アイトラッキングとは
アイトラッキングとは、専用の機材を用いてユーザーの視線情報を取得する技術です。
プロシーズラボでは、HTC VIVE ProEyeというアイトラッキングが可能なVRゴーグルを用いて、視線ログを取得し、それをオンラインの講義の改善に繋げる試みをしています。
どこが一番見られているか:ヒートマップ
アイトラッキングの情報は基本的には、タイムスタンプ(日時)と視線の位置(x座標, y座標)からなります。
※HTC VIVE ProEyeでは、その他、まばたきや目の開き具合などの情報も取得できますが、今回は使用していません。
この視線の位置情報を元に、ユーザーがスライドのどの部分をよく見ているか、ということを可視化する際に、良く使われる手法がヒートマップです。
ヒートマップで情報を可視化することで、よく見られている箇所を色で確認することができます。
以下のように、テキスト部分や講師の顔をよく見ている、ということがよく分かります。
図1:ヒートマップ
どの順番で見られているか:ゲイズプロット
ヒートマップでは「どこをよく見たか」を確認できますが、「どの順番で見たか」ということまでは確認できません。
そこで「どの順番で見たか」を可視化するゲイズプロットという手法を用います。
ゲイズプロットは一定の範囲に視点が留まっていたら、そこに円を表示し、番号を振っていきます。また長く留まっていたらそれだけ円の半径を大きくします。
ゲイズプロットの結果を見ると、ユーザーが見た順番や、注視した箇所を把握することができます。
図2:ゲイズプロット
“しっかりと受講している”時の視線とは
オンラインで講義を”しっかりと受講している時”ってどのような視線の動きとなるでしょうか。(一般的なテキストや図の入ったスライド型の動画講義だった場合)
アイトラッキングのデバイスを使った具体的な検証はこれからなので、現時点では仮説に過ぎませんが、しっかり受講している時には「一点、一点をしっかり見ている(=”注視している”)」のではないでしょうか。また、一点だけをずっと見ているのではなく、ちゃんとテキストを読んだり、講師の顔を見たりするために次の箇所も移動する、つまり”注視”と”移動”を繰り返す動きとなるのではないでしょうか。
つまり、上述のゲイズプロットで出てきた“注視”した点が多いほど、しっかり受講しているのではないか、という仮説です。
注視をスコア化
上記の仮説に基づいて、注視をスコア化してみたいと思います。
スコア化のプロセスは、以下のようにシンプルなものです。
・スコアの初期値は中央
・時間と共にスコアは自動で下がっていく
・注視が開始したらスコアをプラス
・注視の最中はプラスし続ける
こちらで、実際にスライド型の動画講義を受講して時の、スコアの推移をグラフで表示したものが以下です。
図3:注視をスコア化
あくまで仮説に基づいたものですが、アイトラッキングのログデータを元に、「しっかり受講していたか」を可視化することができました。
プロシーズでは引き続き、アイトラッキングのデータを用いて、素早く、オンラインの講義の改善に繋げられる試みをしていきます!