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ビジネスシーンにおける「ヒアリング」とは?悩みを引き出すコツをご紹介

営業活動を行う際、ヒアリングは情報収集を行う手段として活用されます。特に訪問機会が確約されていない場合、たった一度のヒアリングで、顧客の悩みや潜在ニーズを引き出さなければいけません。今回は営業で顧客の悩みを引き出すコツとともに、ヒアリング能力を高める方法をご紹介していきます。営業で結果が出ない方や今後始める方はぜひ参考にしてください。

ヒアリングってそもそも何?

ヒアリングとは顧客の情報を聞き出すことを意味します。ヒアリングで顧客と良好な関係性を築くことができれば、その後の営業にとって大きなプラス要素となるだけではなく、他の案件につながることもあるかもしれません。ヒアリングでは、情報を引き出しながら相手からの信用を勝ち取ることも忘れてはいけません。

悩みや課題を引き出すフェーズ

基本的な営業は、ヒアリング→企画提案→プレゼンテーション→クロージング→受注→納品といった流れで進むことが一般的です。この営業プロセスの中で、最初のフェーズにあたるのがヒアリングです。取引先の悩みや潜在ニーズなどの情報を引き出すことができれば、より良い提案を行うことができます。反対に、うまく情報を引き出せなければ、顧客の心に刺さるような提案は難しくなってしまい、失注するという可能性もあります。

ヒアリングとは、「顧客の悩みを聞き出し、課題を明確にすること」です。顧客が解決すべき悩みについて、全て把握しているとは限りません。より良いヒアリング・提案を行うためにも、営業の訪問が決まったら事前準備を始める必要があります。訪問先の情報はもちろん、業界や競合他社のことまでデータ収集を行い、「何を解決したいのか」「どんな要求をしてくるか」といった見立てを立てておきましょう。こういった事前の準備を行っておくことで、ヒアリングや・提案の場でも相手が望む情報を提供が可能になり、より深く相手のことを理解することができます。

商談におけるヒアリングの重要性

現在の日本の国内市場は、今後の拡大が見込めないため、完全な買い手市場となっています。そのため売り手側の競争はより激しく、技術による差別化が難しくなっているのが現状です。業界各社が同じような品質の商材を揃えるため、より一層価格競争が顕著になっている傾向があり、そういった状況下で成果を出している企業の多くが「営業」に力を入れ差別化を図っています。顧客は商談中、目の前にいる営業担当者が自分たちにとって有益か否かを値踏みしています。有益であると判断されれば、心を開き自社の核となる情報や悩みを打ち明けてくれるでしょう。

一方で、一方的に質問してきたり、質問に対しての情報が不明確だと、営業担当者への不信感や不安を抱く結果となってしまいます。結果として、営業する側は重要な情報を聞き出すことができず、場合によっては提案すらできない状況になってしまうかもしれません。いかにファーストコンタクトで顧客からの信用を勝ち取るか、いかにコミュニケーションをとり顧客の悩み・課題を発見することができるかが、その後の営業に大きく影響します

ヒアリングの進め方

それではここからは実際のヒアリングでの進め方をご紹介します。
聞きたいことが多いからといって、商談が始まってすぐに質問を行っては顧客との会話はスムーズには進みません。顧客から情報を引き出すためには、いくつかの段階を踏む必要があります。せっかく得た訪問営業の機会を無駄にしないためにも、顧客の立場になって商談を進めましょう。

まずはアイスブレイクで緊張を解く

アイスブレイクとは、初対面の相手との緊張感をほぐし、スムーズなコミニュケーションを行うために用いる手法です。相手が関心の持っている話題を振るために、事前準備することが理想ですが、初対面の相手だと関心のある話題を提供することは非常に難しいものになってしまいます。そのため、誰にでも使えるような話題をあらかじめ複数準備しておき、その場にあった話題を提供するのが一般的です。

アイスブレイク時にふさわしい話題として、以下の4つをおすすめします。

・地域性の話題
こちらが相手のオフィスで営業を行う場合、相手はオフィス周りの立地に関しての話題なら何かしら情報を持っています。ランチのおすすめなどを聞き、次回訪問の際に感想を述べるのも良いでしょう。自分のおすすめを褒めてくれれば、相手も気分が良くなります。

・相手のことを褒める
直接的な方法ではありますが、相手を褒めることは互いに打ち解けるための良い材料になります。相手の格好や名刺、オフィスのことなど身近にあるものを褒めましょう。

・業界の話題
業界の話題に触れる場合も、相手は自分に関心を持ってもらえていると感じます。訪問前に企業のプレスリリースなどを確認しておけば、話題を広げることができるでしょう。

・プライベートでの出来事
年末年始やゴールデンウィークなど、長期休暇などがあればどう過ごしていたかなどの話題を振ることができます。ただし、あまりにプライベートなことを根掘り葉掘り聞いてしまうと不快に思われる可能性もあります。ある程度のさじ加減を考えながら会話しましょう。

課題を抽出する

ヒアリングでは、相手の情報を収集しながら、取引先が抱えている課題を抽出する必要があります。ただし、質問事項をただ読み上げるだけではなく、相手が気持ち良く話すことができるように話し方に気を配ることも忘れてはいけません。ヒアリングでは以下の3点を押さえておきましょう。

・現在→過去→未来の順に話す
顧客にとって、話しやすい話題から会話を始めることで、ヒアリング全体を通してスムーズに進行しやすくなります。最も話しやすい現在の話題から始め、次に過去、最後に未来といった順に質問で掘り下げて行くことが重要です。

あくまで営業担当者がききたいことは、目の前にいる顧客が「自社の商品・サービスを購入してくれるか」といった点になります。しかし顧客としては、何も決まっていない未来の話をすることは非常に難しいものです。最初は相手も話しやすい話題を振ることで、これまでの課題を整理することができますし、未来の相手にとっての理想像から何が足りないのか逆算することができます。

・設定した目的の背景まで深掘りする
ただ表面的な情報・目的を聞くだけでは、表面的なヒアリングに終始してしまいます。相手がなぜその選択をしたのかどんな理由があるのか、詳細までヒアリングしましょう。取引先の動機を知ることで、新しい課題が見つかるかもしれませんし、潜在ニーズを引き出すことができれば新規案件につながるかもしれません。

・相手のペースに合わせる
相手に会話のペースを合わせるテクニックを「ペーシング」といいます。人によって会話の速度は異なり、自分のリズムと合わなければ人間は不快に感じてしまいます。特に質問がしたいからといって矢継ぎ早に話すことはNGです。相手からより多くの情報を引き出すためにも、気持ちの良い会話を心がけましょう。

商談ブースを出ても商談は続いている?

営業担当者にとって、自分の売上に直結する商談中は気を抜くことはできません。ただし商談後も、相手先のオフィスを出るまでは緊張感を保っておく必要があります。
人間には「ピーク・エンドの法則」という、最も感情が高ぶる瞬間と、会話が終わる瞬間で出来事のほとんどの印象を決めてしまうという心理が存在するからです。

商談中の取引先からの評判やリアクションが良くても、別れ際の印象が悪ければ営業にも影響が出てしまうかもしれません。反対に商談後も気を抜かず相手からの印象を良くすることができれば、打ち合わせ終了後に貴重な情報をもらえることもあるでしょう。

顧客の悩みを引き出して有利に商談を進めるコツとは?

営業のヒアリングは実際にやってみると、進め方はわかっていても中々うまくいかないことの方が多いでしょう。質問内容・相手の反応・商品説明・情報提供など商談中は、気を配らなければならない点が多岐に渡るためです。

ここからはそんな方のために、効率的に顧客の悩みを引き出し、商談を進めるコツをご紹介します。

事前にできる限りの準備をしておく

ヒアリングで思うような情報を聞き出すためには、「事前準備」が大切です。顧客との商談の前に情報を集めて取引先は何に困っているのか、どのような解決策を望んでいるか、といった部分の仮説を立てておきます。そうすれば実際のヒアリングで、相手の疑問にも情報を提供でき、課題や要求といったものにも答えやすくなるのです。

また、商談前にはヒアリングシートも用意しておくことも忘れてはいけません。ヒアリング中には、本筋から外れてしまったり、聞き漏れが発生しがちです。そういった事態を未然に防ぐためにも、ヒアリングシートを準備しておくことをおすすめします。

ヒアリングシートに記載する項目は以下の通りです。

・現状と課題
顧客の「現状と課題」は、今後の商談の基礎となる欠かせない情報です。まずは現状について細かくヒアリングし、その上で課題について触れていきます。現在の顧客の状況を客観的に見た上で、仮説を立てることが重要です。

・予算
まずはこちらの商材が、相手の予算内でなければ話になりません。営業する側としても、予算事情によってプランが変わってくるため、早い段階で聞き出すようにしましょう。

・スケジュール
顧客が「何をいつまでに欲しがっているのか」をあらかじめ把握しておきましょう。もしも納期が直前だと急に発覚すれば、せっかく受注した取引先からの信頼も低下してしまいます。スケジュールには余裕を持って、早め早めに準備しておくことが大切です。

・商品の印象と不明点
商材に対する顧客からの客観的な印象は、把握しておく必要があります。自分と顧客とでは、商品の理解度に雲泥の差があることを忘れてはいけません。商品の情報に関する認識の相違が、顧客との間に生まれないようにしましょう。

質問するテクニックを身に付ける

ヒアリングの際は、むやみやたらに聞くのではなく「質問を使い分ける」意識を持ちましょう。質問は「オープンクエスチョン」「クローズドクエスチョン」の大きく2種類に分けられます。

オープンクエスチョンは、相手の意見を聞く質問です。オープンクエスチョンを使うと、顧客とのコミュニケーションを図りやすくなる一方で、会話が逸れ相手が答え疲れてしまいかねません。
クローズドクエスチョンは、はい・いいえで答えることのできる質問を指します。会話にテンポは生まれますが、使いすぎると単調になりがちです。

ヒアリングの際は、どちらか一方を繰り返すのではなく両方を織り交ぜることで、本質の把握に向けて深掘りができるようになります。

「質問」よりも「会話」をするイメージで

営業におけるヒアリングとは、自分が話すことよりも聞くことに重点をおきます

例えば、次々に質問してくる人と、一つの質問を深く掘り下げて細かい自分の意見まで聞いてくれる人、自分の悩みを相談する上でどちらが好印象でしょうか。一つの返答に対して掘り下げようとしている人に対しては、自分の意見を知ろうとしてくれている、と感じて会話は盛り上がります。

顧客の考えを聞くためには、積極的に聞き手に回り、フラットに接することで信頼関係を構築することが重要です。相手の気持ちや考えを大切にし、「わかってくれている」という心理的な安全性を作り出すことで、こちらにとって必要な情報を引き出すことができます。

ヒアリングの心構えとして、「相手の気持ちを大切に理解し、肯定的な関心を示す」、「偏見を持たず、フラットに接する」ことを忘れないようにしましょう。

顧客の状況と似た事例があれば提示する

商材の購入を検討している顧客にとって、自分の未来をイメージすることができれば大きな参考材料になります。顧客が今実際に抱えている課題や問題点を解決した後の姿が想像できるような伝え方を意識しましょう。

取引先と同業界や競合他社の事例があれば、抱える課題も同じである可能性もあります。それらのデータを資料に盛り込むことで、実際にサービスが導入された後の未来を想像してもらいやすくなります。

多くの人は初対面の人の言葉を信用しない傾向にあるため、すでに導入されている企業や顧客の声を届けることも有効です。さらに、数字等の客観的なデータを用いて話をすることで、より説得力も増すでしょう。

ヒアリング能力を身につけるには何をすべき?

新入社員や未経験の方にとって、ヒアリングはまず最初にぶつかる営業の壁です。自分が会社の顔として、自社の商材を売るということに緊張してしまう人も中に入るでしょう。

ここからはヒアリングのスキルを向上させるための手段をご紹介していきます。「営業に慣れない」、「ヒアリングがうまくいかない」といった方は、ぜひ参考にしてください。

ヒアリングの基礎を学ぶ

まずはヒアリングの基礎の部分を学ぶ必要があります。
上達方法としては、書店で参考書を購入して知識をインプットしても良いですし、営業のうまい上司や先輩の商談に同行させてもらい学ぶことも良いでしょう。身近な先輩の商談であれば、観察もより近くで行うことができ、商談後にはアドバイスをもらえるかもしれません。

ただし、仕事のできる先輩に限って忙しいものです。ちょっとしたアドバイスはもらえても、基礎からつきっきりで教えてもらえることは難しく、未経験から営業力を上達させることは一筋縄でいきません。

セルステでは、新人営業担当者が育つ240のレッスンをご用意しています。
人手不足による新人教育への不安もカバーでき、上司いらずで立派な営業パーソンを育成することが可能です。

ロールプレイングで練習

ヒアリング力を向上させるには、場数を踏むことがポイントです。とはいえ実際のヒアリングのみだと、多くの経験を積むことに何年も費やしてしまうかもしれません。だからこそ短期間でヒアリングスキルを向上させるために、ロールプレイングは最も簡単に経験を積むことができる手段となります。上司や先輩に顧客役を演じてもらい、実際の商談に近いヒアリングを行うことが大切です。練習後は先輩や上司にフィードバックをもらうことで、客観的に自分のヒアリングの評価を知ることができます。

ロールプレイングを通して、自分の苦手分野や癖、修正箇所を、本番のヒアリングに向けて改善することが重要です。

フィードバックを活かして実際の商談を繰り返す

実際の商談でのヒアリング・ロールプレイングで、上司や先輩からフィードバックがもらえたら、あとはひたすら改善と実践を繰り返しましょう。とにかく繰り返すことで、着実に経験値を積むことができますし、最初は緊張するかもしれませんが徐々に慣れていきます。この実践とフィードバックこそが、確かな新人社員の育成にとっては重要なのです。

ちなみに、セルステ講座内で行う実践ワークでは、事前の情報収集はもちろん、商談での実践、その振り返りも行います。新人教育に少しでも不安や問題を抱えている場合は、選択肢の一つに加えることがおすすめです。

ヒアリングスキルを習得して営業を極めましょう

今回は、ビジネスシーンにおけるヒアリングの進め方とコツをご紹介しました。今後営業活動を始める方は、経験を積むことに重きを置くことが大切です。上司や先輩の力を借りながら、着実にスキルアップしていきましょう。

セルステでは、新人営業担当者が育つ240レッスンをご用意しています。15年の育成経験に基づいた営業課題診断も用意しているので受講者に合わせて最適化。上司の手間いらずで成長をサポートします。ご入用の際は、お気軽にお声がけください。

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