職場復帰支援のarmo[アルモ]特別対談
小室淑恵 氏

インターネットの特性と、休業者の特性を融合させたとき、eラーニングは、休業者復帰支援システムとして、新たな進化を遂げる

花田隆典

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業務と学習、集合研修とeラーニング。LearningWareがあらゆる境界をなくしていく

小室氏 これからもLMSはどんどん進化していくんですよね?

花田 はい。進化の1つの方向としては、集合研修とeラーニングがシームレス化していくはずです。 これはすでに、新卒採用者フォロー用のサービスである「内定者Pack」に導入した概念です。 どういうことかと言うと、まず、内定者を集めて研修を行います。 その際、「研修内容を受けて会社に対して何らかの提案を行うように」という課題を与えます。 この課題には、3人1組に分けられたグループがネットのコミュニティ上でディスカッションを実施。 提案がまとまれば、これもネット上で提出します。さらにコミュニティ参加者が提案内容に対して意見を述べ合う、「ピアレビュー」という機能も持たせました。

小室氏 研修が「やりっぱなし」にならないんですね。

花田 そうです。それがシームレス化です。
ピアレビューにはいろいろなメリットがあるんですよ。 参加者が相互評価しますから、それがモチベーションになる。 内定者は無意識のうちに提案に熱が入り、会社や業務への理解を深めてくれるんです。 それに、人事担当者などの管理側からすると、与えた課題に対する評価という業務を、 自分たちから学生へ移すことができる。業務負担を減らすことができるんです。

花田隆典 小室淑恵 氏

小室氏 いいですね、その機能。課題を与えっぱなしじゃ学生もやる気にならないし、 かといって評価業務の負担は大きいですからね。

花田 そうなんです。この機能は、今後、内定者Pack以外のサービスへも導入していきます。 受講者視点に立って、「利用したい、勉強を頑張ろう」と思ってもらえる機能を付加することは、 今後のLMSの進化の方向性でもあります。
ところで、ワーク・ライフバランスに関してはどうですか?


小室氏 まず世の中のみなさんにイメージしてもらいたいのは、これからは、 職場に休職者がいることは当たり前になるということ。少子化と団塊世代の大量退職で労働人口が減っているのに、 これまでのように結婚や出産で女性が退職していては会社の存続はありえません。 さらに、介護やメンタルで休職する人も増加していきます。働き盛りの男性が休むことだって普通になるんです。つまり、社員の事情に応じて休みも取ってもらいながら、 それでも社員として戦力であり続けてもらう仕組みや環境が必要なのです。これは大企業だけの問題ではありません。中小企業も含めた、すべての企業の問題です。 経営者や人事担当の人には、現在の会社の人口ピラミッドを、5年や10年先にスライドさせて見つめ直してもらいたいです。 そのとき、どんなことが起こるかは容易に想像できるはずです。

花田 おっしゃる通りです。

小室氏 「休職者がいることが当たり前の職場」では、人事や総務など、 休職者をフォローする人たちの業務も変わってきます。

小室淑恵 氏 小室淑恵 氏×花田隆典 花田隆典

会社から休職者へのお知らせや休職者からの書類提出は、郵便で行われていることが多いんですよ。 これは、インターネットなどなかった時代からの名残りでもありますが、 休職者が「珍しい存在」だったことが大きな原因です。手作業と担当者の記憶に頼っていても支障はなかったのです。

花田 それがこれからは……。

小室氏 「ご想像の通りです。人数が増えれば、手作業と記憶では追いつかない。郵送費だってかさみますよ。 それに、育児や介護で手を離せない人にとって、「書類提出のために郵便物をポストに入れに行く」という行為自体が簡単ではない。 実際、休職者からの返信率は悪いそうです。そうやって連絡が途切れ途切れになるうちに、休職者は疎外感や孤独感を募らせていくのです。
この問題を解決するのがarmoです。会社側からすると、連絡はスピーディーだし費用も抑えられる。 データベースなどと組み合わせれば、それぞれの社員に応じてタイムリーに必要な情報を配信できるでしょう。 利用者からしても、自宅でちょっとした空き時間を使って会社とコミュニケーションが取れます。


花田 対象が大企業からすべての企業に広がるという点は、LMSも同じです。 僕は、LMSはグループウェアに取って代わる存在になり、「LearningWare」という新たな存在として認知されるだろうと考えているんです。

小室氏 LearningWare、ですか。

花田 そうです。
グループウェアも最初は大企業から導入が始まり、中小企業でも利用されるようになりましたよね。 道筋としてはそれと同じ。違うのは、個々の社員の利用率です。 グループウェアにはいろいろな機能がありますが、実際に利用されているのはメールとスケジュールぐらいじゃないでしょうか。 理由は、それ以外の機能に必要性を感じてもらえないことです。それに対してLearningWareは、学習という強力な誘導コンテンツを持っている。

花田隆典

社員からすると、ログインして勉強していないと、履歴でばれてしまいますからね。 もちろん、勉強の成果は成績として現れるので、これもまずい。必然的にログイン率が高まるのです。 そこに従来のグループウェア機能が付加されていれば「日々の業務に使える」となりますし、 コミュニティ機能のおかげで勉強に対するモチベーションも高められれば、「やらされている」という精神的負担も取り除ける。 学習面でも業務面でも効果が期待できるのです。だからグループウェアに取って代わる存在になり得るのです。

小室氏 armoもそうですけど、利用者である社員さんも、管理者である会社側もハッピーになる。 LMSには、そんな可能性が潜んでいますよね。


花田 まさにそうです。LMS、そしてLearningWareの本当の進化はこれからです。 armoも、もっともっと進化させていきましょう。今日はありがとうございました。

小室氏 こちらこそありがとうございました。armoともども、今後ともよろしくお願いします。

小室淑恵 氏×花田隆典
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