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派遣社員のキャリアアップ教育訓練 FAQ

派遣社員の「キャリアアップ教育訓練」は、労働者派遣法で派遣元企業(派遣会社)に義務付けられた、派遣スタッフのスキル向上・キャリア形成支援のための研修制度です。
2015年の法改正で導入され、派遣社員の待遇改善とキャリア形成を促進することが目的とされています。
この記事では、派遣元企業の経営者・営業担当者・人事労務担当者の皆様に向けて、キャリアアップ教育訓練に関するよくある質問をまとめました。特に「研修の運用方法」や「カリキュラムの作り方」に焦点を当て、実務で役立つ具体的な情報をFAQ形式で解説します。
記事の最後には、効率的な運用に役立つサービス「派遣の学校」への問い合わせ案内もご紹介しますので、自社の研修計画にお悩みの場合はぜひ参考にしてください。

Q1. キャリアアップ教育訓練とは何ですか?どんな義務なのでしょうか?

A. キャリアアップ教育訓練とは、派遣元事業主が全ての派遣社員に対して計画的に実施しなければならない職業訓練です。派遣社員のキャリア形成を支援し、賃金や処遇の向上につなげる目的で、2015年9月改正の労働者派遣法により義務化されました。主なポイントは次のとおりです:

  • 入社後3年間は、毎年少なくとも1回以上(フルタイム労働者なら年間8時間以上)の教育訓練機会を提供する。
  • 4年目以降も、定期的な研修機会を継続提供することが求められます。
  • キャリアコンサルティングの提供も義務の一環です。
  • 研修時間は有給、費用は全て会社負担で実施します。

要するに、派遣社員一人ひとりのキャリアアップを後押しするために、計画的・体系的な研修とキャリア相談を提供することが派遣元の責務となっています。

Q2. なぜこのような研修が義務化されたのでしょうか?

A. 派遣社員は正社員に比べて教育訓練の機会が乏しく、キャリア形成の課題が指摘されていました。これを是正するため、待遇改善とスキル向上を目的としてキャリアアップ教育訓練が義務化されました。

Q3. どんな派遣社員が研修の対象になりますか?短期契約のスタッフも含まれますか?

A. 原則として1年以上の雇用が見込まれる派遣社員が対象です。ただし、更新の可能性がある場合も含まれるため、実際にはほとんどの派遣社員が対象と考えるべきです。

Q4. 年間どれくらいの研修を提供する必要がありますか?

A. フルタイム労働者には年間8時間以上の研修が必要です。短時間勤務の場合は、労働時間に比例して設定します。

Q5. 研修の時間は勤務扱いになりますか?有給で行う必要があるのでしょうか?

A. はい、研修時間は有給扱いで実施する必要があります。また、eラーニング等で通信費が発生する場合も、会社側の負担が求められます。

Q6. 研修はどのように実施すればよいですか?具体的な運用方法のポイントは?

A. 研修実施は柔軟な方法が認められています。たとえば:

  • 集合研修やeラーニングの活用
  • 派遣先での計画的なOJT
  • 就業時間内または業務に支障のない範囲での日程調整

ポイントは、派遣社員が適切に受講できる環境を用意することです。

Q7. 研修カリキュラムはどのように立てればよいでしょうか?

A. 「段階的・体系的」に作成することが求められます。法令上は以下の4区分に分けてカリキュラムを設計します:

  • 入職時基礎訓練
  • 職能別訓練(職種別スキル)
  • 職種転換訓練(希望者のみ)
  • 階層別訓練(リーダー・中堅者等)

Q8. 研修の具体的な内容はどんなものが適切ですか?「キャリアアップに資する」研修とは?

A. 扱う内容に明確な制限はありませんが、以下のような研修が有効です:

  • ビジネスマナーやOAスキルなどの基礎スキル
  • 担当職種に直結する専門スキル研修
  • 資格取得支援
  • キャリアデザイン研修やマネジメント研修など

Q9. 3年間の研修が終わった後(4年目以降)はどうすれば良いですか?

A. 法令上も「4年目以降もキャリア形成支援を継続すること」が求められています。たとえば:

  • 年1回のフォローアップ研修
  • 職務変更時の新スキル研修
  • 長期的なリスキリングプログラム

Q10. キャリアコンサルティングの義務について教えてください。

A. 派遣社員が希望すれば、専門知識を持った担当者による無料のキャリア相談を受けられる体制を整える必要があります。窓口の案内や、雇入れ時の制度説明も義務です。

Q11. 派遣先で行われる研修とは何が違うのですか?

A. 派遣先が業務上必要と判断して実施する研修と、派遣元がキャリア形成のために計画的に行う研修は目的も主体も異なります。両方を並行して行う必要があります。

Q12. 研修計画書の作成・提出は必要ですか?どうやって作ればよいでしょうか?

A. はい、派遣業の許可申請時および更新時に、労働局へ研修計画書を提出する必要があります。記載内容のポイント:

  • 3年間の研修内容(区分別:入職時・職能別・階層別等)
  • 研修時間、方法、対象者、目的
  • 「段階的かつ体系的」であるかどうか

近年は詳細な別紙資料(各コースの目的や効果を説明)の提出を求められる場合もあります。不備があると是正指導が入るため、丁寧な準備が必要です。

Q13. 研修を実施した後、行政への報告は必要ですか?

A. はい、年次の「労働者派遣事業報告書」に、研修の実施状況(受講者数、時間、内容)を記載する必要があります。受講履歴の記録と集計は日頃から行っておきましょう。

Q14. もし研修を実施しなかったらどうなりますか?罰則はありますか?

A. キャリアアップ研修は派遣業許可の要件の一つです。実施していないと:

  • 労働局からの是正指導
  • 最悪の場合は許可取り消しや更新拒否

さらに、教育体制が整っていない派遣元はスタッフ定着率や採用競争力の面でも不利になります。一方、研修制度の充実は企業価値の向上にもつながります。

研修運用に悩んだら:「派遣の学校」サービスの活用も検討を

ここまでキャリアアップ教育訓練の制度と運用ポイントについてQ&A形式で解説してきました。派遣元企業の皆様にとって、研修制度の構築・運営は手間もコストもかかる課題かもしれません。しかし、本記事で述べたように適切な研修は派遣スタッフの成長と定着、ひいては派遣先企業からの信頼獲得にもつながる重要な投資です。ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。

「とはいえ自社だけでカリキュラムを作成したり教材を用意したりするのは大変…」というお悩みもあるでしょう。その場合、派遣社員向け研修の専門サービスを活用するのも一つの手です。例えば「派遣の学校」は派遣法改正に対応したeラーニングシステムで、業種・職種ごとに20種類以上の研修コンテンツを取り揃え、オンラインで効率的にキャリアアップ研修を提供できるサービスです。研修カリキュラムの策定や労働局提出書類の作成支援、研修の運用相談まで総合的にサポートしており、多くの派遣元企業が導入しています。こうしたサービスを利用すれば、自社で一から教材開発をしなくても法令に沿った研修プログラムをすぐに実施可能ですし、受講管理や報告書用の集計もスムーズになります。

キャリアアップ教育訓練の充実は、派遣スタッフと派遣元企業の双方にメリットがあります。 法律への対応をきっかけに、ぜひ「人材育成による企業価値向上」に取り組んでみてください。もし「何から始めればいいかわからない」「自社に合った研修メニューを提案してほしい」と感じたら、ぜひお気軽に「派遣の学校」までお問い合わせください。専門スタッフが貴社の状況に合わせた最適なキャリアアップ研修のプランニングをお手伝いいたします。派遣社員の未来と貴社の発展のために、今こそキャリアアップ教育訓練を効果的に活用していきましょう。

多くの企業様が「キャリアアップ教育訓練措置」に対して
力を入れて取組みをされています。

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