」 60分
    合計 480分(8時間)

    【2年目カリキュラム(応用力と柔軟性の強化)】

    カテゴリ 講座名 時間
    職能別研修 製図の基礎Ⅲ 240分
    職能別研修 AutoCAD入門講座Ⅱ 120分
    階層別研修 ヒューマンスキル「仕事継続基本項目(継続力編)」 60分
    階層別研修 ヒューマンスキル「問題解決のための要素整理」 60分
    合計 480分(8時間)
    狙い:
    • 製図とAutoCAD操作の応用ステップへ。
    • 仕事の継続力・問題解決力など、主体的に動けるスキルを育成。

    【3年目カリキュラム(リーダーシップと視野の拡大)】

    カテゴリ 講座名 時間
    階層別研修 あした実践したくなる!部下指導マネジメント講座 120分
    階層別研修 ヒューマンスキル「課題設定と目標思考」 60分
    職能別研修 LUMION入門講座 120分
    職能別研修 AutoCAD 3D操作の基本講座 180分
    合計 480分(8時間)
    狙い:
    • リーダー的役割や後輩育成を意識させる内容。
    • CAD設計の3D・可視化スキルも取り入れ、専門性を広げる。

     3年分の全体構成イメージ

    年次 研修の軸 キーワード
    1年目 基礎の定着・現場適応 ビジネスマナー・製図基礎・2D基本
    2年目 応用力と自己管理力 図面応用・AutoCAD応用・課題解決
    3年目 自律とチーム牽引 リーダー育成・3Dスキル・課題設計
    ご希望があれば、御社独自にカスタマイズしたカリキュラムサンプルのご提供も可能です。 また、職種転換希望者用の別プランや、講座ごとの「キャリアアップに資すると考える理由」もご用意できます。 お気軽にお申し付けください。 すべての講座がオンライン対応、スマートフォンでも受講可能なため、業務の合間や自宅での学習にも最適。テスト付き(◎)の講座は、理解度を可視化でき、報告書作成にも活用できます。

    4.カリキュラム設計・運用で失敗しないためのポイント

    研修講座を選ぶだけでは、効果的な教育訓練とは言えません。CAD技術者向けキャリアアップ教育訓練を現場で活かすためには、カリキュラムの設計力と運用管理が非常に重要です。 ここでは、担当者がつまずきやすいポイントと、それを乗り越える実践的な工夫を紹介します。

    ■ よくある失敗①:内容が一方向的すぎて受講者が退屈する

    【対策】
    • 講座にテスト付き(◎)や演習付きのものを組み込むことで、理解度を高められます。
    • 「聞いて終わり」ではなく、「やって確認する」「職場で使える」に落とし込むのがカギです。

    ■ よくある失敗②:誰がどの講座を受けたのか把握できない

    【対策】
    • 講座ごとに「対象者・目的・完了報告」を一覧管理。
    • eラーニングの進捗管理ツールや、受講履歴が自動で残るプラットフォームを活用しましょう。
    たとえば「CAD派遣の学校」では、管理者側で全受講履歴が把握でき、報告書作成にも対応。

    ■ よくある失敗③:「8時間」に合わせて無理やり詰め込んでしまう

    【対策】
    • 講座時間と実務負担のバランスを意識。480分にぴったり合わせるのではなく、10~30分の“ゆとり”を持たせた設計が現実的です。
    • 例)450分+受講者アンケート/振り返り20分=計470分

    ■ よくある失敗④:せっかく研修しても職場で活かされない

    【対策】
    • カリキュラムの冒頭・終盤で「この講座の目的」「職場でどう活かすか」の説明を追加。
    • 受講後に「上司や派遣先との振り返り面談」を設ければ、学んだことを行動に変えるきっかけになります。

    ■ よくある失敗⑤:毎年同じ講座ばかりでマンネリ化

    【対策】
    • 同じカテゴリでも講座内容に変化をつけて、受講者の成長ステージに合わせてアップデート。
    • 講座一覧が豊富にあるサービスを利用することで、年度ごとの組み換えが容易になります。
    キャリアアップ教育訓練は、単なる義務対応ではなく、派遣社員が安心して長く働ける環境づくりの一環です。「研修を業務につなげる」「受講者のやる気を引き出す」運用こそが、現場で本当に成果を出すためのカギです。

    5.まとめ:キャリアアップ教育訓練を「価値ある時間」に変えるには

    CAD技術者を派遣する事業において、キャリアアップ教育訓練は「やらなければいけない義務」ではなく、「事業の価値を高めるチャンス」でもあります。 たった8時間──されど8時間。派遣社員のスキルや意識、そして御社の派遣サービスの評価を左右する、非常に重要な時間です。

    ■ 教育訓練は“人材投資”である

    CAD技術は習得にも定着にも時間がかかる分野です。派遣社員の教育に対して「育てている時間がない」と敬遠するのではなく、むしろ初期投資として先に仕込んでおくことで、派遣先の満足度や契約継続率の向上につながります。 また、スキルだけでなく、マインドセットや社会性を磨く講座を組み合わせることで、「現場に溶け込める人材」としての価値を高めることができます。

    ■ 効果的な教育訓練を行うには「設計」と「ツール」が必要

    記事内で紹介したように、効果的な研修には以下の要素が必要です。
    • 対象者の成長段階に合わせた講座設計
    • 目的別に分類した体系的なカリキュラム
    • テストやアンケートによる効果測定
    • 報告書作成のしやすさや記録管理の仕組み
    これらを自社だけでまかなうには限界があります。だからこそ、外部の専門サービスをうまく使うことが、教育訓練を継続・改善していく上で大きな助けになります。

    ■ 「まずは問い合わせる」から始めませんか?

    もし、「どんな講座を選べばいいか迷っている」「カリキュラムの作り方がわからない」という状態であれば、ぜひ一度、専門機関へご相談ください。 たとえば「CAD派遣の学校」では、
    • CAD特化型の講座を目的別に体系化
    • 受講履歴・テスト・管理者機能も搭載
    • 年間8時間ぴったりのカリキュラム組みもサポート
    すでに多くの派遣元企業様にご活用いただいています。 教育訓練の「義務」を「価値ある時間」に変えたい方へ── 今すぐ、私たちと一緒に次の一歩を踏み出してみませんか? 📩 お問い合わせはこちら → 派遣の学校に相談する
  • 派遣元企業の担当者様必見!キャリアアップ教育訓練に最適な「派遣の学校」新規ビジネススキル講座のご紹介

    派遣の学校に追加された新規ビジネススキル系講座の活用方法

    派遣の学校をご利用の皆さま、また、キャリアアップ教育訓練のeラーニングをお探しのご担当者さま 2024年末、『派遣の学校』に新たに3つのビジネススキル講座が追加されました。
    • 報連相 上手な質問講座
    • 実践!営業の壁対策講座1
    • 実践!営業の壁対策講座2
    これらは、法令に準拠した教育訓練として活用できるだけでなく、派遣社員の実務力アップにもつながる内容となっています。 ご存じのとおり、労働者派遣法第30条の2により、派遣元事業主には、年8時間(480分)以上のキャリアアップ教育訓練を、有給・無償かつ段階的・体系的に提供する義務があります。 本記事では、新たに加わった3講座の内容と活用方法を、職種や経験に応じた活用のヒントとともにご紹介します。 法令対応にとどまらず、現場のスキル育成にも活かせる講座を、ぜひ活用してみてください。

    報連相 上手な質問講座:1年目の派遣社員に最適な入職時研修

    学習時間:60分 社会人の基本である「報告・連絡・相談(報連相)」をテーマにした本講座は、派遣先に入職したばかりの1年目社員向けの入職時研修に最適です。特に「上手に質問する力」に焦点を当てており、相手の意図を的確に理解し、自ら考えて行動するスキルを育てます。 「なんとなく聞きにくい」「報告のタイミングがわからない」といった新人にありがちな悩みを解消し、現場でのコミュニケーション力を早期に向上させる効果が期待できます。入職初期の不安解消や定着支援にもつながります。 報連相 上手な質問講座の詳細はこちら

    実践!営業の壁対策講座1:営業職の悩みを乗り越える第一歩

    学習時間:120分 営業職に派遣された社員が直面しやすい「成果が出ない」「会話が続かない」といった壁に対し、具体的な事例を用いてその対策を学ぶ職能別講座です。営業活動の基本を振り返り、自身の課題を認識し、どこを改善すべきかを明確にする構成となっています。 営業経験が浅い派遣社員や、過去に苦手意識を抱いた方にもおすすめできる内容で、実務力の底上げと自信の醸成に効果的です。 実践!営業の壁対策講座1の詳細はこちら

    実践!営業の壁対策講座2:顧客心理を掴み、成果につなげる

    学習時間:120分 講座1の内容をさらに発展させ、顧客との信頼関係構築や提案力の強化に焦点を当てた続編です。実際の営業シーンを想定した演習やトーク事例を通じて、より高度な営業スキルを習得できます。 中堅層の派遣社員のキャリア形成に有効であり、段階的な職能別研修として導入することで、教育訓練の体系化にも貢献します。 実践!営業の壁対策講座2の詳細はこちら

    教育訓練に「資する理由」を明確に

    本記事でご紹介した3講座はいずれも、以下の点において「キャリアアップに資する」内容であると説明できます。
    • 入職時研修、職能別研修として活用可能
    • スキルの向上と実務での即戦力化を促進
    • 段階的な教育設計により法令要件を満たす
    さらに、「派遣の学校」は受講管理や修了テスト機能が充実しており、事業報告書作成や社内の教育記録整備にも適しています。

    まとめ:教育訓練の質が、派遣先満足と定着率を左右する

    キャリアアップ教育訓練は、法定義務の履行にとどまらず、派遣社員のスキル向上と職場への定着、そして派遣元企業としての信頼向上につながります。 「8時間の研修をどのように構成すればいいのか」「どの講座を選ぶべきか」とお悩みのご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。
  • 【2025年最新版】福祉介護派遣におけるキャリアアップ教育訓練のポイントと注意点

    1. キャリアアップ教育訓練とは?──労働者派遣法第30条の2の概要

    福祉介護の現場で働く派遣社員に対して、段階的かつ体系的なスキルアップの機会を提供するために、労働者派遣法第30条の2では「キャリアアップ教育訓練」の実施が義務付けられています。 この制度は、すべての派遣元事業主に課せられており、単なる努力義務ではなく「法定講習」と位置づけられている点に注意が必要です。したがって、未実施の場合は指導・是正の対象となるほか、労働者派遣事業の許可更新にも影響を及ぼすリスクがあります。

    年間8時間(480分)の教育訓練が必須

    キャリアアップ教育訓練の基本要件として、1年度あたり少なくとも8時間(480分)の研修を有給・無償で実施することが義務付けられています。この「8時間」は法律上の最低ラインであり、8時間を超える教育訓練を実施することは認められていますが、派遣事業主としては、できる限り無駄を省き、ピッタリ8時間で設計したいというのが理想ではないかと思います。 なお、初年度には必ず「入職時研修講座」を行う必要があります。これは法定の時間数指定はないものの、対象者全員に対して適切な内容を計画的に提供する必要があります。 年8時間の派遣社員のキャリアアップ教育訓練とは?

    教育訓練は助成金の対象外

    このキャリアアップ教育訓練は、労働者派遣法30条の2で規定されている法定講習であり、国の人材開発支援助成金の対象外となります。そのため、派遣元事業主にとっては「自社負担」であり、いかに効率的かつ効果的に実施するかがカギとなります。

    制度の目的と企業のメリット

    この制度の本来の目的は、派遣社員の中長期的なキャリア形成の支援です。一見するとコストに見えるかもしれませんが、職場定着率の向上や人材の質の安定化につながるため、企業にとっても「投資」として考えることができます。

    2. 福祉介護派遣での実務対応|講座の種類と構成の考え方

    キャリアアップ教育訓練を制度的にクリアするためには、「段階的かつ体系的な設計」が不可欠です。福祉介護分野の特性を踏まえて、どのように講座を構成すべきか、以下に代表的な4つの講座区分を解説します。

    ①入職時研修講座(初年度に必須)

    この研修は、派遣社員が現場に入る前に「最低限身につけておいてほしいこと」を伝える場です。たとえば、以下のような内容が想定されます。
    • 介護職としての基本的マナー(言葉遣い、身だしなみ)
    • 現場での感染症対策や安全衛生管理
    • 介護記録の書き方の基礎
    • 派遣先との連携・報告義務の理解
    この入職時研修は、時間数が明示されていないため、派遣元の裁量で設計可能ですが、1〜2時間程度に設定するケースが多いです。

    ②職能別講座(業務スキル向上のための講座)

    職種に応じた専門的な知識・技術を習得するための講座です。福祉介護の場合、以下のような内容が該当します。
    • 認知症ケアの基礎
    • 食事・入浴・排泄介助の留意点
    • 高齢者とのコミュニケーション技法
    • 福祉用具の正しい取り扱い方
    実務経験を前提とした講座構成にすることで、より現場で活かせる研修となります。

    ③階層別講座(経験年数に応じた研修)

    派遣社員がキャリアを重ねる中で、職種に関係なく共通して求められるスキルや考え方を養うための研修です。たとえば、
    • リーダーシップと後輩育成
    • クレーム対応の基本と実践
    • ハラスメント防止教育
    • ストレスマネジメントとメンタルヘルス
    この階層別研修は「3年目以降に必要」とされ、監督署からの指摘リスクもあるため、設計時には要注意です。

    ④職種転換講座(新しい職種への挑戦を支援)

    たとえば「介護職から生活支援員へ」など、職種変更を希望する派遣社員に向けて、新たなスキルや知識を提供する研修です。変更が予定されている場合、必ずカリキュラムに組み込む必要があります。変更の予定や、派遣社員からの希望がなければ職種転換講座は無くても問題ありません。 以上教育訓練の講座区分についてご案内してきました。派遣の学校では上記具体例に対応した福祉介護の専門教材をご用意しています。ぜ日ご検討ください。

    3. 教育訓練設計の注意点|よくある誤解と失敗事例

    キャリアアップ教育訓練を設計・実施するにあたり、制度理解が不十分だと、後々のトラブルや指導対象となるリスクがあります。ここでは、実際によくある誤解や失敗事例を紹介します。

    誤解1:「資格取得講座ならOKでしょ?」

    資格取得を促す教育は推奨されていますが、「○○講習を受けるだけで資格がもらえる」タイプの研修は、スキルアップ教育訓練として認められないケースがあります。 厚労省が重視しているのは、「受講によりスキルが身につくかどうか」であり、「資格がもらえるか」は別問題です。 対策: 実務能力の向上を目的としたカリキュラムを設計し、「学習の成果が現場で発揮される」ことを重視しましょう。

    誤解2:「入職時研修さえやっておけば大丈夫」

    1年目の入職時研修だけで8時間を満たそうとする事業主もいますが、それだけでは「段階的・体系的」とは言えません。特に2〜3年目以降の社員に対して、職能別・階層別の研修が組まれていない場合、行政指導の対象になりえます。 対策: 毎年8時間、計画的に研修を割り当て、キャリアのステージに応じて内容を変化させる必要があります。

    誤解3:「とりあえず8時間やればいいでしょ?」

    単に時間を埋めるだけの研修(例:DVD視聴のみ、単調なeラーニング)は、「キャリアアップに資する教育」とはみなされません。さらに、報告書提出時には「なぜこのカリキュラムがキャリアアップに資すると考えるか」の記載が求められます。 対策: 教育訓練ごとに「目的」と「期待される成果」を明確化し、報告書用の記録を残すようにしましょう。

    4. スムーズな運用のために|実務担当者が押さえるべきポイントと工夫

    教育訓練は計画から実施、記録まで含めて「仕組み化」することが重要です。ここでは、実務担当者が実際に押さえておくべき運用のコツをご紹介します。

    ポイント1:年間スケジュールと研修履歴管理の徹底

    年度ごとに「誰に」「どの研修を」「いつ実施したか」を一元管理することで、報告書作成時に慌てることなく対応できます。Excelや研修管理ツールを活用すると便利です。 派遣の学校:派遣担当者の手間を大きく省く『事業報告書ダウンロード機能』 また、社員の在籍期間が短いケースも多いため、早めの研修実施(入職後2ヶ月以内など)をルール化しておくと効果的です。 さらに、eラーニング(オンライン研修)を活用することで、受講履歴や進捗管理が自動で記録されるため、担当者の負担を大幅に軽減できます。 オンライン研修は時間や場所の制約も少なく、派遣社員にとっても受講しやすい環境を提供できる点が大きなメリットです。

    ポイント2:自社で講師を立てるor外部研修を活用する

    派遣元自社で研修をすべて企画・実施するのが理想ですが、リソース的に難しい場合は、専門の外部研修機関やeラーニングサービスの活用も有効です。ただし、研修内容が「実務に即した内容」であることを必ず確認しましょう。

    ポイント3:「キャリアアップに資する理由」は事前に用意

    すべての研修ごとに「この研修がキャリアアップにどう資するか」を文書で明示しておき、報告書にそのまま転記できるよう準備しておくと効率的です。 例:本研修は、介護職として高齢者との円滑なコミュニケーション能力を習得し、業務の質を向上させることを目的としています。 このような文言をあらかじめ用意しておくことで、報告書作成の手間を大幅に削減できます。 派遣の学校ではすべての教材についてキャリアアップに資する(役立つ)理由をご用意しています。

    5. まとめ|教育訓練を機会に信頼される派遣元企業を目指そう

    福祉介護分野におけるキャリアアップ教育訓練は、単なる法的義務ではなく、「人材の質を高め、定着率を向上させる」ための重要な経営施策です。労働者派遣法第30条の2により、毎年8時間の教育訓練の実施が義務づけられており、特に入職時研修・職能別・階層別・職種転換といった講座を体系的に組み立てる必要があります。 一方で、助成金対象外であることや、形式だけの研修では認められないといった厳しい側面もあります。たとえば、「資格が取れるからOK」といった誤解や、「とにかく時間だけ満たせばよい」といった対応は、行政指導の対象になる可能性もあるため注意が必要です。 しかし、しっかりと設計・運用することで、以下のようなメリットが得られます。
    • 派遣社員の満足度と信頼感が高まる
    • クレームやトラブルの未然防止につながる
    • 長期的な人材確保と派遣先からの評価向上が期待できる
    研修履歴の一元管理やeラーニングの導入など、運用の効率化に取り組むことで、担当者の負担も軽減できます。また、すべての講座に「キャリアアップに資する理由」を明記しておくことも忘れてはなりません。 キャリアアップ教育訓練は、派遣元としての信頼性を高める絶好の機会です。「面倒な義務」ではなく、「人材育成のチャンス」として前向きに捉え、制度を有効活用していきましょう。

    お悩みの方へ

    実際に教育訓練のカリキュラム設計や運用体制にお困りの方も多いのではないでしょうか? 当社では、福祉介護分野に特化したキャリアアップ教育訓練の導入支援や研修設計のサポートも行っております。詳しく話を聞きたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
  • キャリアアップ教育訓練eラーニングのメリット:派遣担当者の手間を大きく省く『事業報告書ダウンロード機能』

    キャリアアップ教育訓練eラーニング『事業報告書ダウンロード機能』について

    派遣の学校を導入いただいた理由として挙げられることも多く、eラーニングを利用するうえでの大きなメリットとして非常に喜んでいただけているのが『事業報告書ダウンロード機能』です。 毎年6月の労働者派遣事業報告書の提出にあたって、キャリアアップ教育訓練実施状況の集計は、計画書に沿った事前準備が必要で、集計自体も時間がかかり、派遣元担当者の方にとって、最も手間のかかる作業です。 派遣の学校を導入してキャリアアップ教育訓練をeラーニングで実施すると、労働者派遣事業報告書様式第11号の第6面③に記載すべき『訓練の内容』『受講時間の総計』『受講者の実人数』がExcelファイルでダウンロードできます。 職種ごと、勤務体系(フルタイム・時短勤務)ごとに集計され、個別のExcelファイルを生成します。集計結果は管理画面から一括ダウンロードできます。 労働者派遣事業報告書 第6面③キャリアアップに資する教育訓練」用の集計結果 労働者派遣事業報告書 第6面③キャリアアップに資する教育訓練」用の集計結果

    事業報告書ダウンロード機能に必要な設定

    事業報告書ダウンロード機能を利用するための設定について『事務系職種』を例にご説明します。 教育プランとして『事務プラン』1年目〜4年目のカリキュラムを設定していきます。 教育プランで設定したカリキュラムだけが事業報告書に集計されます。 続いて、受講者にグループと雇用期間を設定します。グループと雇用期間ごとに集計が行われます。 グループについては、勤務地「東京」「大阪」や、職種「事務」「販売」などを作成します。 特にグループ分けがない場合は「会社名グループ」を作って全員をグループに所属させておけばOKです、 雇用期間について、事業報告書の分類である下記3つを受講者それぞれに設定します。 フルタイム1年以上、短時間勤務1年以上、1年未満 設定は以上です。 後は派遣社員の方の受講履歴が揃ったら、管理画面から6月に提出する「労働者派遣事業報告書様式第11号の第6面③」を集計できるようになります。 カリキュラムとグループ分けが決まっていれば、事業報告書ダウンロード機能の設定にかかる時間は20分ほどです。前もって設定しておけば、6月は集計結果をダウンロードするだけでOKです。 「今まで何日もかかってた集計が効率化できた」 「毎年面倒だった6月の手間が省ける上に正確な集計ができて助かる」 など喜びの声をいただいております。 集計データが多い場合、集計に時間がかかることがあります。集計が完了し結果をダウンロードできるようになったら、集計をした管理者のメールアドレスに完了メールが送信されます。  
    事業報告書ダウンロード管理画面

    事業報告書ダウンロード管理画面

      労働者派遣事業報告書様式第11号の第6面③には「別紙参照」と記載して、ダウンロードしたファイルを印刷して事業報告書とともに提出すればOKです。 労働者派遣事業報告書の作り方については下記記事もご参照ください。 【記入例あり】労働者派遣事業報告書の作り方・準備のコツを詳しく解説 毎年6月の事業報告書提出は派遣元会社に取って非常に手間がかかる作業ですが、報告年度において、きちんと派遣業を行ったというエビデンスであるとともに、派遣業界の統計としても利用される重要な資料です。 派遣の学校をご利用いただき、手間を省きつつ効率よく正確な集計が行える『事業報告書ダウンロード機能』をぜひご活用ください。
  • ITエンジニア派遣のキャリアアップ教育訓練とは? 必要性から実施方法まで徹底解説

    1. ITエンジニア派遣のキャリアアップ教育訓練とは?

    1.1 教育訓練の基本概要(法律的背景と目的)

    労働者派遣法では、派遣元事業主に「教育訓練の実施」を義務付けています。これは派遣社員の継続的なスキル向上と長期的なキャリア形成を支援するためです。 2015年の法改正により、以下のポイントが明確化されました:
    • すべての派遣社員に年8時間以上のキャリアアップ教育訓練を実施
    • 訓練費用は派遣元が負担し、無料で提供
    • 原則として就業時間内での受講

    1.2 派遣元企業に求められる義務

    派遣元企業には以下の取り組みが必要です:
    • 年間教育訓練計画の策定
    • 受講状況の管理と適切な機会の提供
    • 教育訓練実施記録の保持

    1.3 ITエンジニア特有の教育訓練の重要性

    ITエンジニア向けの教育訓練には以下の特徴が求められます:
    • 最新技術やトレンドに対応した研修
    • 実践的なスキルを重視した内容
    • 資格取得支援
      適切な教育訓練の提供は、派遣エンジニアの定着率向上や派遣先企業からの評価向上につながり、派遣元企業の成長にも寄与します。 派遣の学校ではITエンジニア向けの専門的な教材をご用意しております。 派遣の学校:ITエンジニア向けキャリアアップ研修教材

    2. なぜキャリアアップ教育訓練が必要なのか?

    2.1 派遣エンジニアのスキル向上と市場価値

    最新技術の習得は派遣エンジニアの市場価値を高め、より高単価の案件に携わる可能性を増やします。

    2.2 企業側のメリット

    教育訓練の充実は以下のメリットをもたらします:
    • 派遣先企業の満足度向上
    • 派遣エンジニアの定着率向上
    • 企業ブランドの向上

    2.3 エンジニアのキャリア形成とモチベーション向上

    段階的なキャリアアップをサポートすることで、エンジニアのモチベーション向上と業務パフォーマンスの向上につながります。   キャリアアップ教育訓練は、エンジニア本人、派遣元企業、派遣先企業のすべてにメリットをもたらす重要な施策です。  

    3. キャリアアップ教育訓練の実施方法とポイント

    3.1 効果的な研修プログラムの設計

    効果的な研修プログラムの設計には以下の3点が重要です:
    1. エンジニアのキャリアに合わせたレベル設定
    2. 実践型研修の導入
    3. 研修後のフォローアップ

    3.2 オンライン研修 vs. オフライン研修

    両方式のメリット・デメリットを理解し、適切な方法を選択しましょう。近年ではハイブリッド研修も増えています。

    3.3 教育訓練にかかるコストについて

    キャリアアップ教育訓練は、派遣元企業が費用を負担します。 集合研修の場合、金銭面、場所と時間など多くのコストがかかりますが、eラーニングを活用することで、低コストで均一的な教育を提供することが可能です。   また、エンジニアのキャリアに合わせた研修内容の設計、オンライン・オフラインの適切に組み合わせたハイブリット研修など、自社の派遣社員にとって効果的な教育訓練カリキュラムを策定する必要があります。 派遣の学校では職種ごと、レベルごとのカリキュラム策定支援なども行っております。 派遣の学校:キャリアアップ教育訓練カリキュラムの提案から運用中のサポートまで充実  

    4. キャリアアップ教育訓練における課題と解決策

    4.1 教育訓練が形骸化するリスク

    キャリアアップ教育訓練を派遣社員が「義務」として捉えてしまうと効果は半減します。自分の仕事に役に立つ、将来のキャリアに有利に働くなど実践的な研修を取り入れることが解決策となります。
    • 現場で使われる技術にフォーカス
    • ハンズオン形式の演習、OJTとの組み合わせ
    • 更に上を目指す新しい技術を取り入れる

    4.2 派遣エンジニアの受講意欲の低さ

    ベテランの社員になると、仕事については既にわかっているからと、なかなか教育訓練を受講してくれないというお話をよくうかがいます。 資格取得やスキルアップ、また評価制度に教育訓練の受講を取り入れるなど、モチベーションを高める工夫が解決策となるでしょう。
    • 受講する意義を伝える
    • 資格取得支援制度の充実
    • 受講時間の評価制度への反映

    4.3 研修の成果が可視化されにくい

    研修の成果はなかなかわかりにくいものです。研修を受けたことで評価が上がる、派遣先からの評判や、派遣社員自身の勤務態度など行動に現れる結果はなかなか難しいですが、まずは受講すること自体を評価するなど、わかりやすい目標を立てることから始めてみることをおすすめします。  
    • 受講率・修了率
    • 資格取得率
    • 派遣単価の向上率
      課題克服のためには、実践的な内容、受講者のモチベーション向上、成果の可視化が重要です。

    5. 効果的なキャリアアップ教育訓練で期待できること

    5.1 スキルアップと資格取得による単価アップ

    質の高いキャリアアップ研修の導入により、受講率と資格取得者の割合が向上し、派遣社員のスキルアップへと繋がります。スキルの高い派遣社員を増やすことで、高単価案件の受注を狙うことが可能になります。

    5.2 派遣エンジニアの育成と採用に有利に働く

    キャリアプランの策定や最新技術を学べるカリキュラムがあることで、エンジニアの育成とともに、定着率の向上が期待できます。エンジニアが成長でき定着率も高い企業であることをアピールすることで、派遣社員の採用獲得にも有利に働きます。

    5.3 効果的な研修の共通点

    • 受講しやすい環境整備
    • 実践的なスキル習得
    • 研修後のキャリア支援
    • モチベーション向上の仕組み作り
      エンジニアの成長を本気で支援する姿勢が、キャリアアップ教育訓練成功の鍵です。

    6. キャリアアップ教育訓練を実践し、派遣エンジニアと企業の成長につなげる

    6.1 ポイントまとめ

    効果的なキャリアアップ教育訓練の実現には、法令遵守だけでなく、実践的で評価可能な研修設計が重要です。

    6.2 実践に向けたステップ

    1. 現状の研修プログラム見直し
    2. 研修提供方法の最適化
    3. 受講率向上施策の実施
    4. 研修成果の測定と改善

    6.3 キャリアアップ教育訓練は企業の成長戦略の一環

    適切な研修実施は、エンジニアのスキルアップだけでなく、企業全体の成長につながります。

    6.4 お問い合わせ・ご相談

    派遣法について、具体的な研修実施方法など、お気軽にお問い合わせください。  
  • 2024年(令和6年)4月1日施行 労働安全衛生法改正に伴う派遣社員の安全衛生教育変更について

    2024年(令和6年)4月1日に施行された労働安全衛生法の改正により、派遣社員に対する安全衛生教育の対応が変更されました。本稿では、その変更点について解説します。

    1. 派遣元事業主が講ずるべき措置

    派遣元事業主は、派遣事業計画書に以下の3つの教育訓練の実施を記載する必要があります。
    1. 労働者派遣法第30条の2に基づく「キャリアアップに資する教育訓練」
    2. 労働安全衛生法第59条に基づく「安全衛生教育」
    3. 上記2つ以外の「その他の教育訓練」(機械の使い方など、業務遂行に必須の教育)

    2. 安全衛生教育の実施義務

    安全衛生教育は、雇入れ時および作業内容の変更時に実施する義務があり、派遣社員のみならず全ての労働者が対象です。

    労働安全衛生規則第35条に基づく安全衛生教育の内容

    1. 機械、原材料等の危険性・有害性及びその取扱方法
    2. 安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能および取扱方法
    3. 作業手順
    4. 作業開始時の点検
    5. 業務に関して発生するおそれのある疾病の原因および予防
    6. 整理整頓および清潔の保持
    7. 事故時等の応急措置および退避
    8. 上記以外で、安全・衛生のために必要な事項

    3. 改正のポイント

    これまで製造業以外の非工業的派遣労働者(一般事務や販売業など)に関しては、1~4の項目を省略可能とされていました。しかし、2024年4月の法改正により、この省略規定が廃止され、すべての業種で1~8の教育が必須となりました。
    労働安全衛生法規則第35条の1-8

    労働安全衛生法規則第35条の1-8

    ただし、労働基準監督署や労働局の確認によれば、1~4の項目については、業務の実態に即した教育を行うことが求められるとされています。そのため、例えばデスクワークの場合、
      • 業務開始前に机の上を整理する
      • 機器の安全な取り扱いを確認する
    といった対応が適切とされます。

    4. 派遣事業計画書の変更点

    派遣事業計画書の「第3面の2」における記載内容が変更され、雇入れ時の安全衛生教育には上記の内容を含める必要があります。
    派遣事業計画書3面-2_6欄サンプル

    派遣事業計画書3面-2_6欄サンプル

    ただし、法律上、詳細なカリキュラムは定められていません。そのため、各職場の業務に応じたカリキュラムを作成するか、eラーニング等で労働安全衛生規則第35条の内容を受講させることで対応可能です。 本改正により、安全衛生教育の重要性が一層強調されました。派遣元・派遣先の双方が適切に対応し、派遣社員の安全を確保することが求められます。   今回は労働安全衛生法の改正に伴う派遣元事業主が行うべき安全衛生教育に付いて解説しました。 その他、改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー
  • 【2025年版】労働者派遣事業報告書とは?今さら聞けない基本をおさらい

    1.労働者派遣事業報告書とは?

    労働者派遣事業報告書とは、派遣元事業主が厚生労働省に提出する義務のある書類です。これは、派遣労働の適正な運営を確保し、労働者の保護を目的としています。2015年9月30日の労働者派遣法改正により、すべての労働者派遣事業が許可制に一本化されました。 この報告書を提出すべき企業は、労働者派遣事業を行っているすべての派遣元事業主です。派遣実績がない場合でも提出は必要です。派遣労働者の数や派遣先の状況、労働者の待遇状況などを詳しく記載することが求められます。 提出を怠ると、行政指導や改善命令が出される可能性があり、最悪の場合、事業許可の取消しにつながることもあります。そのため、適切に報告し、コンプライアンスを確保することが重要です。

    2.報告書の提出要件と期限

    労働者派遣事業報告書の提出義務は、派遣許可を取得しているすべての派遣会社に課され、毎年6月30日までの提出が必要です。 提出期限を過ぎると行政指導の対象となるだけでなく、企業イメージの低下にもつながります。さらに、提出の遅延が続くと許可更新の際に問題が生じる可能性もあります。 期限内に提出するためには、早めに必要情報を収集し、書類を作成する体制を整えることが大切です。専用のチェックリストを活用し、誤りを未然に防ぐ工夫をすることが推奨されます。

    3.報告書の記載内容と作成手順

    報告書には、「労働者派遣事業報告書(様式11号)」「労働者派遣事業収支決算書(様式12号)」「関係派遣先派遣割合報告書(様式12号-2)」の3種類の提出が必要です。様式11号および12号は事業所ごとに、様式12号-2は法人ごとの提出となります。 記載すべき内容には、派遣労働者の人数や派遣先企業の情報、労働条件のほか、キャリアアップ教育訓練の実施状況や安全衛生教育の実施記録なども含まれます。 作成手順としては、まず必要な情報を整理し、次にフォーマットに沿って正確に記入していきます。特に、賃金や労働時間などの項目は正確なデータが求められるため、社内の労務担当者との連携が不可欠です。 より詳しい事業報告書の作成方法はこちらの記事を参照ください。 【記入例あり】労働者派遣事業報告書の作り方・準備のコツを詳しく解説

    4.報告書提出の手順と効率的な対応方法

    報告書の提出方法には、窓口への持参、郵送、電子申請(e-Gov)の3種類があります。電子申請は手間がかからず、データの管理も容易ですが、システムの操作に慣れる必要があります。一方、郵送や窓口提出は書面による確認が可能なため、提出ミスを防ぐ利点があります。 提出先は事業主管轄労働局にまとめて提出します。効率的な作成と提出を行うためには、社内で作成スケジュールを明確にし、タスクを分担することが重要です。また、報告書の内容を事前に専門家にチェックしてもらうことで、ミスを未然に防ぐことも可能です。

    5.労働者派遣事業報告書の課題と今後の動向

    多くの企業が抱える課題の一つは、記載内容の正確性確保と、頻繁に行われる法改正への対応です。特に、労働者の待遇改善に関する記載が厳格化されており、適切な管理体制の整備が求められています。 今後、デジタル化の進展により、オンライン申請の義務化や、リアルタイムのデータ提出が求められる可能性があります。そのため、今のうちに社内のシステムを整備し、スムーズな提出ができる環境を整えることが重要です。 報告書作成に不安を感じる企業は、専門家への相談や、行政のガイダンスを活用し、適切な対応を行うことが求められます。   改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー
  • 【2025年版】派遣許可申請ガイド|必要な手続きと注意点

    1. 派遣許可申請とは?その必要性と基本概要

    派遣業を行うためには、厚生労働省の許可を受けることが必要です。 派遣許可申請とは、労働者派遣事業を合法的に運営し、労働者に適切な労働環境を提供するための重要な手続きです。許可を取得することで、取引先や求職者からの信頼を得ることができ、ビジネスの発展につながります。無許可で派遣事業を行うと、厳しい罰則が課せられる可能性があるため、事業を長期的に継続するためにも申請は必須です。

    2. 派遣許可申請の手続きと必要書類

    派遣許可申請の手続きは複雑で、多くの準備が必要です。 まず、申請を行う前に、事業の資産状況や経営計画を整理することが重要です。 次に、必要書類を準備し、都道府県労働局に申請を行います。通常、審査には2〜3ヶ月の期間を要し、審査を通過すれば許可証が交付され、事業を開始することができます。 申請に必要な主な書類には、登記事項証明書や貸借対照表・損益計算書、事業所の写真、事業計画書、労働保険関係成立届、そして派遣元責任者講習の修了証明書などがあります。特に、資産要件として以下の条件を満たす必要があります。
    • 基準資産額が2,000万円以上であること(総資産から負債合計と繰延資産を差し引いた額)
    • 基準資産額が負債総額の7分の1以上であること
    • 現預金残高が1,500万円以上であること
    これらの条件を満たすためには、事前の資金計画が不可欠です。

    3. 派遣許可のメリット・デメリット

    派遣許可を取得することで、事業の幅が広がり、より多くのクライアントと取引を行うことが可能になります。 さらに、許可を取得することでブランドの信頼性が向上し、企業の競争力が強化されます。また、許可を持っている企業は国や自治体の助成金を活用する機会も増え、事業成長を後押しします。 一方で、許可を取得するためにはコストがかかり、定期的な管理や更新作業も必要となります。また、法律の改正に迅速に対応しなければならず、コンプライアンス管理が求められます。さらに、優秀な人材を確保し続けるための努力も不可欠です。

    4. 許可取得後の維持と更新のポイント

    許可取得後も、適切な事業運営と許可の維持が求められます。初回の許可有効期間は3年間であり、その後の更新では5年間となります。 更新手続きには、事業報告や運営状況の報告書の提出が必要です。定期的な財務状況の見直しや、労働者の管理体制の整備、労働局からの監査対応など、継続的な取り組みが重要です。 また、労働者への教育・研修を充実させることで、長期的な事業の安定化を図ることができます。許可を維持し続けることで、より信頼性の高いサービスを提供することが可能になります。 eラーニングで質の高いキャリアアップ教育訓練を実施できる「派遣の学校」についてはこちらからお問い合わせください。

    5. 許可申請の成功率を上げるためのコツと専門家活用の重要性

    派遣許可申請を成功させるためには、事前準備が非常に重要です。まず、計画的な資産運用を行い、財務状況を整えることが求められます。さらに、専門的な知識が必要となるため、行政書士や社労士などの専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請手続きを進めることができます。 最新の労働者派遣法の改正内容を常に把握し、適切な対応を行うことも不可欠です。また、過去の成功事例や失敗事例を学び、同じミスを繰り返さないこともポイントになります。 より詳細な派遣許可申請に関するこちらの記事もご参照ください。 一般労働者派遣事業許可を取得するためのポイント   「申請に不安がある」「詳しく話を聞きたい」と感じた場合は、早めに専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

    派遣許可申請は、企業の信頼性を高め、長期的な成功を収めるための重要なプロセスです。確実な申請を行うために、準備をしっかりと進めましょう。 改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
  • 【2025年版】派遣社員の教育訓練を徹底解説:メリット・デメリットと成功のカギ

    目次

    第1章:派遣社員における教育訓練の重要性

      近年、派遣社員の役割は単なる業務の補完にとどまらず、企業活動を支える重要な存在へと変化しています。特に、派遣社員の教育訓練が企業の競争力向上や派遣社員自身のキャリア形成にどのように影響を与えるのかが注目されています。本章では、派遣社員における教育訓練の重要性について、さまざまな角度から解説します。  

    1.1 派遣社員の教育訓練が求められる背景

      派遣社員の教育訓練が注目される背景には、急速な社会変化と企業環境の変動があります。たとえば、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、業務プロセスやツールが複雑化し、従業員に求められるスキルが多様化しています。その中で、即戦力として期待される派遣社員に対しても、最新技術や専門知識を提供する教育訓練が不可欠です。   また、厚生労働省の調査によると、派遣社員を含む非正規雇用者のスキルアップ支援を行う企業は年々増加しています。これにより、企業は生産性の向上や人材不足の解消といった課題に対応しやすくなっています。これらの要因が、派遣社員に対する教育訓練の重要性を押し上げています。  

    1.2 教育訓練が企業にもたらすメリット

      派遣社員への教育訓練は、企業側にも多大なメリットをもたらします。  

    1.2.1 生産性の向上

      派遣社員が必要なスキルや知識を習得すれば、業務効率が大幅に向上します。教育訓練を受けた派遣社員は、現場のニーズに即応できるだけでなく、自らの能力を活かして提案型の業務遂行を行える可能性が高まります。  

    1.2.2 離職率の低下

      教育訓練を通じて派遣社員が企業への帰属意識を高めることは、離職率の低下にもつながります。派遣社員は、自身が評価されていると感じることで、企業との長期的な関係を望むようになる傾向があります。  

    1.2.3 組織全体のスキルアップ

      派遣社員の教育訓練を進めることで、正社員や他の従業員にも好影響を与えることが可能です。知識共有や新しい視点の提供を通じて、組織全体のスキルが底上げされます。  

    1.3 派遣社員にとっての教育訓練の意義

      教育訓練は派遣社員自身にも大きな意義を持ちます。単なるスキルの向上にとどまらず、キャリアアップや職業選択の幅を広げる可能性があるのです。  

    1.3.1 キャリア形成の支援

      派遣社員にとって、教育訓練は将来のキャリア形成において重要な役割を果たします。多様な業務経験とスキルを身につけることで、自身の市場価値を高めることができます。  

    1.3.2 自己肯定感の向上

      教育訓練を受けることで、新しいスキルや知識を習得する喜びを実感できます。これにより、自己肯定感が向上し、意欲的に業務へ取り組むモチベーションが生まれます。  

    1.4 現在の派遣市場と教育訓練のトレンド

      派遣市場における教育訓練の実態を見ると、次のようなトレンドが浮かび上がります。  

    1.4.1 eラーニングの普及

      多くの派遣会社が、オンラインで受講可能なeラーニングを導入しています。これにより、派遣社員は時間や場所に縛られることなく学ぶことができ、効率的なスキルアップが可能です。  

    1.4.2 カスタマイズされた教育プログラム

      派遣会社や受け入れ企業は、それぞれの業務内容やニーズに応じたカスタマイズされた教育プログラムを提供するケースが増えています。これにより、より実践的なスキルを短期間で習得できるようになっています。  

    1.4.3 マメ知識:教育訓練の法的義務

      労働者派遣法では、派遣元事業主に対して教育訓練の実施が義務付けられています。具体的には、派遣社員の職業能力開発に必要な訓練やセミナーの提供が求められています。これを実施しない場合、行政指導の対象となることもあるため、派遣元会社にとっては無視できない重要な事項です。  

    1.5 派遣社員の教育訓練がもたらす未来

      派遣社員への教育訓練は、企業と派遣社員双方にとってWin-Winの関係を築くための鍵となります。企業にとっては競争力を維持・強化する手段となり、派遣社員にとっては自身のキャリアを豊かにする機会となるのです。   さらに、AIやデジタル技術の進展により、今後も教育訓練の重要性は高まることが予想されます。派遣元会社としては、積極的に教育訓練のプログラムを整備し、派遣社員の満足度向上と企業価値の向上を目指していくことが求められます。   次章では、派遣社員の教育訓練が具体的にどのようなメリットをもたらすのか、さらに掘り下げて解説します。  

    第2章:派遣社員教育のメリット

    派遣社員の教育訓練は、企業にとっても派遣社員本人にとっても多くのメリットをもたらします。企業の生産性向上や人材の定着率アップだけでなく、派遣社員のスキルアップとキャリア形成を支援する重要な手段です。本章では、教育訓練が生み出す具体的なメリットを詳しく解説します。  

    2.1 即戦力としての能力強化

    派遣社員への教育訓練を行うことで、即戦力としての能力が強化されます。派遣社員は限られた期間で成果を出すことが求められるため、現場で必要なスキルや知識を早期に習得できる教育プログラムが有効です。   例えば、ITツールや業務プロセスに関する研修を受けた派遣社員は、導入後すぐに効率的に働けるようになります。これにより、企業は教育コストの投資を短期間で回収し、生産性向上を実現できます。  

    2.2 離職率の低下と職場の安定化

    教育訓練を提供することで、派遣社員は「自分が大切にされている」と感じるようになり、企業への帰属意識が高まります。この結果、離職率が低下し、職場の安定化につながります。   派遣社員の入れ替わりが頻繁に起こると、引き継ぎや新規教育にかかるコストが増加するだけでなく、職場全体の士気にも影響を与えます。そのため、教育訓練を通じて派遣社員との長期的な関係を築くことが企業にとって大きな利点となります。  

    2.3 組織全体のスキル向上

    派遣社員への教育訓練は、組織全体のスキル向上にも寄与します。派遣社員が新しい知識やスキルを持ち込むことで、正社員や他の従業員にも刺激を与え、職場全体の学び合いが促進されます。   例えば、デジタルスキルを持つ派遣社員が社内で効率的な業務プロセスを提案し、結果としてチーム全体がその方法を採用するケースもあります。これにより、教育訓練の効果が企業全体に波及します。  

    2.4 派遣社員のキャリア形成と満足度向上

    派遣社員にとって、教育訓練はキャリア形成における重要なステップです。特に、専門スキルを身につける機会が提供されることで、将来的なキャリアの選択肢が広がります。   さらに、教育訓練を受けることで「学ぶ喜び」を実感し、自信を深めることができます。これにより、派遣社員は意欲的に業務へ取り組むようになり、結果として企業の成果に貢献します。  

    2.5 マメ知識:教育訓練とエンゲージメント

    エンゲージメントとは、従業員が企業や職場に対してどれだけ情熱を持ち、積極的に貢献しようとするかを示す指標です。派遣社員のエンゲージメントを高めるためには、教育訓練が重要な役割を果たします。   特に、派遣社員が自身の成長を実感できる環境を提供することで、エンゲージメントが高まり、結果的に企業への貢献度が向上します。  

    2.6 教育訓練による企業価値の向上

    教育訓練を積極的に行う企業は、社会的な評価も高まります。特に、派遣社員への教育訓練に力を入れることは「人材を大切にする企業」というブランドイメージを形成する上で重要です。このような企業は、将来的に優秀な人材を引き寄せやすくなるというメリットがあります。   また、労働者派遣法に基づく法令遵守にも寄与します。教育訓練の実施は法的に義務付けられているため、これを積極的に行うことで、リスクを回避しつつ、企業としての信頼性を高めることができます。   次章では、派遣社員教育の課題やデメリットについて掘り下げ、対策や改善案を提案します。教育訓練の成功には、メリットだけでなく課題を正しく理解することが欠かせません。  

    第3章:派遣社員教育の課題とデメリット

    派遣社員の教育訓練には多くのメリットがありますが、実際に導入する際にはさまざまな課題やデメリットが存在します。本章では、派遣元会社が教育訓練を実施する上で直面する課題やリスクを整理し、それらへの対策や解決策を考察します。  

    3.1 教育訓練におけるコストと時間的負担

    3.1.1 コストの負担が重い

    派遣社員の教育訓練には、研修プログラムの開発費用、外部講師の依頼費、教材費など、さまざまなコストが発生します。また、教育を行う時間中は派遣社員が本来の業務から離れるため、稼働率の低下も企業にとって負担となります。   例えば、ITスキル研修を実施する場合、外部ツールの導入費用や研修会場の確保など、見えにくいコストが積み重なることも少なくありません。  

    3.1.2 時間的リソースの制約

    教育訓練には、派遣社員と派遣元、受け入れ企業の間でスケジュール調整が必要です。繁忙期には研修の時間を確保するのが難しい場合もあり、タイミングを見誤ると業務全体の進行に支障をきたすこともあります。  

    3.2 教育効果のばらつきと測定の難しさ

    3.2.1 個人差による教育効果のばらつき

    派遣社員のスキルや経験は多岐にわたるため、一律の教育訓練では成果にばらつきが出ることがあります。一部の派遣社員には有効であっても、別の社員には不十分であったり、逆に過剰であったりすることがあります。  

    3.2.2 教育効果を測る指標が不明確

    教育訓練の成果を正確に評価することは容易ではありません。特に、短期間での成果が求められる派遣社員の場合、教育訓練の効果がどの程度業務に反映されたかを数値化するのは難しいです。このため、教育が本当に役立っているのかが不透明なまま終わることもあります。  

    3.3 派遣社員が教育を活かさないリスク

    3.3.1 短期契約による離職

    派遣社員は契約期間が限られているため、教育訓練を行った直後に契約が終了し、別の企業に移るリスクがあります。この場合、教育訓練に投資したコストと労力が無駄になってしまう可能性があります。  

    3.3.2 教育に対する意欲の欠如

    派遣社員の中には、教育訓練を「義務」と捉え、受動的な態度で参加する人もいます。このような場合、教育訓練の内容が業務やキャリアに結びつかず、期待される効果が得られません。  

    3.4 教育内容の適正化の難しさ

    3.4.1 受け入れ企業のニーズとの不一致

    派遣社員の教育訓練は派遣元が主体となって実施することが多いですが、受け入れ企業の具体的なニーズと完全に一致させるのは困難です。例えば、受け入れ先の業務プロセスや特殊なツールについての知識が不足している場合、現場で追加の教育が必要になることもあります。  

    3.4.2 業務との関連性が薄い教育の提供

    教育プログラムの内容が現場の業務と直接結びついていない場合、派遣社員が研修で学んだことを実際の業務に活かせないという問題が生じます。この結果、教育訓練の効果が薄れてしまうリスクがあります。  

    3.5 マメ知識:教育訓練と法的な義務

    労働者派遣法では、派遣元事業主に対して教育訓練を提供することが義務付けられていますが、具体的な内容や質までは規定されていません。このため、最低限の教育で済ませる企業もありますが、それでは派遣社員のスキル向上や企業の利益にはつながりにくいです。法律を遵守するだけでなく、実効性のある教育を提供することが重要です。  

    3.6 課題解決のための提案

    3.6.1 コストと時間の最適化

    コストを抑えつつ効果的な教育を実現するために、オンライン研修やオンデマンド形式のプログラムを活用する方法があります。また、他社との共同研修を行うことで、費用を分担しながら質の高い教育を提供できます。  

    3.6.2 教育効果を測る仕組みの導入

    教育訓練後にスキルテストやアンケートを実施し、効果を定量的に把握する取り組みが有効です。さらに、現場の業務成果との関連を検証することで、教育内容の改善につなげられます。  

    3.6.3 モチベーションを高める教育の工夫

    派遣社員が教育訓練に積極的に参加できるよう、キャリアアップに直結するプログラムやインセンティブを導入するのも一つの方法です。また、研修内容を現場の業務とリンクさせ、実際に役立つと感じられる内容にすることが重要です。   派遣社員の教育訓練には課題が伴いますが、それを克服することで企業と派遣社員双方にとって大きな利益をもたらすことができます。次章では、教育訓練の成功事例と失敗事例を通じて、実際の運用に役立つポイントを探ります。  

    第4章:成功事例と失敗事例から学ぶ派遣社員教育

    派遣社員教育は、企業の競争力を高め、派遣社員のキャリア形成を促す有効な手段ですが、その実施方法や内容次第では期待した成果を得られないこともあります。本章では、派遣社員教育における成功事例と失敗事例を紹介し、それぞれから得られる教訓を探ります。  

    4.1 成功事例:派遣社員教育が企業と社員に利益をもたらしたケース

    4.1.1 ケース1:ITスキル強化で即戦力を育成

    ある大手IT企業では、新しいプロジェクトに派遣社員を即戦力として活用するため、入社時に基礎的なITスキルとプロジェクト管理の研修を実施しました。この研修は、オンライン形式と実地演習を組み合わせたハイブリッド型で、派遣社員の利便性を考慮した内容でした。   結果として、派遣社員は配属直後から高いパフォーマンスを発揮し、プロジェクトの成功に大きく貢献しました。また、教育訓練を通じてスキルアップを実感した派遣社員のモチベーションも向上し、企業への信頼感が高まりました。   教訓:業務に直結するスキルの教育は、派遣社員の即戦力化とモチベーション向上に効果的です。特に、派遣社員の利便性を考慮した教育形式が成功のカギとなります。  

    4.1.2 ケース2:キャリアアップ支援による長期的な関係構築

    ある製造業の企業では、派遣社員向けに資格取得支援プログラムを導入しました。このプログラムでは、特定の資格取得に必要な教材費や試験費を企業が負担し、派遣社員が自主的に学べる仕組みを提供しました。   この取り組みの結果、多くの派遣社員が資格を取得し、企業内での役割を拡大しました。さらに、教育を受けた派遣社員の多くが契約更新を希望し、長期的な雇用関係が実現しました。   教訓:キャリアアップに直結する教育訓練は、派遣社員の満足度を向上させ、離職率を低下させる効果があります。  

    4.2 失敗事例:派遣社員教育が期待通りの成果を得られなかったケース

    4.2.1 ケース1:一律的な研修で成果が出なかった例

    ある小売業の企業では、新規派遣社員全員に対して、業務内容に関係なく同じ研修プログラムを受けさせていました。この研修では接客マナーや基本的なPCスキルが中心でしたが、現場では専門的な商品知識や在庫管理スキルが求められていました。   結果として、研修内容が実務に役立たず、派遣社員が現場で戸惑うことが多く発生しました。この結果、教育にかけたコストが無駄になり、派遣社員のモチベーションも低下しました。   教訓:派遣社員教育は、現場の具体的なニーズに合わせてカスタマイズすることが重要です。一律的なプログラムでは効果が限定的となります。  

    4.2.2 ケース2:教育訓練への関心不足が招いた失敗

    ある企業では、派遣社員向けに定期的なスキルアップセミナーを開催していましたが、参加率が極めて低いという問題が発生しました。調査の結果、派遣社員の多くが「研修内容が業務に直接関係しない」「時間がもったいない」と感じていたことが明らかになりました。   この企業は研修内容を見直さず、強制的な参加を求めたため、派遣社員の不満がさらに高まり、一部の派遣社員が契約を終了してしまいました。   教訓:派遣社員のニーズを無視した教育訓練は逆効果を生む可能性があります。研修の内容や形式を工夫し、参加者に価値を感じさせることが大切です。  

    4.3 マメ知識:失敗を防ぐ教育訓練の計画策定

    教育訓練を成功させるためには、事前計画が不可欠です。次の3つのステップを踏むことで、失敗を未然に防ぐことができます。   目標設定:派遣社員に求める具体的な成果を明確にする。 ニーズ分析:現場のニーズと派遣社員のスキルギャップを特定する。 効果測定の設計:教育訓練後の評価指標をあらかじめ設定し、成果を測定できるようにする。 これらのステップを確実に実行することで、教育訓練の失敗リスクを大幅に軽減できます。  

    4.4 成功と失敗から学ぶポイント

    派遣社員教育を成功させるためには、成功事例と失敗事例の両方から学ぶ姿勢が必要です。特に、次のポイントを押さえることが重要です。   カスタマイズ:一律的な研修ではなく、業務や個人に合った内容を提供する。 利便性:オンライン研修やオンデマンド形式など、派遣社員が参加しやすい環境を整える。 効果測定:教育訓練後の成果を評価し、プログラムを改善する仕組みを構築する。 次章では、派遣社員教育を導入するための具体的なステップと成功するためのポイントを解説します。これまでの教訓を踏まえ、効果的な教育訓練プログラムを実現しましょう。  

    第5章:派遣社員教育訓練の未来と実践方法

    派遣社員の教育訓練は、現代のビジネス環境において重要性を増しています。企業の競争力を高めるとともに、派遣社員のキャリア形成にも大きな影響を与えるからです。本章では、派遣社員教育訓練の未来の展望と、効果的な実践方法について詳しく解説します。  

    5.1 派遣社員教育訓練の未来展望

    5.1.1 デジタル技術の活用による教育の高度化

    近年、デジタル技術の進化は教育訓練の形を大きく変えています。特に、以下のような技術が派遣社員の教育訓練で活用される可能性が高まっています。   eラーニングの進化:AIを活用した個別最適化学習プラットフォームにより、派遣社員それぞれのスキルレベルや学習ペースに合わせた教育が可能になります。 VR・AR技術の導入:製造業や建設業の現場では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用して実践的なスキルを安全に学ぶ環境が整備されつつあります。 モバイル学習:スマートフォンやタブレットを活用した学習が普及し、派遣社員は業務の合間や移動時間を活用してスキルアップを図ることができます。 これらの技術を導入することで、教育訓練の効率性と効果が大幅に向上することが期待されます。  

    5.1.2 働き方の多様化に対応した教育訓練

    リモートワークやフレックスタイム制度の普及に伴い、派遣社員の働き方は多様化しています。このような変化に対応するため、教育訓練の内容や形式も柔軟に変化する必要があります。   リモート学習の拡大:インターネット環境さえあれば、場所を問わず学べるオンライン研修が主流になるでしょう。 柔軟なスケジュール:派遣社員の勤務状況に合わせて、学習時間を自由に設定できるオンデマンド研修が増えると予想されます。

    5.2 効果的な派遣社員教育訓練の実践方法

    5.2.1 教育プログラムの設計

    効果的な教育訓練を実現するには、事前の計画が重要です。以下のステップを押さえたプログラム設計が成功の鍵となります。   目的の明確化:派遣社員に期待する役割や成果を具体的に設定します。 対象者の分析:派遣社員のスキルレベルやキャリア志向を把握し、それに基づいた教育内容を決定します。 プログラムの多様化:座学だけでなく、実務を交えたOJT(On-the-Job Training)やロールプレイングなど多様な形式を組み合わせます。

    5.2.2 現場と連携した教育の実施

    教育訓練の効果を最大化するには、現場のニーズと連携することが重要です。現場で直面する課題やスキルギャップを把握し、それに対応する教育を提供することで、派遣社員が即戦力として活躍できるようになります。  

    5.2.3 フィードバックと継続的な改善

    教育訓練を実施した後は、効果測定を行い、必要に応じてプログラムを見直します。派遣社員や現場の意見を取り入れることで、教育内容を常に最適化することが可能です。  

    5.3 マメ知識:派遣法第30条の2第1項に基づく教育訓練

    派遣社員の教育訓練については、労働者派遣法第30条の2第1項に基づき、派遣元事業主に一定の義務が課されています。この規定により、派遣社員が入職時から毎年8時間以上の教育訓練を受けることが義務付けられています。   この教育訓練には以下のポイントが含まれます。   目的 派遣社員の職業能力の向上を図り、長期的なキャリア形成を支援することを目的としています。この訓練は、単なる業務遂行能力の向上にとどまらず、派遣社員の市場価値を高めることにも寄与します。   対象となる訓練内容 入職時のオリエンテーションや基本的な業務指導、専門的なスキルを身につけるための訓練が該当します。具体的には、業務手順の説明、安全衛生に関する指導、職務に必要な技術や知識の講義などが挙げられます。   派遣元事業主の義務 派遣元事業主は、この教育訓練を計画的に実施し、その記録を保存する義務があります。また、訓練に要する費用や時間は派遣社員の負担とせず、派遣元が全額を負担する必要があります。   教育訓練の時間 労働者派遣法では、派遣社員が従事する業務の種類や内容に応じて、最低限の訓練時間として年間8時間以上を確保することが求められています。   マメ知識:記録保存の重要性 教育訓練を実施した際は、その内容や日程、受講者の情報を記録し、一定期間(通常は3年間)保存しておく必要があります。この記録は行政監査などで提出を求められる場合があり、適切な管理が求められます。   派遣元事業主としては、この義務教育訓練を適切に実施することで、法律遵守だけでなく、派遣社員の信頼を得る重要な機会とすることができます。企業のコンプライアンス意識を示しつつ、派遣社員の能力向上に積極的に取り組みましょう。  

    5.4 派遣社員教育訓練の成功例

    成功例:デジタルスキル研修の実施 ある派遣会社では、派遣社員向けに基礎的なデジタルスキル(ExcelやPowerPointの操作)と、データ分析ツールの使い方を教える研修を実施しました。この研修に参加した派遣社員は、派遣先企業での業務効率を大幅に向上させ、派遣契約の更新率も高まりました。   この成功は、実務に直結するスキルを短期間で習得できる教育プログラムの設計が要因でした。  

    5.5 未来に向けた派遣社員教育の進化

    派遣社員教育訓練は、今後も技術革新や社会の変化に応じて進化していくでしょう。派遣元会社は、最新のトレンドを常にキャッチアップし、時代に即した教育プログラムを提供する必要があります。   特に注目すべき点は次のとおりです。   グローバル対応:国際的なビジネス環境に対応するため、語学や異文化理解の教育が重要になります。 ライフロングラーニングの支援:派遣社員が生涯にわたって学び続けられる環境を提供することが、派遣元会社の競争力を高める要素となります。 派遣社員教育訓練の実施は、企業と派遣社員の双方にとって大きなメリットをもたらします。未来を見据えた教育プログラムを計画し、実行することで、持続的な成功を目指しましょう。
  • 【記入例あり】労働者派遣事業報告書の作り方・準備のコツを詳しく解説

    ※労働者派遣事業報告書(様式第11号)の令和6年6月報告分からの変更点について追記しました。 新型コロナウイルスの影響により、世界的に働き方が大きく変わりました。 募集が減る職種、増える職種が出るなど、派遣の仕事にも大きな影響がありつつも 2021年度以降も人材派遣業界の市場規模は拡大を続けています。 コロナ禍で厳しい状況に置かれていたイベント業界や観光業界も、2019年以前の規模に回復してきています。 また、事務職やWeb業界、そしてDX化で様々な職種で新しい仕事の需要が伸びてもきています。 慢性的な人手不足により、必要とされる事業として人材派遣業を検討している企業の方も多いでしょう。 派遣業を行うためには計画書を作成して許可申請を取る必要があります。 そして、許可をとったあとも、毎年6月には事業報告書の提出義務があります。 派遣業を検討されている企業様だけでなく、今は兼業を行っている派遣会社の担当者様もこの事業報告書の提出はなかなかハードルが高い仕事だと思います。 今回は、労働者派遣事業報告書の書き方のポイントをご紹介したいと思います。  

    目次

    1. 労働者派遣事業報告書とは?

    まず「労働者派遣事業報告書」とは、派遣元会社が労働局に対して、派遣事業を正しく運営しているか、派遣労働者の労働環境や待遇をしっかり守っているかを報告するための書類です。 全派遣会社が毎年6月末までに「労働者派遣事業報告書」を作成し提出することが派遣法によって義務づけられています。 労働者派遣の実績がない場合も、労働派遣事業報告書は提出しなければなりません。 →事業報告書が自動で作成できるe-ラーニング「派遣の学校」はこちら  

    2. 事業報告書を提出する目的

    派遣事業報告書の一番の目的は、派遣法の目的でもある「派遣社員の待遇を良くする」ことにつきます。 派遣労働は、柔軟な働き方ができるメリットがある一方、雇用が不安定になりがちです。 企業の不足人員に対する期限付きの雇入といった面は否めません。 派遣先企業側の都合で、派遣契約期間が終了となることが多いこともまた事実であり、派遣労働者が弱い立場に追い込まれることさえあります。 このような派遣社員の権利を守るために、派遣法が制定され厳しい規制が敷かれました。さらには一般労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可も必要となっているのです。 →改正派遣法6つのポイントについてはこちら →派遣事業許可を取得するためのポイントについてはこちら このような目的があるために、派遣事業の業績、派遣社員の勤務状況、派遣社員の待遇改善状況など事業運営について毎年事業報告書を提出する必要があるのです。  

    3. 何を提出する必要があるか

    提出すべき書類は下記のとおりです。
    1. 労働者派遣事業報告書(様式第11号)
    2. 労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)
    3. 関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)
    毎年、事業主管轄労働局を経て厚生労働大臣に提出しなければなりません。 また、これらの書類は事業所ごとに作成する必要があります。 正本1部、写し2部の3部印刷して持込か郵送で労働局に提出します。 受理されたあとは、写しの1部が返送されます。 まずは、提出が必要な3つの報告書の期限について解説していきたいと思います。  

    4. いつまでに作ればいいか

    4-1. 労働者派遣事業報告書【様式第11号】:毎年6月30日

    1つ目の労働者派遣事業報告書【様式第11号】の提出期限は、すべての派遣元事業者に共通した期限です。毎年6月30日までに、年度報告及び6月1日現在の状況報告を提出する必要があります。 「6月1日現在の状況報告」については注意が必要です。 これは報告するべき対象期間についての説明となります。 言い換えると【昨年度6月1日から今年度5月31日】までに迎えた決算年度が報告対象期間となります。 報告対象期間は、会社ごとの決算月によって異なります。 2021年6月30日提出期限の報告期間について、1月~5月決算の会社は、去年2020年6月1日から2021年5月31日までの期間を報告します。 2021年6月1日時点ではまだ決算を迎えていない6月~12月決算の会社は、一昨年2019年6月1日から2020年5月31日までの期間を報告することになります。 そのため、派遣事業で義務化されているキャリアアップ教育訓練の実施などを行ってきちんと報告するためには、一年前から準備しておく必要があるのです。  

    4-2. 労働者派遣事業収支決算書【様式第12号】:毎事業年度経過後3ヶ月以内

    2つ目の労働者派遣事業収支決算書【様式第12号】について、法人は貸借対照表および損益計算書の添付でOKです。 こちらの提出期限は、【毎事業年度経過後3か月以内】となっています。 決算書をまとめる時間などを考慮して、2月3月の決算の場合、事業報告書と同時に提出することが可能であり、提出漏れしにくいと言えるでしょう。 その他の月が決算の場合、事業報告書とは別の期限となりますので注意しましょう。  

    4-3. 関係派遣先派遣割合報告書 【様式第12号-2】:毎事業年度経過後3ヶ月以内

    3つ目の関係派遣先派遣割合報告書 【様式第12号-2】は、労働者派遣法第23条の2で定められている、グループ会社などへの派遣、関係派遣先への派遣割合が100分の80以下であるかを報告する書類です。 期限は収支決算書と同じ毎事業年度経過後3ヶ月以内となっています。 収支決算書と同時に出すのが一般的です。 ・お役立ちセミナー・資料ダウンロード 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】 【『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブック・キャリアアップ教育プランサンプル】

    5. 労働者派遣事業報告書の作成準備

    ここからは、事業報告書を作成するための準備について説明します。 作成前に下記資料を準備しておきましょう。  

    5-1. <労働者派遣事業収支決算書>

    事業所の労働者派遣事業の売上高報告欄を記入するため、直近の決算報告書を用意しましょう。  

    5-2. <労働者派遣事業個別契約書>

    自社の派遣労働者の人数、有期・無期雇用それぞれの人数、雇用期間、派遣先で従事する職種など細かな報告が必要です。 個別の契約書を用意し、自社で抱える人材の契約内容を把握できるよう整理しておきましょう。  

    5-3. <雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録>

    義務の一つ、安全衛生教育の実施記録について報告が必要です。 いつ、誰に、どんな内容の安全衛生教育を実施したか、どのくらいの時間をかけたか、などの記録をまとめておきましょう。  

    5-4. <派遣元管理台帳(キャリアアップ教育、雇用安定措置)>

    キャリアアップ教育訓練の実施、雇用が安定するための措置について詳細を報告する必要があります。 誰にどんな内容の教育を実施したか、実施状況を記録が必要です。 eラーニングを利用した場合は、受講履歴を自動集計することができ、無駄なく正確な報告を行うことができます。  

    5-5. <その他の教育訓練実施記録>

    派遣労働者に対して、安全衛生やキャリアアップの以外の教育を実施している場合は、その内容も労働者派遣事業報告書に記載するため記録しておきましょう。 その他の教育訓練とは、例えば、マイナンバーを扱う事務派遣の仕事をする上で知っておく必要があるマイナンバー研修や、職務とは直接関わりはない一般教養、また、派遣社員が希望したが受講は任意であった場合の教育訓練などが該当します。  

    5-6. <総勘定元帳(派遣先事業主取引額確認)>

    自社の主な派遣先を記入します。「取引額の上位5社」の情報を記入する必要があるため、総勘定元帳を用意しておきましょう。  

    5-7. <派遣料金請求書>

    派遣料金を業種ごとに記入します。 各業種ごとに派遣料金を確認できるよう、請求書を整理して用意しておきましょう。  

    5-8. <雇用保険・社会保険通知書等>

    自社の派遣労働者、それぞれの雇用保険・社会保険の加入状況を記入します。 雇用見込み期間、有期・無期契約などに分けて記入する必要があります。 個別の加入状況が把握できるように社会保険通知書などの書類をまとめておきましょう。   上記に挙げたたくさんの資料が必要になりますので、準備期間をしっかりととっておくようにしましょう。  

    6. 労働者派遣事業報告書の作成

    ここからは実際に報告書を作成する際の書き方とチェックポイントを説明します。 まずは厚労省サイトから最新の書式をダウンロードしてください。
    • 労働者派遣事業報告書(様式第11号) or 入力補助機能つき(様式第11号)
    • 労働者派遣事業収支決算書(様式第12号)
    • 関係派遣先派遣割合報告書(様式第12号-2)
    各項目で、excelファイルとPDFファイルがダウンロード可能です。 様式第11号については、入力補助のマクロ機能を付加しているファイルもダウンロードできます。 ▼厚生労働省サイト https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/hakenyouryou.html 法改正によりデータが更新されている可能性があるので、作成前に必ず最新の書式をダウンロードしておきましょう。 最新でないと、報告項目が異なっているため、再提出を求められます。  

    6-1. 報告書を作成する際の書き方

    報告書は事業所ごとに作成する必要があります。 東京と大阪に拠点があれば、それぞれ1枚ずつ事業報告書を作成します。拠点ごとに派遣元責任者も選出しておく必要があります。 では上記踏まえて、実際に労働者派遣事業報告書の作成をしていきます。 様式第11号を順に記載していきましょう。 全14面ありますが、1~9面までが記載面で、10面以降は書き方の説明となります。 順にご説明していきます。  

    第1面

    会社、事業所の情報、派遣事業の売上情報を記載します。 ※令和6年6月報告分から、「労働者派遣事業の売上高」及び「請負事業の売上高」欄が第1面の12、13から無くなり、第2面のⅠ(2)、(3)へ変更されました。 変更になったのは、様式11号の1面にあった12「労働者派遣事業の売上高」及び13「請負事業の売上高」欄がなくなり2面に移動しました。  

    第2面

    派遣労働者の人数、安全衛生教育の実施状況、その他の教育訓練の実施状況、雇用安定措置の実施状況を記載します。 ※令和6年6月報告分から、様式11号の1面にあった「労働者派遣事業の売上高」及び「請負事業の売上高」欄が2面Ⅰ(2)、(3)として追加されました。 安全衛生教育は、キャリアアップ教育訓練とは別で、雇入れ時と業務変更があった際に説明が義務付けられています。 安全衛生教育の「教育の内容及び当該内容に係る労働安全衛生法又は労働安全衛生規則の該当番号」は、下記の番号となります。
    労働安全衛生規則 (雇入れ時等の教育) 第三十五条(※)
    1.  機械等,原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取り扱い方法に関すること
    2.  安全装置,有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取り扱い方法に関すること
    3.  作業手順に関すること
    4.  作業開始時の点検に関すること
    5.  当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
    6.  整理,整頓及び清潔の保持に関すること
    7.  事故時等における応急措置及び退避に関すること
    8.  その他当該業務に関する安全又は衛生のための必要な事項
    製造物流系の以外の職種では、1~4を省いて、5・6・7の教育を行えば良いとされています。  

    第3面

    派遣料金、派遣労働者の賃金で、全体・有期・無期・業務ごとの平均額を記載します。 2021年度から「医師」「薬剤師」「看護師」「准看護師」「診療放射線技師」「臨床検査技師」「その他の医療技術者」の区分が追加されました。  

    第4面

    3面の続きです。  

    第5面

    日雇派遣労働者の業務別派遣料金賃金を記載します。日雇い派遣を行っていなければ記載なしとして斜線を引いておきます。 こちらにも2021年度から「看護業務」の区分が追加されました。  

    第6面

    キャリアアップ措置の実施について記載します。キャリアコンサルタントの人数、キャリアコンサルティングの実施数、キャリアアップ教育訓練についても詳細な報告が必要です。 教育訓練内容が派遣社員にとってキャリアアップに資する、役立つとする根拠を説明する資料となります。 フルタイム・短時間勤務ごと、1年目~4年目以降の教育訓練の実施時間と実施人数、入職時、職能別、職種転換、階層別の教育訓練内容などの実施状況を集計して記載します。 また、キャリアアップ教育訓練は有給無償の教育となりますので、1人1時間あたり平均での賃金額も記載します。 もう一点、キャリアアップ教育訓練については、さらに詳細な教育訓練内容が分かる資料を求められます。教育訓練カリキュラムと教育訓練内容を別紙として提出が必要になります。 また、その他の教育訓練を実施している場合はその詳細もここに記載します。 ※派遣の学校では、キャリアアップ教育訓練についての無料セミナーも開催しております。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】  

    第7面

    派遣労働者の実人数を記載します。2020年度のフォーマットから、全派遣労働者のうちの労使協定対象の派遣労働者数を記載する項目が追加されています。 また、2021年度から第3面同様、「医師」「薬剤師」「看護師」「准看護師」「診療放射線技師」「臨床検査技師」「その他の医療技術者」の区分が追加されました。  

    第8面

    7面の続きです。  

    第9面

    日雇派遣労働者の実人数を記載します。 第5面同様、2021年度から「看護業務」の区分が追加されました。  

    第10面~第14面

    1面から9面についての記載注意事項が掲載されています。記入箇所はありません。   事業報告書【様式11号】について、枚数が多く感じますが、中身を知ればそんなに大変なことではないことがおわかりいただけたかと思います。 さらに次にチェックポイントをしっかり確認すれば事業報告書の作成は問題ないでしょう。  

    6-2. 労働者派遣事業報告書の作成 8つのチェックポイント

    1 禁止業務への派遣、日雇派遣の原則禁止に該当する派遣の有無

    日雇派遣とは「30日以内で雇用保険の対象にならない契約」(労働者派遣法第35条4の1)と定義される働き方です。 2012年の派遣法改正で、雇用の安定化のために原則禁止となりました。学生であったり60歳以上のシニアの場合など例外規則はありますが、禁止されている派遣を行っていないことをきちんと確認しておきましょう。  

    2 グループ企業への派遣割合(8割規制)

    特定の企業にだけ派遣するいわゆる専ら派遣について、2012年の派遣法改正で、「グループ内の企業への派遣割合が8割を超えてはいけない」と明確な基準が定められました。 派遣会社は派遣社員を【限定した派遣先にだけ】派遣を行ってはいけません。 グループ内派遣を目的とした派遣会社は、派遣社員のためではなく、マネーロンダリングや派遣先の安価な労働力を確保するためと疑われてしまいます。  

    3 抵触日

    抵触日とは「派遣期間制限が切れた翌日」のことです。 派遣期間については、「事業所単位」「個人単位」がありますが、どちらの派遣期間制限も3年が限度と定められています。派遣社員の抵触日についてはきっちりと管理しておきましょう。  

    4 適切な情報提供の有無

    派遣元事業主は『事業所ごとの派遣労働者の数』『派遣先数』『マージン率等』について、関係者、つまり派遣社員に情報提供をする義務があります。 情報提供の方法は、【インターネットの利用その他の適切な方法】となっています。 インターネットでなければならないということではなく、自社サイトで公開するか、その他の適切な方法として、事業所にいつでも閲覧できるように書類を備え付けておくなどの対応でOKです。  

    5 雇用安定措置の実施有無

    雇用安定措置とは、派遣元事業主の義務として「同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある方に、派遣終了後の雇用を継続される措置」の事です。 行う措置は大きく分けて下記の4パターンです。
    1. 派遣先への直接雇用の依頼
    2. 新たな派遣先の提供
    3. 派遣元での無期雇用(派遣元で正社員雇用)
    4. その他安定した雇用継続を図るための措置(教育訓練、紹介予定派遣等)
    ちなみに派遣先企業においても、雇用安定措置として『派遣社員の直接雇用の努力義務』があります。 また、令和3年4月1日施行された派遣法改正でも【雇用安定措置に係る派遣社員の希望する措置の意見聴取と記録】が義務付けられました。 派遣社員から上記4パターンのうち、希望する措置の内容をヒアリングし、その内容を派遣元管理台帳に記載しなければならないことになりました。 記載する内容としては、『意見聴取を実施した年月日』と『希望する措置』があればよいでしょう。  

    6 キャリアアップ教育の実施有無

    キャリアアップ教育訓練を派遣社員が受けられる環境を用意し、実施した内容を記載する必要があります。 おそらく事業報告書でここが一番準備が大変なところとなるかと思います。 入職時基礎訓練、職能別訓練、階層別訓練、希望があれば職種転換訓練の実施状況として、派遣社員の何名が、何時間受講したかを集計して記載します。 入職時・職能別・階層別で行った教育ごとに、何人で受講したか、受けた時間の合計を集計する必要があります。 ちなみに派遣の学校をご利用いただくと、事業報告書ダウンロード機能により、このキャリアアップ教育の実施有無についてエクセルファイルでダウンロードできるようになり、正確かつ手間を省くことができます。ぜひご検討ください。  

    7 労働条件、就業条件、派遣料金の説明が適切か

    労働契約の締結の際に、労働条件、就業条件、派遣料金の明示を行う必要があります。  

    8 社会・労働保険の加入手続き有無

    労働契約の締結の際に、社会・労働保険の加入手続きを適切に行う必要があります。 派遣会社に雇用され、各派遣先で働く派遣社員は、勤務先ではなく派遣会社で社会保険に加入する必要があります。 派遣社員登録を行う際に、社会保険にきちんと入れるかというところは見られていますのできちんと確認しておきましょう。  

    7. 未提出や虚偽申告の罰則は?

    事業報告書は派遣元事業主の義務であり、派遣社員の待遇改善のための施策です。
    • 事業報告書を期限までに提出しない
    • 虚偽の報告をした
    上記については、30万円以下の罰金に処せられる場合があり、併せて派遣許可の取り消しの対象になることがあります。 「社会保険未加入者がいるけど全員加入しているように報告書に記載する」 「実際にはキャリアアップ教育訓練してないけど実施したことにして記載する」 などは悪質な行為として取られます。 もしキャリアアップ教育訓練を行っていないなどがあったとしても、まずはその状況を正直に報告した上で、改善策を合わせて提示するようにしましょう。 事業報告書の書き方のポイントはここまでです。  

    8. 労働者派遣事業報告書の作成が楽になる教育訓練管理システム

    事業報告書作成に置いて、一番のハードルはキャリアアップ教育訓練の集計だと思います。 段階的かつ体系的な教育訓練を準備し、派遣社員が実施できる環境を整えたうえで、実際に受講された時間を、入職時基礎訓練、職能別訓練、階層別訓練、必要ならば職種転換訓練ごとに人数と時間を記載していく必要があります。 改正派遣法に対応した派遣会社様に特化したeラーニングサービス「派遣の学校」をご利用いただいた場合、まずは高品質で多様な教材がありますので、法で定められる「体系的かつ段階的」な教育訓練カリキュラムを組むことができ、事業報告書に必要な集計も管理画面からほぼそのまま抽出することが可能です。 そもそもの教育訓練カリキュラムの作成についてもサポートさせていただけます。 「派遣の学校」では改正派遣法対策として『派遣労働者への雇い入れ時の説明義務付け』ガイドブックを作成致しました。 また、キャリアアップ教育訓練プランサンプルもご用意し、お問い合わせいただいた方に無償配布致します。 よろしければご活用ください。 改正派遣法のキャリアアップ教育訓練について無料セミナーも開催しております。 キャリアアップ教育訓練について、分かりやすく解説いたします。 ぜひご参加ください。 【30分でわかる!キャリアアップ教育訓練 完全対策セミナー】
    これから派遣会社を始められる企業様、ご担当者様はぜひ「派遣の学校」にお問い合わせください。
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